10月22日・23日に、苫小牧市で「ひろがる格差・すすむ健康破壊=人間らしい働き方をめざして=」をテーマに「2016年働くひとびとのいのちと健康をまもる北海道セミナーin日胆」が開催され、労働をめぐる情勢の学習や労災・職業病・労働環境改善のたたかいなどの交流を行いました。道内各地、苫小牧・室蘭などから働く仲間129人が参加しました。
福地保馬実行委員長(北大名誉教授)から「安倍政権は「働き方改革」という欺瞞に満ちた政策を推し進めようとしています。これは飴のように見せかけた鞭を使って国民をたたくことが目的です。今年は、長年の念願であった日胆地域・苫小牧市での開催となり、やっと希望が実現できました」と開会挨拶がありました。
宮崎有広現地実行委員長(勤医協苫小牧病院院長)から苫小牧の労働者の状況とセミナー開催の意義にふれ、非正規労働者の過酷な健康被害の実例を挙げ「そういう仕事を選んでいるのは自己責任でしょうという風潮は本当に強い。そうしたことを変えていく、人間らしくまともな働き方ができるようにどう近づけていくかということをこの二日間で学んでいきたい」と歓迎の挨拶がありました。
続いて、村井勇太事務局長の基調報告がありました。
川村雅則氏(北海学園大学経済学部教授)による記念講演では、氏の調査研究から具体的な数値、実践例をあげ、格差と貧困、富の再分配、労働契約法をめぐる危険性、官製ワーキングプア、若者を取りまく困難などを解明し、人間らしい働き方の実現や格差をなくすためには労働組合の役割がますます重要となっていると訴えました。長野順一氏(道建設アスベスト訴訟弁護団事務局長)が、2月14日に判決を迎える「道建設アスベスト訴訟のたたかいについて」特別報告を行いました。
柿田泰成氏(さっぽろ青年ユニオン執行委員)から青年を対象としたブラック企業アンケートの結果を踏まえた「青年の労働実態と青年ユニオンの活動」の報告。
野呂一誠氏(勤医協室蘭診療所事務長)から「室蘭市の工業地帯の特徴とばいじん被害そして健診・アスベスト相談活動の報告」。
森下克弘氏(苫小牧ローカルユニオン事務局長)から「労働相談の事例から労働者の実態と生存権が保証される労働環境の実現を目指す取り組み」の報告がありました。(一面から)
セミナー二日目は、分科会と全体会が行われました。
第一分科会「人間らしく働く職場をつくるために~長時間・パワハラ・過労死のない職場づくりをめざして~」は37名が参加。「長時間労働」「パワハラ」「過労死」に係わる事例報告と「過労死相談20事案」「パワハラの労働組合の対応」「高校教員の長時間過密労働と部活動」の報告、そしてフロアからは「自死事件まで生じている過重労働とパワハラの実態、メンタル不全のたたかいの困難さへの対応の質問等が出され3人の助言者から「長時間労働と過労死」「パワハラを考える」「職場で健康障害を防ぐ、健康障害予防の原則」の小講演が行われました。
第二分科会「じん肺・アスベストなど職業性疾患をなくすために」は27名参加。「アスベスト肺がんの労災認定事例」の小講演後に「石綿手帳健診」「建交労労災部会の活動報告」「建交労鉄道本部の石綿健康管理手帳取得のとりくみ」「北星病院における職業病に関わるとりくみ」などの報告を受け意見交流をおこないました。
第三分科会「医療・介護・福祉労働者の「こころ」と「からだ」の健康をまもるために」は16名参加。職場の法令順守度チェックを参加者が行い、職場の仕事量・法令順守を考えるトークセッションを行いました。
閉会の全体会で、島田度副実行委員長がまとめの報告を行いました。ブラック企業の問題は結局はブラック政治経済の問題。その病根にどう立ち向かっていくかが我々の大きな課題。
日胆セミナーでは二桁の20代30代の若者に参加いただき、そこに希望を感じた。初めて苫小牧、日胆地域での開催で、地域の方々に尽力いただいて、たくさんの方が参加した。地方でこういった活動が必要とされていることだと実感した。このセミナーを契機に、職場の日々の実践と個別のたたかいを積み重ねていくことで日本全体の職場をよくしていく活動につなげていただきたい、と訴えました。