過労死を考える家族の会北海道新聞取材記事
5年ぶりにリアル開催!働くもののいのちと健康まもる「2024北海道セミナー・労働安全衛生学校」11月9日開催
いの健北海道センター 「50年のあゆみ」発行しました。
1973年3月20日、いの健道センターの前身 「北海道労災職業病対策連絡協議会」結成から50年。1970年代から現在に至るまでの北海道の労働運動、労災職業病の変遷をまとめました。 頒価 1部 1000円

村山さんの労災認定を求めるたたかいは最高裁へ
村山さんの裁判のご支援ありがとうございます。
札幌高裁では控訴棄却の判決を言い渡されました。
ご両親・弁護団は最高裁へ上告しました。引き続くたたかにご支援・ご協力お願いします。
リーフレット
署名用紙
個人
団体
過去の記事
労働災害訴訟
*吃音のある新人看護師民亊裁判
吃音を理由に職場で不当な対応を受けたのが原因と遺族が病院の運営法人に対して損害賠償を求めていた訴訟で2023年5月26日札幌地裁で和解が成立しました。ご支援ありがとうございました。
*スーパーでの長時間労働で体調を崩し休職中の労働者が損害賠償を求めた訴訟で2月10日札幌地裁で労働者勝訴の判決が出ました。スーパーは後日控訴しましたが、判決は労働者の完全勝利の内容でした。札幌高裁で2022年8月16日和解が成立しました。
職場におけるハラスメントの実態
退職強要に労働組合と共にたたかう
札幌ローカルユニオン「結」 吉根 清三
ハラスメント被害でメンタル不全になった方が「結」に加入して労使交渉で雇用を確保してきた事例について報告します。
パワハラでうつ病発症、退職を強要する会社
Aさん(48歳男性)は、木材の総合商社の札幌事務所に勤務しています。総合職として、国産材の営業を行っていました。
2016年、上司のパワハラでうつ病になり5月から11カ月休職し、2017年4月に復職しました。
しかし復職後、過労で体調を崩し2018年4月に年休取得申請したところ拒否され、休職にすると言われ、前の(17年4月の)復職辞令も取消されそうになりました。
同年7月、会社は、Aさんを一方的に休職させてメンタル不全を憎悪させたため、Aさんは、2019年8月までの休職を余儀なくされます。
やっと復職すると、会社は、Aさんに掃除や雑用など過小業務しか与えずに自主退職するように仕向けました。
家族との生活を守るために耐えて仕事を続けていましたが、2020年2月に入ると執拗な退職勧奨を受けるようになりました。
労働組合に加入し不当な攻撃とたたかう
Aさんは、2月10日「結」に加入し、団体交渉で退職強要は止めさせたのですが、前のような業務遂行が困難なため、2020年6月からリハビリを兼ねた労働条件(残業なしの6時間勤務など)の覚書を結び、庶務全般の軽労働に就いています。
会社は、2021年9月にAさんが総合職のレベルかどうか判定し、レベル以下なら期間雇用の嘱託職員にしようと画策し、6か月間の「業務知識習得プログラム」に就かせ、2022年5月にレベル以下だと判定して嘱託職へ雇用契約を変更するよう提案してきました。
組合は、会社の提案に合理性はないと提案を拒否しましたが、雇用確保と労働条件を守るためのせめぎあいが続いています。
労災申請で会社の不法行為を審査
また労使交渉とは別にAさんは、メンタル不全の原因が会社の不法行為にあるとして2021年12月に代理人を通じて労災を申請し監督署による審査がすすめられています。
会社は、私傷病休職規定を根拠にAさんを自然退職させようとして失敗し、いまは嫌がらせによる自主退職、もしくは解雇しようとしています。
会社休職規定は、休職期間満了で自然退職としています。 Aさんの場合、2018年当時、休職期間が2年でした。同規定は「復職しても1年以内に同一、または類似する疾病により連続、断続問わず30日以上欠勤ないし完全な労務提供ができないと認められる場合、復職を取り消し、復職前の休職日数に通算する」と定めています。
しかしAさんが年休取得権を行使したため、休職期間を通算2年として自然退職させようとした会社の思惑は頓挫しました。
いま団体交渉で解雇強行を押さえ込んでいますが全く予断を許しません。
就業規則の解雇条項は「①精神もしくは身体に故障があるか、又は疾病のため業務に耐えられないと認められたとき②勤務成績又は業務能率が著しく不良で、改善の見込みがなく、他の職務にも転換できない等就業に適さないとき」は解雇出来るとなっており会社がその気になれば強行される可能性があります。
労災認定を受けることができれば、雇用確保と労働条件改善に向け優位な立場で労使交渉ができると期待しています。
建設アスベスト第2陣訴訟判決
建材メーカーの企業責任も断罪
国と企業で屋外作業者にも補償を
北海道建設アスベスト 弁護団 事務局長 長野 順一 弁護士
2022年4月28日、札幌地方裁判所(民事第3部 中野琢郎裁判長)は、北海道建設アスベスト第2陣訴訟について、被災者17名中11名のアスベスト被害に対する株式会社エーアンドエーマテリアル、太平洋セメント株式会社、ニチアス株式会社、株式会社ノザワ、株式会社エム・エム・ケイの合計5社の責任を認める判決を言い渡しました。
建材メーカー5社の加害責任認定
既に最高裁は、2021年5月17日の判決で、建材メーカーらに警告表示義務違反があり、主要な原因建材を製造・販売したメーカーが共同不法行為責任を負うとの判断を示していましたが、この判決はその判断を前提として、被災者11名に対する上記の5社について、加害企業と認定したものです。
また判決は、有責とされた企業の責任割合を、原告ごとに3割ないし5割と判断しました。有責企業の責任割合については、これまでの判決では3分の1程度とする判断が多かっただけに、企業の責任割合を重く認定した点は前進と評価できると思います。
屋外作業者に対する責任否定は不当判決
他方で、判決は、屋外作業を主とする職種や、解体作業従事者との関係では建材メーカーの責任を否定しました。
九州建設アスベスト第1陣訴訟では、最高裁も、屋外用建材であっても屋内で切断等の作業をする場合があることなどを理由として建材メーカーらの責任を認めた福岡高裁の判断を維持していますので、そのことと比較すれば、今回の判決は不当といわざるをえません。
予見できた危険性と対策怠った責任は重い
また、建材メーカーにおいて既設建材についても広く建設作業者等にアスベストを含有する事実とアスベスト疾患罹患の危険性等を周知することは十分可能だったので、それを怠った企業は、解体作業者との関係でも当然責任を負うべきであり、その点の判断も不十分です。
さらに、一部の原告については、加害建材の現場への到達や原因建材からのばく露が否定され、メーカーの責任が認められず、この点も極めて不当です。
これらの点については、今後控訴審においてあらためて判断を求めて行くことになります。
企業は責任を認め和解解決に応じるべき
ところで、判決により責任があると判断された上記5社は、これまで最高裁を含めて繰り返し責任を認められているにもかかわらず、未だに責任を争い、和解解決にも応じていません。そのような態度は極めて不当であり、速やかに責任を認めて被災者に謝罪し、早期和解解決のために、あらためて、世論の力で有責企業に、早期の解決を迫って行く必要があります。
国と記号の責任で被災者の全面救済を
また、国は、建設アスベストの被害者救済のため本年2月から給付金制度を開始しましたが、屋外作業者はその給付対象から除外されています。屋外作業者である被災者も屋内作業者と同様にアスベスト疾患に苦しんでいるのですから、国には、その事実を直視し、給付金の支給対象に屋外作業者を含める制度改正を速やかに行うことが求められます。そして、現在この給付金制度には加わっていない建材メーカーも参加した、アスベスト被害の全面救済のための基金制度を、早期に実現する必要があります。 いの健北海道センターニュースから転載
精神障害の労災認定基準の実効ある改善を
建設アスベスト給付金制度について
新人看護師パワハラ自死事件 ー7
原告の村山さんは控訴
札幌高裁での新たなたたかいへ
3月15日、釧路赤十字病院新人看護師自死事件が言い渡され、釧路地裁は、村山さん遺族の労災請求を却下する不当判決を下しました。
2013年4月釧路赤十字病院手術室に勤務していた看護師の村山譲さん(当時36歳)は、半年後の9月にパワハラが原因で自死しました。その後、請求した労災を認めなかった釧路労働基準監督署の処分に対して、遺族(両親)はその取り消しを求めて釧路地裁に提訴しました。
譲さんは、薬剤の過剰投与のインシデントとその他のミス、指導看護師等からの厳しい指摘と人間関係の悪化、医師からの「病院のお荷物」発言などが続く中、8月末頃以降、「重症うつ病」を発症し9月15日に自死しました。
判決では発症は6月中旬、仕事上のミスは「中」、看護師等からの指摘等は「弱」、医師からの「病院のお荷物」発言は「確認できない」とし、原告が主張した業務起因による精神障害の発症、自死をことごとく否定しました。
釧路地裁のロビーには支援者が続々と駆け付け、メディアの取材陣も集まりました。
傍聴席は抽選となり1号法廷は満席となりました。午後2時、裁判長が「原告の請求をいずれも棄却する」と主文を述べると、「えっ」と驚きの声が響き渡りました。原告のご両親はまっすぐ裁判長に向き合っていました。
私たちはあきらめません
判決後、裁判所の隣の「釧路弁護士会館」で報告集会が行われ、弁護団から「大変不当で、被害者の受けた心理的負荷を軽く見た判決です」と報告し、母親の百合子さんは「公正な判断をと思い続けてきましたが、こんなものかと思いました。つらい思いをしている労働者の方々がいると思います。私たちはあきらめません。息子の労災が認められれば、他の労災認定を求めている方々にもつながると思います。家族は力を合わせて頑張ってゆきます」と語りました。
父親の豊作さんは「亡くなって9年、裁判で4年、3万3千筆余の署名が寄せられました。今回の判決は残念です。がっかりではなく残念です。この間の取り組みは無駄ではありませんでした。もう少し時間がかかると思いますが、今後ともよろしくお願いします」と支援者への謝意と今後のたたかいへの決意を語りました。 遺族と弁護団は3月18日、札幌高等裁判所に控訴しました。
取り組みを引き継ぎ、新たなたたかいに
釧路地裁での支援活動は「釧路支援する会」が中心的役割を担いました。
北海道医労連といの健道センターは、これまでのたたかいを引き継ぎ、全道・全国規模のたたかいを目指して、全道規模の「支援する会」へと組織を再構築し取り組むことを準備中です。4月上旬には全道的な支援共闘体制づくりをめざして話し合いを行います。
村山譲さんは業務起因の過労自死でした。
労災を認めさせること、悲痛な事件が2度と起きないようにしっかりとした医療、看護体制を確立することを目指して新たなたたかいに挑みます。(いの健にゅーすから)
増加する精神障害の労災申請 改善が求められる認定基準
第3回オンライン講座
「精神障害の労災認定基準」について
過労死弁護団 岩井 羊一 弁護士
2月5日、いの健北海道センターは、現在厚労省で見直し作業が行われている「精神障害の労災認定基準」について、過労死弁護団の岩井羊一弁護士を講師に第3回オンライン講座を開催しました。
「精神障害の労災認定基準~認定基準成立の経過と問題点、そして見直しの方向性~」と題して講演を行った岩井羊一弁護士は、過労死弁護団の一員として愛知県で活動をしています。
「過労自殺」が「脳・心臓疾患死」を上回る
「過労死」といえば、長時間労働により、脳・心臓疾患を発症し亡くなる事例を想像しますが、2019年より過労による精神障害の「自殺」の支給決定件数が、脳・心臓疾患による死亡数を追い越しました。
岩井弁護士は、かつて精神疾患は、労働者の内面的な問題として労災とはならない時代が続いていましたが、ストレスが労働者の心を壊し、自殺にまで追いやることなどが明らかになってくる中で、うつ病などの精神疾患が労災として認められるようになったとして、1990年代の終わりから2000年代入り精神障害による労災の請求件数が急増したことに対応するために、精神障害等の判断指針、精神障害の認定基準などが策定されてきた経過について述べました。
岩井弁護士は現在の精神障害の労災認定基準の問題点として以下の3点を述べました。
改善されるべき認定基準
一つは、精神障害を発症したとされる6か月前の出来事について認定基準では考慮されるが、発症後の病状の増悪については、原則考慮されないことです。発病後弱っているメンタルが、さらにストレスにさらされても労災とされないのは不合理です。
考慮されるべき労働者の固有性
二つ目は、「特別雇用枠」など障がいを持つ人や、新人労働者などが被る負荷について、その固有性が評価されていないことです。障がい者雇用は企業の義務になっており、精神障害を持っている人も雇用されていますが、その人のストレス耐性などは考慮されていません。また新人労働者についても、経験のある労働者に比べ、初めて直面する事態にストレスを感じやすいと思われますが、「同種労働者」との比較だけで新人という固有性が考慮されていませんと画一的な認定基準を批判しました。
時間外労働160時間超 高すぎるハードル
三つめは時間外労働時間数のハードルが、脳・心臓疾患に比べで高すぎることです。
脳・心臓疾患では100時間を超える時間外があれば労災認定されますが、精神疾患の場合は、発生前160時間、2カ月前120時間、100時間プラス強いストレスを感じた出来事という具合に、労災が認められるハードルが高くなっていると述べ、過労死弁護団として、65時間を超える時間外労働があった場合、脳・心臓疾患や、精神障害についても発症の危険性が高まるため認定基準を改正すべきと訴えています。
またこのほかにも、長い通勤時間が睡眠時間を削ること、現行の負荷評価は発症前6ケ月ですが、最低でも1年前とすべきなど、新たな認定基準に向けての提案がなされました。
意見交換では、新人や、転勤・出向などで新たな仕事を担わされる労働者については一般労働者よりストレスが過大になるのではないか、等の意見が出されました。
またこの内容が、直後に開催された厚労省の「専門検討会」でも議論されるなど、全国的な議論をリードする講座となりました。
今回のオンライン講座は、近年精神障害の労災申請件数が急増している中での認定基準の見直しということもあり、非常に関心の高い内容でした当日はオンライン・会場を合わせて45人の参加があり、道内のみならず、福岡、愛知、石川、徳島など全国から視聴がありました。
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新人看護師パワハラ自死事件 ー6
釧路赤十字病院新人看護師自死事件結審
判決は2022年3月15日
12月21日に行われた第13回期日は、原告被告ともに前回おこなわれた証人尋問を補充する最終の主張を書面にておこないました。
原告である、譲さんの母・村山百合子さんが陳述もおこないました。
息子が亡くなった原因を明らかに
「秋には釧路でサンマを御馳走すると話していた息子がどうして亡くなったのか原因を明らかにし、釧路赤十字病院が安心して働ける病院となるよう、つらい思い出となった釧路に何度も通いました。病院の不誠実な対応に傷つきながらも頑張ってきました。公正な判決をお願いします。」
証拠から明らかになる矛盾点
その後の支援者集会では、原告代理人より本裁判の総括的な説明がされました。中でも「被告側への尋問では、譲さんと、パワハラをおこなったとされる医師は接点がほぼなかった、術場で一緒になることもなかった、等の証言が続いたが、術場の台帳を確認すると矛盾点が浮き彫りになっている。今後は判決に向けて、世論に大きくアピールすることが大切だ」とのお話がありました。(支援する会ニュースより)
建設アスベスト裁判の到達点と課題
アスベスト救済~こ一年のとりくみが重要
弁護士 長野 順一
長野弁護士がいの健北海道センターの第9回総会で、発言された要旨を紹介します。
建設アスベスト訴訟については、今年極めて大きな成果を勝ちとることが出来ました。
2005年にクボタショックがあり、建設業者にアスベスト被害が広がっていることが分かりました。建材の8割が建設関係に使われ、アスベストの危険性を再三に渡って指摘されておりながら、国は充分な規制もせず野放しにし、2006年にようやく全面禁止になりました。
国とメーカーの責任を明確に
アスベスト被害を野放しにした国と製造販売しつづけたメーカーの責任をはっきりさせて、不十分な救済制度を十分な救済がされる制度にしていくとの目的を持って2008年に東京で訴訟をおこしました。
北海道では2011年度に札幌地裁に提訴して、それから6地裁で訴訟が起きて、1次、2次、3次と全国で訴訟を展開してきました。
私たちは、まず規制をしなかった国の責任と、被害が分かっていながらアスベストを販売し続けた建材メーカーの責任を明確にさせることこそ、解決に絶対必要であると考えて闘ってきました。
残念ながら最初、2012年に判決がでた横浜地裁では、国もメーカーも、どちらの責任も認めずに負けました。国も十分危険だと分からなかった、あるいは企業も分からなったとメーカーの目利き料や国も責任を否定しました。
国による給付金制度が創設
その後、国の責任を認める判決が東京地裁で出され、更にメーカーの責任が認められました。
その中で、1人親方の被災害が東京高裁で認められ、2021年5月17日に最高裁は一人親方を含めすべての作業従事者の国の責任を認め、メーカーも断罪しました。
5月17日の判決の翌日、国と原告団の間で基本合意が交わされました。
これによって、国は責任を認め給付金制度を作ると約束し、6月には法律が出来ました。来年4月からは給付金制度が運用されます。労災の適応がない一人親方を含めて、建設作業に従事したことがはっきりして該当する病気にかかったことが証明されれば給付金を受給できるところまで来ました。
しかし、最高裁はメーカーの責任を認めましたが、基準を明確にしたわけではなく、責任の基準をはっきりさせることが今後の課題です。今の救済金制度も本来なら国と半分はメーカーから出させるもの。メーカーを含めた救済制度を実現することがこれからの課題でます。
全国で初めて和解が成立
一方国との和解が着々と進んでいます。
2021年8月5日に札幌高裁が全国で初めて、基本合意に基づく22名の被災者との和解が成立しました。北海道が最初です。但し、メーカーとの間はこれかです。救済制度に基づく救済を求めていくことが課題になりますのでこれからの一年が重要になってきています。
新人看護師パワハラ自死事件-5
釧路赤十字病院新人看護師自死事件~労災認定も求める裁判
証人尋問を傍聴して 板井 かね子
村山譲さんが、希望に満ちて釧路赤十字病院に就職してわずか6カ月で自死しました。8月23日24日、釧路地裁第12回期日で証人尋問を傍聴することが出来ました。
尋問の目的は①譲さんのミスの精神的負荷の度合い②スタッフとの人間関係③新人教育が譲さんにとって精神的負荷が強いものであったことを立証するためです。証人は6人で、母 村山百合子さん、当時の手術室勤務の師長・係長・指導者など4名の看護師と、パワハラを行ったとされる医師1名です。
証言では、譲さんはミスを大変多く繰り返す、注意や説明も理解できなく指導が難しかしい人だったと応える反面、詳しい指導内容については「その場にいなかった」など大半は具体性に欠けるものでした。適切な指導がなされていない可能性を示すものでした。
また労基署の聴取の際には、「あってはならない重大なミス」と発言した内容に対して「直接患者に影響なかった」「未然に防ぐ事ができ、重大なミスではない」と意見を変えましたが、いずれにせよ、大声や厳しい口調で注意した事実は認めさせました。さらに看護師長より譲さんが注射係から次のステップに進めないと判断した理由にミスが含まれていたことも明らかになりました。
原告である百合子さんの尋問では、病院に誠意がなく誰にも会わせてもらえず、挨拶すらできなかった。裁判を進める中でようやく得られた情報がいかにあったか、匿名の内部告発の手紙もその信憑性の確信が得られた内容も明らかにしました。
裁判長からは12月21日が結審、3月には判決との意向が示されました。
建設アスベスト訴訟
最高裁が国と建材メーカーの責任を認める判決
国が被災者に謝罪、給付金支給の基本合意成立
長野 順一 弁護士 (北海道建設アスベスト弁護団:事務局長)
1 最高裁判決、国との基本合意
2021年5月17日、最高裁は、首都圏建設アスベスト神奈川第1陣をはじめとする4つの建設アスベスト訴訟について国及び建材メーカーらの責任を認める判決を言い渡しました。
そして、この判決を踏まえて、被害の全面救済へ向けて、国と原告側(建設アスベスト訴訟全国連絡会)との間で、訴訟の和解解決と未提訴者を含めた救済についての「基本合意」が成立するなど、大きな動きがありました。
2 一人親方等も救済、ただし屋外作業者は対象外
判決は、まず国の責任について、1975年(昭和50年)から2004年(平成16年)までの間、国は、事業主に対し、建設作業従事者に防じんマスクを着用させる義務を罰則をもって課すとともに、建材への適切な警告表示を義務付ける義務があったにもかかわらずこれを怠ったとして、労働者だけでなく一人親方や中小個人事業主に対しても、国の賠償責任を認めました。
とりわけ、今回、最高裁が一人親方等に対しても責任を負うことを明確にしたことは、画期的な意義を有するものといえます。
3 メーカーの責任を認める
判決は、建材メーカーについても賠償責任を認め、主要原因建材について一定以上の高いシェア有するメーカーは、共同不法行為者として、連帯して責任を負うとの判断を示しました。この点は、被災者救済に大きく道を開いたものということができます。
4 総理大臣の謝罪と与野党の動き
さらに、最高裁判決を踏まえて、被災者救済へ向けて大きな動きがありました。
判決の翌日である5月18日午前、首相官邸において菅義偉総理大臣が建設アスベスト訴訟原告らと面談し、「最高裁判決で国の責任が認められたことを厳粛に受け止め、被害者及びその遺族に深くお詫びします。」との謝罪の意を表明しました。
また、判決を受けて「与党建設アスベスト対策プロジェクトチーム(与党PT)」から「建設アスベスト訴訟の早期解決に向けて」と題するとりまとめ文書が発表され、①建設アスベスト給付金制度(仮)を創設する、②メーカー責任を認めた最高裁判決を受けて建材メーカーの対応の在り方について与党PTで引続き検討する、との表明がなされました。
5 基本合意書の調印
また、5月17日夕方には、田村厚生労働大臣と原告(建設アスベスト訴訟全国連絡会)との間で
①被害者及びその遺族の方々に謝罪すること、②係属中の訴訟については、原告側と合意した統一的な和解基準により和解すること、③未提訴の被害者についても、被害補償のための給付金(仮称)を支給する制度を法制化すること(給付金の額は②と同額。)、④建設作業従事者の石綿被害を発生させないための対策、石綿関連疾患の治療・医療体制の確保、被害者に対する補償制度について建設アスベスト訴訟全国連絡会と継続的に協議を行うこと、を内容とする基本合意書の調印が行われました
これにより、国との間で全国の訴訟が和解解決に進むことになるとともに、被災者に給付金を支給する制度が設けられることになりました。
6 アスベスト被害者の全面救済と被害の根絶に向けて
基本合意において、未提訴被災者が裁判することなく補償を受けられる制度(給付金制度)の創設が、明記されたことは画期的であり、このような制度が立法化される意義は極めて大きいと思います。しかし、現段階ではあくまでも国との間での合意であり、最高裁で加害責任が認められた建材メーカーはこの制度に加わっていません。
被害の全面救済のためには、国が約束した給付金制度を、建材メーカーも拠出する「補償基金制度」として拡充し、完全な被害者救済制度として法制化することが必要です。
全国の建設アスベスト訴訟の原告団・弁護団は、引続き、訴訟等を通じて建材メーカーに対して被害者に対する責任を果たすよう求めるとともに、被害者の全面救済とアスベスト被害の根絶のために、さらに闘いを続けることを決意しています。
アスベスト問題 新聞記事
2021.4月から大気汚染防止法改正で規制が強化
石綿(アスベスト)の飛散による健康被害なくすため、「大気汚染防止法」が2021年4月から改正され、規制が強化されます。アスベスト患者の診断・治療にあたっている細川誉至雄理事長(医師)に概要を投稿してもらいました。
2020年9月に札幌市内で行われたアスベストセミナーで東京労働安全センターの外山尚紀氏による大気汚染防止法(大防法)の改正についての講演が行われ、当センターにゅーす10月号で改正事項の内容を紹介しました。
外山氏によれば総じて前向きな改正だが残された課題、主に4点が指摘されました。いまなぜ大防法改正なのか、改めて石綿による健康被害の視点で考えてみたいと思います。
大防法はもともと大気環境を保全することで国民の健康を保持、生活環境を保全するため昭和43年に制定されました。人の健康に被害を生じる恐れのある物質を「特定粉じん」、それ以外を「一般粉じん」として定め、特定粉じんとして現在石綿が指定されています。
大防法では建物の解体、補修等を行う場合は法律に定められた基準(粉じん対策)を遵守する義務があり、違反すると都道府県知事等は基準の適合や一時停止を命ずることができます。大気汚染ではかつて四日市喘息等がありましたが、今や石綿による健康被害が最大の問題となっています。現在職業がんで新たに労災補償を受けている人は年間約1,000人ほどですが、ほとんどが石綿(中皮腫や肺がん)によるものです。しかも年々増加しています。
石綿の約9割が建築物に使用され、一般住宅も含めまだ約半数が解体されず残っています。環境省は平成25年(2013年)に法改正を行い石綿含有建材の使用状況についての工事「事前調査」の義務付け、届け出義務者の元請け業者から発注者への変更等の飛散防止対策の強化を行いました。 しかし5年が経過して施行状況をみると、事前調査における石綿含有建材の見落としや、これまでの規制対象ではなかった石綿含有形成板等(いわゆるレベル3建材)についても、不適切な除去を行って石綿が飛散する例が相次ぎ、大防法の抜け穴問題が多々発生しました。 特に形成板は一般住宅も含め最も多く使われていたにも関わらず規制されていなかったので、改正で規制の対象となるのは大きな進歩です。 石綿による被害を根絶するためにも改正法を実効性のあるものにしていかなければなりません。施行まで1か月しかなく準備が急がれるところですが、法律遵守を管轄する都道府県等は役割が大きくなり、石綿障害予防規則(労基法)との関連もあるため労働局との密な連携も必須となります。コロナ禍の中で自治体は準備に間に合うのか、いささか気がかりですが引き続き動向を注視していきましょう。
新人看護師パワハラ自死事件ー4
村山 譲さん裁判第10回期日
新たな事情聴取書の矛盾を指摘
2021年1月22日午後、釧路地裁で村山譲さんのパワハラ過労死労災不支給取り消し裁判が行われました。
この中で、原告は眼科医師が遺族にあてた手紙の中で「日赤のお荷物と言われて気にしていた」としたのはどこで知りえたのか明らかにすること、労基署の再聴取で以前の聴取内容と食い違いがある点の説明を求めました。
今後の弁論で聴取書の食い違いなどを説明することになりました。次回の期日は5月11日(火)午後です。
今後の進行協議では、今年秋ごろに証人尋問、年度内に結審する予定となりました。
今回は約2千筆の署名を提出しました。
報告集会には医労連、新日本婦人の会、過労死家族の会、市議会議員はじめ30人が参加しました。メディア関係者5人からは弁護団への質問が集中し、関心の高さを示していました。
恒例の釧路赤十字病院職員への朝宣伝には過労死家族の会からも参加があり、多くの職員がチラシを受け取っていました。
署名は 31,452筆、寄せられています



















