過労死防止シンポジウム

 札幌 落語で過労死防止を訴え

 厚労省主催の過労死防止を考えるシンポジウムが、2017年11月24日、札幌市男女共同参画センターで開催され170人が参加しました。今回は初めて平日の午後行われ、各事業所から職員が参加しました。

 

会社も労働者も社会全体で 今こそ、過労死のない社会を

講演:上野武治氏  (精神科医師)

電通の過労死事件をはじめ最近の過労死動向にふれ、厚労省が長時間労働対策に取り組んでいる状況にあるとしました。
その上で、労働者のうつ病の病態と治療に関して業務関連ストレスで発症し、睡眠障がいと意欲の減退が起こり、脳内の画像では前頭葉の代謝低下に至る。回復に長期間を要し、自殺の原因になりやすいと指摘しました。
治療のポイントとリハビリ・職場復帰の課題と留意点に触れた後、発症前への回復には3年程度有するとし、予防の重要性を強調しました。
ILO(国際労働機構)は質を重視した労働時間を提唱しており、国連の社会権委員会は日本政府に対して、過重労働や過労死、セクハラに対して「勧告」を行っているとして、長時間労働・過労死根絶の取り組みの重要性を指摘しました。
そして、安倍政権の「働き方改革」は青天井の時間外労働を導入する危険があること、「残業規制」と言いつつ、繁忙期は月100時間までの時間外を認めるなど過労死ラインを容認していると懸念を表明しました。

 

 家族の会体験報告

① 吃音のある新卒看護師のパワハラによる自死の件について、母親から報告されまし た。
病棟勤務でしたが患者さんへの検査の説明で読む練習を求められ、スタッフが行き交う中でうまく話せず、強いストレスを受けていました。試用期間後もその延長を告げられ、    13年7月、勤務して4ヶ月目で「こんな自分に価値はなく・・・」との遺書を残して自死しました。
労災は不支給となり、その取り消しを求めて札幌地裁に提訴したと報告しました。

② 13年9月、工場で感電死した夫(電気技師)の事件について妻が報告しました。 当 時は時間外は「自己申告」でしたが毎月100時間を越え、実態はもっと多く、帰宅してもソファーで寝てしまう状況でした。当時は娘が2歳で下の息子が1歳でした。とてもかわいがってくれていました。
その日は娘が入園予定の幼稚園の運動会で未就学児枠で娘の初めての運動会の日でした。前夜は徹夜だった夫はふらふらした状態での勤務でした。「もう無理!」のメールを私に送った直後の事でした。 会社は事故で労災を申請し、労災は認められましたが、その要因は過重労働です。現在、札幌簡易裁判所で調停を重ねています。

③ 15年2月、28歳の息子さんが建設コンサルタント会社で設計業務を担当し、入職して10ヶ月で自死しました。1ヶ月前の時間外は208時間でした。会社を訴え和解は成立しましたが、死亡事故の場合は指名停止などの社会的制裁がありますが、長時間労働を課して従業員が死亡してもそうした制裁はありません。過労死防止のためには事故と同様の制度が必要ですと訴えました。

 

 過労死落語
「ケンちゃんの夢」
招福亭松枝 師匠

創作落語で4度目の上演でした。師匠は、大手製薬会社で働いていた父親を過労死で亡くした家族がその責任を明らかにしようと奔走する人情落語を熱演しました。参加者は時折笑いを交えながら、落語を通じて過労死遺族の思いを強く受け止めることが出来ました。