最低賃金、全国一律引き上げで地域の再生・活性化を!

By | 2019年5月7日
 4月11日16時から、衆議院議員会館で、自民党最低賃金一元化推進連盟の「ヒアリング②」が開催され、黒澤幸一全労連事務局次長が「全労連全国一律最低賃金要求について」説明しました。説明の要旨を掲載しました。

最低賃金一元化推進議連のみなさんが、接近の仕方が私たちと違っても一番高い東京水準を掲げて最低賃金の全国一律制を実現させようと取り組まれていることに注目し期待しています。
全労連は、結成から30年、行動綱領で三つの要求、大幅賃上げと労働時間短縮と並んで、全国一律最賃制度の実現を求めてきました。この間 35万筆余の請願署名を集め、地方議会での意見書採択をすすめ、このようなTシャツでデモンストレーションをしたりと取組みを進めています。日本の賃金は世界水準からも劣後 地方や職場から寄せられる声は切実です。「最低賃金 786円では低すぎ。健康で文化的な生活を送ることは到底無理」「最賃は、今すぐ千円以上に」「 地域経済を支える中小企業を守る仕組みを追及して」など声が寄せられています。
①あまりに低すぎ、それだけで生活するのは難しい。
②地域間格差があり、差別的状況にある。
③中小企業支援策が貧弱で、国際比較でも極めて低い水準にあることです。
地域別格差では高い東京の時給と低い鹿児島では 224円もの格差があり、毎年拡がっています。日本の中小企業支援は、87億円の実績にとどまり、フランスの2兆円規模の対策と比して極めて貧弱です。最賃上げて、生活を底上げし、地域を元気にできるように、最賃を決めるベクトルを変える政治決断が必要です。

ある県の知事は「同じ全国チェーンのコンビニの賃金が異なっていることに、強い違和感を覚える。全国一律にすべき、これによって企業がつぶれる事はない」と述べています。全国知事会からも、地域経済の好循環の拡大に向けて国に要請が上がっています。地域別最賃が人口流失を招き、地域経済を疲弊させています。 「最賃が低い地域は賃金が低い」これが実態です。最賃と賃金の相関は極めて高く、 最賃を上げない限り、賃金は底上げされません。 厚労省の資料でも15歳から29歳の若者たちが都市部に流れているとデータが示しています。地方の人の流出が地域経済を疲弊させていることは明らかです。数年かかっても日本の最賃を全国一律制にしていくことが、「格差と貧困の是正」と「地域経済の再生・活性化」のために必要不可欠です。又、産業・業種別の特定最賃はしっかりと残す必要があります。

最賃が上げられることと失業率に相関性はありません。イギリスなど世界の事例を見ても明らかです。日弁連の経営者協会などへの聞き取り調査でも、「最賃上がったことで、会社がつぶれている状況にはない」(青森、鳥取)と報告されています。むしろ 最賃引上げで経済波及効果が期待できます。 大きな地域間格差とあまりに低い最賃を是正するには中小企業支援が必要です。社会保険の企業負担減免など世界の好事例を参考に、実効性のある中小企業支援策をセットで行うことを求めたいと思います。
最賃の抜本引上げと全国一律化によって国民の所得が増えて国内生産が誘発され、地域経済の活性化や 地域循環型の経済が元気になっていきます。

最後に、まとめとして三点、要請したいと思います。
一つは、「格差と貧困の是正」と「地域経済の活性化」のために一日も早く全国一律最   賃制度を実現させるためにご尽力いただきたい。
二つ目は、若者も女性も非正規雇用も、すべての労働者の生活を守るため、最低賃金の抜本的に引き上げにご尽力いただきたい。
三つ目に、そのために実効性のある中小企業支援策を具体的につくっていただきい。このことを お願いして終わります。