労災不支給の撤回を求めてー2

By | 2020年9月4日

 調理師が札幌地裁で意見陳述

 人員減で発病直前に月100時間を超える時間外労働で「強」とされたのに、3年前の「適応障害」が初診とされ、労災不支給とされた調理師のAさんは、その取り消しを求めて2020年5月に札幌地裁に提訴しました。第1回期日でAさんが行った意見陳述の概要を掲載します。

 私は18年間、調理師として勤務してきました。しかし7年前に居酒屋でパワハラを受け「適応障害」になり職場をやめました。治療を受けて回復し4年前に飲食店に契約社員として勤務しました。
調理師の仕事は長時間労働が当たり前で、月70時間~80時間の時間外がありました。私は通院治療を継続していたのでつらい中、働き続けてきました。しかし平成29年の年末に1人退職者が出て、補充がないので長時間労働がさらに長くなり、月100時間を超えるようになりました。それでも、病気になった私を雇ってくれた会社なので、体に鞭打って出勤を続けました。しかし、平成30年2月、うつ状態となり起き上がることが出来なくなりました。

 私はそもそも、平成29年の前半頃には、ほぼ健康体の状態に戻っていたと思っています。たしかに通院して、投薬を受けていましたが、当時私がこなしていた仕事の量は、健常者でも音を上げてしまうくらいの長時間労働でした。調理師の仕事は肉体的にも負担が大きいし、常に時間に追われており、また、お客さんからの反応がダイレクトにあるので精神的な緊張の度合いも高い仕事です。このような仕事をちゃんとこなしていたのですから、当時の私の心身の状況について病人と同じ基準で判断されるのはそもそも納得がいきません。
 さらに、それでも私が病人だったという前提で考えなければならないのであれば、私の病気が悪化したことについて、健常者であれば普通に労災が認められるほどの長時間労働をこなしていたのに、私が病人だから労災も認められないといというのはどう考えても逆さまの話だと思います。
 私が病人だというのであれば、本来であれば通常の健常者よりも守られなければならないはずなのに、なぜ病人は健常者よりもひどくこき使ってよいという事になるのでしょうか。
これでは、一度メンタルの病気を病んだ人は、治療を続けているうちは復職できないと思います。このような労災の基準は明らかに間違っていると思います
私も経験しましたが、メンタルを病んだ人が復職先を探すのは、ただでさえ大変です。そうであるのに、復職したらしたで、健常者でも許されないほどの仕事をしても労災が認められないというのでは、一度病気になった人は二度と社会に復帰できなくなるでしょう。そのような社会であってはならないと思います。
裁判官のみなさんには、是非、公正な審理と判断をお願いいたします。

 この裁判は今の精神障害の労災認定基準の問題点を問うものです。厚労省は来年、新しい基準にするとしています。精神障害者を差別する現行制度を変えるために、皆様のご支援をお願いします。                                    いの健 事務局