公務災害に認定されました

By | 2020年8月11日

   職場環境と過重な仕事量

A町保健師のBさんは勤務直後から、職場環境が悪く、アレルギー疾患が悪化しましたが懸命に職務を遂行していました。Bさんは他の自治体でも経験があったため次第に業務量が増え、2年後からは多くの新規事業も手掛けることになり業務過重になりました。2016年からは「日本脳炎予防接種」とA町独自の新規事業業務が加わり、業務が回らない状態に陥りました。

   異常な集団パワハラ

しかし、職場ではBさんは電話を含む窓口対応をしないとの指摘が出始め、Bさんに対する日常的なパワハラが繰り返され「仕事をしていない」「あんたがいなくても仕事は回る」など暗に退職を迫る言動が浴びせられるようになりました。
12月の係会議では、体調不良の「診断書」の提出を求められました。提出すると全員の前で読み上げさせられ、その上、診断書の内容に因縁をつけられ再提出を求められました。主治医に書き換えを依頼しましたが精神的に大きな苦痛が続き、突発性難聴になりました。

   解決への必死の努力

この職場には問題解決力がないと考えたBさんは2017年6月地方公務員法による「公平委員会」に申し立て、総務課長と改善に向けて懇談をし、部署異動を求めました。しかし対応してもらえませんでした。
やむなく「自治体ユニオン地域支部」に加盟し、A町と団体交渉を行いパワハラの事実を認めさせ「確認書」を交わしました。 しかし、その後上司はBさんに「逆パワハラを受けた」と逆恨みし、スタッフも副町長も同様のパワハラ行為を繰り返す状況が続き、不信感が高まり心身ともに疲れ果てました。10月に精神科を受診して「うつ状態」と診断され休業と自宅療養になりました。

   公務災害申請へ

Bさんは2018年8月、いの健北海道センターに公務災害の申請で電話相談しました。以後、メールと電話のやり取りで申請準備を行ってきました。Bさんは当時のパワハラを思い浮かべると、症状が悪化するため作業はまさに「たたかい」でした。しかし、問題解決目指して、札幌の精神科医師、弁護士との面談を行い、同じ労災の被災者との交流などを通じて徐々に平常心で申請作業を行う事ができるようになり、2019年10月地方公務員災害補償基金北海道支部(地公災道支部)に公務災害の申請を行いました。申請書は「災害発生の状況」A4で26頁と添付資料52頁になりました。

  8カ月で認定

2020年6月11日、Bさんに地方公務員公務災害北海道支部から「公務災害認定」の電話連絡が入りました。申請して8ケ月の早期決定でした。パワハラ被害を受けてから5年目、休業してから2年半が経過し、今後の生活の見通しを立てるうえでも困難を抱えている中だったBさんは喜びをかみしめ、パワハラの根絶を改めて願っています。
そのため、地方公務員公務災害補償基金北海道支部に対して「情報開示」請求を行い、決定内容を把握したうえで今後の対応を検討する予定です。
【コメント】
この事件は住民の健康や生活を支える保健福祉の職場内で、医療知識のある職員間で起きました。また、A町も把握していたのに改善されませんでした。各職場の日常の見直しが欠かせません。