過労死防止啓発月間過労死のない社会、今こそ!
厚労省主催の過労死防止を考えるシンポジウムが、11月23日、札幌市教育文化会館で開催され一四〇人が参加しました。今回は、「電通」の新人社員の過労死で世論が高まる中、「防止」に向けて参加者の決意が示されたシンポジウムとなりました。
玉木一成弁護士が新人女性職員が過労死したワタミ事案を題材に基調報告
居酒屋ワタミ事案について担当した玉木弁護士は、電通の女性社員の過労死事件を引きながら、わずか2ヶ月の勤務で過労死した26歳の女性の事例を報告しました。
2ヶ月間の勤務実態を示したデーターをもとに、夕方から翌日の午前3時・5時まで休憩もとれない中で勤務を強いられたこと、休日の研修会出席やレポートの提出も求められる等、新人に対する過酷な業務の連続だったことを指摘しました。
遺族は会社の対応を批判し、業務による死亡であること、会社と役員には法的責任があること、被告は謝罪し、再発防止に努めることを求めました。更に、損害賠償とともに未払残業代の支払いと同時期4年間に入社した社員に対して未払い分を支払うことなど求めました。これらの要求を認めさせ、「画期的」な和解を勝ち取ることが出来たと報告しました。
この結果から、過労死防止につなげる教訓を示し、過労死根絶に向けての取り組を呼びかけました。
遺族からの体験報告参加者の胸を打ちました
食品会社の支店長だった夫を亡くした妻と、新卒で急性期病院に勤務し8ヶ月で自死した看護師の母親が体験を報告しました。
報告は、過重な業務に苦しんでいるとき、「辞めさせ」られなかったことを悔やみ、仕事のために心身を壊している場合、早く相談してほしいと参加者に訴えました。
過労死を考える会(家族の会)からの報告
世話人代表の菊地悦子さんは、4年間の活動で過労死遺族が7から18になったこと、①相談対応と労災支援、裁判傍聴を行っていること、②啓発事業への協力、過労死遺児の会への参加など活動の広がり、③春と秋の親睦会の開催などの活動状況を報告しました。
最後に、過労死等防止対策推進センターの皆川洋美弁護士から、閉会のあいさつがありました。