KKR札幌医療センターを民事提訴

杉本 綾さん過労死事件

 謝罪と現場の改善、償いを

新卒看護師・杉本彩さんが2018年10月労災認定されたことを受けて、2019年7月29日、遺族と弁護団はKKR札幌医療センターを運営する国家公務員共済組合連合会に対して、病院の安全配慮義務違反によって 綾さんが死亡したことへの謝罪と再発防止措置、損害賠償を求めて札幌地裁に提訴しました。
遺族と弁護団は、提訴後、記者会見を行い、提訴に至った経過と訴状の概要を説明しました。
「新卒看護師の過労死裁判を支援する会」は、18時30分から「裁判勝利をめざすつどい」を開催し、勝利判決までたたかうことを決意しあいました。

長野順一弁護団長の報告

2018年10月26日札幌東労働基準監督署は、杉本彩さんの自死について、労災不支給処分を取り消し、支給決定を行いました。訴訟継続中に司法判断ではなく、処分庁自らの判断として不支給処分取り消し(いわゆる自庁取消し)が行われたことは、それだけ綾さんの過酷な勤務状況が明確であったことの証でもありました。
それを受けて、遺族と弁護団は病院に対して、①綾さんが過労自死したことについての責任を認め、謝罪すること。②今後、二度と過労死が起きないよう、適切かつ具体的な措置を講ずること。③今回の被害と病院の責任にふさわしい損害額を遺族に支払うこと。の3点を求める文書を送付し回答を求めました。
このような文書を送付したのは病院に対して、訴訟によらずに、責任を自覚して同じ悲劇を繰り返さないための取り組みを真剣に進めてほしいという、母親の強い思いがあったからであり、病院が自主的にそれに応ずることへの期待もあったからです。
しかし、病院側から届いた回答は「綾さんに長時間・過重労働は無く、病院側には安全配慮義務違反の責任はないと考えている」「この点については今後訴訟において主張・立証する予定である」というもので、話し合いによる解決の余地すら否定するものでした。  そのため、私たちは、法廷の場で病院の責任を明らかにするため、今回の民事訴訟を提訴しました。
病院側は、民事上の責任(安全配慮義務違反)はもとより、労基署が認定した「長時間、過重労働」や「業務との因果関係」さえも争ってくることが予想されます。
しかし、私たちには、すでに行政訴訟の中で獲得した大きな成果があります。また、支援してくださる皆さんや世論の大きな支えがります。それらを武器に、訴訟を勝ち抜きたいと決意しています。皆さまのご支援を引き続きお願いいたします。

「KKRを提訴するにあたって」 綾さんの母親

     医療現場が良くなってほしい

昨年10月にこれまでたたかってきた結果の一つとして、綾の労災は自庁取消しという形で認定となりました。
しかし、綾が自分の存在を一番認めてほしかったのは、勤務先であった、KKR札幌医療センターであることは間違いないと思って居ります。そして、二度と綾のような思いをする方が出ないように、私のような死ぬまで苦しい思いをする親や家族を作らないためにと、KKR札幌医療センターに二度、通知文を提出いたしました。 民亊訴訟という形でたたかう事が最良だと思っていない事、綾の事件を教訓に今後の業務改善をお願いしたい旨の内容でした。しかし、「是正勧告」を受け、職員の過労死が労災認定され、メディアにも流れたにも関わらず、いっさい責任については認めず、民事訴訟でのたたかいの意思を示されました。
それは私にとって、とてもつらい返答でした。綾はKKR札幌医療センターに内定をもらった当時、とても喜んでいました。自分の入職する職場に誇りを持っていました。だからこそ、頑張ったのです。その気持ちが否定され、今も働いている職員の方々に向けても業務改善の意思がないことを公言されたような虚しい気持ちで落ち込みました。
それでも、応援してくださる方々や、これからの医療の現場が良い方向に変わっていくためにも、民事訴訟の場で訴えていきたいと思って居ります。
また、どのくらいの期間になるかはわかりませんが、これからも見守っていただけたらと思います。何卒、よろしくお願いいたします。