吃音のある新人看護師、過労死の取消訴訟
証人尋問実施、判決は10月14日
2013年7月、札幌市内の循環器系病院に勤めていた、吃音のある新人看護師Iさんが自死しました。
同僚看護師等の話から、Iさんの自死の原因が仕事にあるに違いないと考えたご遺族は、札幌東労働基準監督署に対して、労災の請求を行いました。しかし、同労働基準監督署、北海道労働局、及び労働保険審査会のいずれにおいても業務起因性が否定されたため、2017年11月、ご遺族は札幌地方裁判所に、労災の不支給処分の取消を求める訴訟を提起しました。その後、10回を超える裁判期日を経て、2020年6月17日午後、証人尋問が行われました。
原告側は、Iさんのお姉さんが証言しました。お姉さんは「弟は吃音があったが、性格は明るく多くの友人との交流があり、看護師として働くことを楽しみにしていた」と、自死したことが信じられないと証言しました。弁護士や裁判官からの尋問に対しても、堂々と回答していました。
国側の証人は、当該病院の看護課長(当時)と主任の2名でした。
原告は、吃音患者であるIさんに対して、吃りのない説明を求めての繰り返しの説明練習が行われていたことや、Iさんの試用期間が延長され、解雇(本採用拒否)の危険が生じていたこと等による心理的負荷によって、Iさんが精神障害を発症し、自死したことを主張しています。
これに対して、国は徹底抗戦の構えであり、国側の証人2名も、原告側の主張を否定する証言を繰り返しました。
しかし、国側の証人には、安彦・大賀弁護士の尋問に答えられず沈黙する場面もあり、また前後の証言の間で、辻褄が合わない部分も見受けられました。
尋問終了後に弁論終結となり、今後は、双方からの最終準備書面の提出を受けた上で、10月14日(水)13時10分に判決がなされることとなりました。
原告と国との主張は真っ向から対立しており、判決は予断を許しません。
この日は「密」を避けるため、傍聴者を制限しましたが、それでも予定を超える傍聴者が集まりました。判決日も「密」を避ける措置が取られることになる可能性がありますが、いの健道センターは、判決後、「報告集会」を行う予定です。多くの皆さんの傍聴をお願いいたします。