~どうして見えない残業がなくならないのか~
菱木 淳一 高教組・書記長
北海道高教組と全北海道教職員組合が実施した、教職員の働き方に関するアンケート結果についての記者発表と、北海道教育委員会に対する要請行動を、12月13日に実施しました。
2017年4月末、2016年度に文科省が実施した教職員の勤務実態調査が公表され、新聞紙面上では「過労死ライン、中学校で約6割、小学校で約3割」などの衝撃的な見出しで報道されました。
社会問題になった教師の長時間労働
以後、瞬く間に教職員の超勤問題が社会問題化、それから、約5年近くが経過しました。
北海道の教職員の超勤実態は、道立学校の出退勤管理システムでの集計では、2021年9月の調査において、上限時間超えが、高校31.0%、特別支援学校9.9%となっており、相変わらず、超勤の実態は深刻です。
しかし、この数字は本当なの?という声が現場から聞こえています。労働法制の改正により上限規制が規定され、学校においても上限指針が定められ、出退勤の記録を計測し、四半期ごとに記録を公表しています。 しかし、それが教職員の働き方の実態を正しく表したものになっているでしょうか?
そこで、学校で実施されている勤務時間の記録の実態や問題点について可視化するために、 全道すべての教職員を対象に「働き方実態アンケート」を実施しました。
打刻前始業、持ち帰り残業次つぎ
その結果、出勤時、タイムカードなどの打刻をせずに仕事を始めている、または退勤打刻後に仕事を継続したことがあると回答した教職員が約3割いることが明らかとなりました。
その理由としては、「上限時間を越えないように」が最も多数を占め、意図的に実際と異なる記録をしているケースが見られました。
また、持ち帰り残業がある方が72%で、そのほとんどが記録されていないことがわかりました。定数改善や業務の大幅削減が示されないまま、「時間外在校等時間」の上限時間を越えないように、あるいは、産業医との面談の対象とならないようになど、有形・無形の圧力が強くなっていることから、あきらめのような形で労働実態と異なる記録につながっていることが推測されます。
人員の充実で超過勤務の改善を
アンケートを実施した道教組と高教組は、いの健北海道センターの協力を得て、道教委へ緊急要請、報道機関への記者発表を行いました。同席した、細川理事長からは、学校の産業医として面接指導に関わった経験から、超勤を早急に改善することの重要性、木幡事務局長からは、教職員の増員、少人数学級の実施は不可欠であること、島田理事からは、KKR札幌医療センター看護師の杉本綾さんの事例から、過労災害における持ち帰り残業(シャドーワーク)の問題について説明をいただき、たいへん、力強い要請となりました。北海道新聞には、翌日に掲載されました。
今後まずは、1600を超える教職員の協力によって可視化された結果を、学校現場に返すことに重点を置いてとりくみます。また、道教委に対して、このような状況を改善するよう強く求めていきます。