原告の村山さんは控訴
札幌高裁での新たなたたかいへ
3月15日、釧路赤十字病院新人看護師自死事件が言い渡され、釧路地裁は、村山さん遺族の労災請求を却下する不当判決を下しました。
2013年4月釧路赤十字病院手術室に勤務していた看護師の村山譲さん(当時36歳)は、半年後の9月にパワハラが原因で自死しました。その後、請求した労災を認めなかった釧路労働基準監督署の処分に対して、遺族(両親)はその取り消しを求めて釧路地裁に提訴しました。
譲さんは、薬剤の過剰投与のインシデントとその他のミス、指導看護師等からの厳しい指摘と人間関係の悪化、医師からの「病院のお荷物」発言などが続く中、8月末頃以降、「重症うつ病」を発症し9月15日に自死しました。
判決では発症は6月中旬、仕事上のミスは「中」、看護師等からの指摘等は「弱」、医師からの「病院のお荷物」発言は「確認できない」とし、原告が主張した業務起因による精神障害の発症、自死をことごとく否定しました。
釧路地裁のロビーには支援者が続々と駆け付け、メディアの取材陣も集まりました。
傍聴席は抽選となり1号法廷は満席となりました。午後2時、裁判長が「原告の請求をいずれも棄却する」と主文を述べると、「えっ」と驚きの声が響き渡りました。原告のご両親はまっすぐ裁判長に向き合っていました。
私たちはあきらめません
判決後、裁判所の隣の「釧路弁護士会館」で報告集会が行われ、弁護団から「大変不当で、被害者の受けた心理的負荷を軽く見た判決です」と報告し、母親の百合子さんは「公正な判断をと思い続けてきましたが、こんなものかと思いました。つらい思いをしている労働者の方々がいると思います。私たちはあきらめません。息子の労災が認められれば、他の労災認定を求めている方々にもつながると思います。家族は力を合わせて頑張ってゆきます」と語りました。
父親の豊作さんは「亡くなって9年、裁判で4年、3万3千筆余の署名が寄せられました。今回の判決は残念です。がっかりではなく残念です。この間の取り組みは無駄ではありませんでした。もう少し時間がかかると思いますが、今後ともよろしくお願いします」と支援者への謝意と今後のたたかいへの決意を語りました。 遺族と弁護団は3月18日、札幌高等裁判所に控訴しました。
取り組みを引き継ぎ、新たなたたかいに
釧路地裁での支援活動は「釧路支援する会」が中心的役割を担いました。
北海道医労連といの健道センターは、これまでのたたかいを引き継ぎ、全道・全国規模のたたかいを目指して、全道規模の「支援する会」へと組織を再構築し取り組むことを準備中です。4月上旬には全道的な支援共闘体制づくりをめざして話し合いを行います。
村山譲さんは業務起因の過労自死でした。
労災を認めさせること、悲痛な事件が2度と起きないようにしっかりとした医療、看護体制を確立することを目指して新たなたたかいに挑みます。(いの健にゅーすから)