うどんチェーン店・店長の民事訴訟「和解」

2016年3月、過重労働で労災認定を受けていたうどん店の店長Aさんは、弁護士と相談して昨年年末に民事訴訟を提訴しましたが、先月和解しました。担当されたブラック企業被害対策弁護団北海道支部の弁護士からの報告を掲載します

大手うどんチェーン店に店長として勤務していた札幌在住のAさんが2016年末に会社を相手に安全配慮義務違反による損害賠償請求を求めて提訴した裁判が、第1回期日前に和解で解決しました。

Aさんが2012年に入社した大手うどんチェーン店では、店長が複数店舗を担当するとされており、Aさんも3店舗の店長を兼任させられました。Aさんは、20年近く飲食業界におり店長経験も豊富なベテランでしたが、流石にこのような勤務形態は初めてで、14日間連続勤務、月110時間超の残業を含む過酷な労働を経て、入社後わずか4ヶ月でうつ病を発症し入院することになりました。

Aさんは、うつ病が小康状態になったあと2015年に労災申請を行いました。会社の非協力的な対応もあり当初は難航しましたが、いの健センターの助けもあり、2016年に無事労災支給決定がなされました。これを踏まえて、会社の安全配慮義務違反を問うために提訴したのが冒頭で述べた裁判です。

Aさんとしては、長時間労働に対する社会的な注目が高まっている情勢でもあり、裁判を通じて会社の社会的責任を問いたい想いもありましたが、未だ療養中であり、裁判を行うことに医師から消極的な意見があったことや、会社側からAさんが納得しうるだけの和解案が提示されたことから、和解に踏み切りました。

諸般の事情により、和解内容や交渉経過について述べることはできませんが、今後、会社が再発防止のための労働安全衛生活動を行うことをAさんは確信しています。

また、この裁判を提起するにあたりワタミ過労自死事件のご遺族が設立した「望基金」からご支援を頂きました。このご支援を頂いたことによりAさんはとても励まされましたし、「望基金」の支援を得た事件であると会社側が認識したことが早期和解に繋がったようにも思います。

和解成立を受け、Aさんは寛解を目指し職場復帰に向けた努力を開始しています。

この事件を担当したブラック企業被害対策弁護団北海道支部としてもご本人にとって良い解決がなされたことで職責を果たすことができたことに感謝するとともに、今後もこのような被害者の救済にあたっていく所存です。

ブラック企業被害対策
弁護団北海道支部
弁護士 中島 哲