労災不支給の撤回を求めて

By | 2020年6月2日

*障がい者差別の「認定基準」を変えて…①

   不支給決定を受けたKさんが撤回を求めて札幌地裁に提訴

調理師として飲食店に勤務していたKさん(43歳・男)は、上司のパワハラと過重労働で精神障害の症状が悪化し、2018年2月から休業し労災申請をしましたが、2018年10月に労災の不支給決定を受けました。労働基準監督署は仕事内容・仕事量の大きな変化は「中」、時間外労働は「強」で全体評価は「強」でした。しかし2013年6月に、他の職場で勤務した時、パワハラでメンタル不全に陥り「適応障害」と診断されていたため、その時が発病とされ「特別な出来事」(長時間労働では「160時間以上」)がなければ認められないという認定基準の取り扱いに該当するとして不支給決定がされました。

審査請求は2019年9月に棄却され、再審査請求を行っています。
Kさんは、7年前の発病後、服薬で症状が改善し、リハビリ的業務を経て、医師の就労可能との判断を得て、2016年7月から今回の飲食店にアルバイトとして勤務していました。毎日12時間30分の拘束時間で、就職後1年間は他の職員と同様に勤務していました。ところが2017年8月以降、業務量の増加と職員減で、月100時間を超える時間外労働となり症状が悪化し、解雇問題も出される中、休業し労災申請に至りました。
現在の「認定基準」では精神障害を発病すると、症状が軽減して就労し、その後の過重労働で症状が悪化しても「月/160時間以上」の時間外がないと労災を認めないとしています。これは精神障害者への「差別」です。Kさんは不当な「認定基準」を正面から問いただすことを決意し、2020年5月に、札幌地裁に「労災不支給決定の取り消し」を求めて提訴しました。

 「直近1月160時間以上の時間外がないと労災を認めない」は、健常者より高いハードル、精神障害者には不合理です!!

私は3ヶ月連続100時間の残業をしたうえに、解雇予告などのパワハラも受けていたので、労災に該当するはずでしたが、「月/160時間の時間外」の壁があり、労災も審査請求も認められませんでした。国は障害者雇用を促進しようとしていますが、障害者は長時間・過重労働で休業しても労災認定の壁が厚く、労働者の権利が侵害されています。通院して働いている障害者が仕事と病気を治す事の両立ができるよう認定基準の改定を強く望んでいます。とKさんが訴えています。

*「再発」請求が棄却…②

作業中にトラックからの転落事故で左手を骨折して手術し、労災補償を受けてTさん(52歳・男)は3年経過した2019年5月に労災支給が打ち切られました。しかし、痛みが強く就業ができず、他の医療機関で「複合性局所疼痛症候群」と診断されたため、「再発」の申請を行いましたが、2020年4月に棄却されました。