過労死防止シンポジウム

 

長時間労働を無くして「過労死」を根絶しょう

11月18日(月)午後、札幌市内で「過労死等防止対策推進シンポジウム」が開催され、経営者、会社員、公務員、学生など180人が参加しました。基調講演、体験報告、取組事例報告とパネルディスカッションが行われ学びの多いシンポジウムとなりました。

開会あいさつは北海道労働局労働基準部長の久富康生氏が行い、北海道と札幌弁護士会から来賓あいさつがありました。

 基調講演  榎森 耕助 氏

   『過労死大国日本の異常な働き方について』

タレントで「せやろがいおじさん」名でユーチューブに動画を発信している榎森耕助さんは、冒頭、教員の過酷な勤務実態と変形労働時間制の問題を指摘した動画を放映しました。アップテンポで問題の本質を鋭く喋りまくる内容に場内は圧倒されました。過労死をテーマにお話しするのは初めてという榎森さん。シンポジウムに向けて必死に勉強したとして、①「働きすぎで命を落とす」日本は世界的に見て異常で特殊。② 長時間労働は心身の異常をもたらし大きな弊害になることは多くの学者が指摘している。③ 特に心の疲れを解消するためには、短時間の睡眠では無理であり、酔ったまま働くことになりかねない。④ 人口オーナス期(少子高齢化)にみあった働き方を考え、男女ともに、短時間で、多種の条件を持った人で職場を構成することが大切。などと指摘しました。 家庭や私生活と仕事をバランスよく調整することで、「ライフのインプットがワークに生き、ワークで得た活力がライフをより豊かにするワークライフスナジー(相乗効果)が必要だ」と結びました。

講演後、榎森氏は過労死問題の新作動画をユーチューブに公開しました。講演内容がコンパクトに伝わります。

 過労死遺族の体験報告

◆4年前に20歳代の長男を過労死で失った遺族(母親)は、亡くなる一ヶ月前の時間外労働が200時間だったとし、スポーツマンでリーダーシップもあり全国に多くの友人を持っていた人間でも「過労」でつぶされるとし、長時間労働をなくせば過労死は必ず防げると訴えました。

◆6年前に30歳代の長男をパワハラで亡くした遺族(母親)は、労災不支給決定の取り消し裁判の状況を報告し、支援者に支えられたたかっていると報告しました。

 取り組み事例報告

職場での取り組み事例は、アートシステム株式会社の浅野 剛(常務取締役)が「働き方改革への取組み~業務量の見える化~」をテーマに報告しました。

その後、パネルディスカッションを行いました。概要は次ページに掲載しています。
最後に、過労死等防止対策推進北海道センターの佐々木潤(弁護士)・共同代表が閉会 の挨拶を行いました。

  パネルデスカッション

コーディネーター  川村 雅則氏 海学園大学教授)
パネリスト     榎森 耕助氏 (タレント)
浅野 剛 氏 (会社役員)
村山百合子氏 (過労死を考える家族の会)

                 過労死ゼロの伝え方

 川村: 「防止法」ができて5年経過するが、社会への伝え方が大事。我々はどこまで        それができているか。「せやろがいおじさん」として社会問題などをユーチューブで積極的に発信、しかも、人を傷つけない笑いを追求している榎森さんを今回講師にお願いしたのはそのような思い。
榎森: 最初は地元の沖縄問題などの時事ネタを発信していた。どうすれば見てもらえるかを考え、とげとげしい事を言うと伝わると思った。できるだけ提案型の発信を考えている。
川村: このシンポは企業側からの発表者の確保に苦労していた。浅野さんの会社は働き方改革に取り組んでいる。有休取得が増えたのはなぜ?
浅野: 念のため言えば、うちは過労死を出した企業ではありません。「働き方改革」でアンケートしました。有休取る人少なかったので、取得を勧め増えました。

          公共の仕事で労働環境の整備を進める

 川村: 自治体からの受注が多いようですがIT関係の仕事は納期との関係で大変では?
浅野: そのあたりの調整は結構大変です。
 川村: 公共工事で息子さんを亡くされた方の報告が先ほどありました。国や自治体の     仕事を受注する事業者で労働者が困窮してはならない。私たちが制定を目指す「公契約条例」は、国や自治体の発注する仕事で賃金や職場環境をまともにすることを目指すものです。
榎森: 企業だけでなく自治体の役割も大事ですね。働く職員が充実している事業者を応援するようにしなければと思います。利益だけで考えない。社員をハッピーにしようという会社に応えて欲しい。
川村:字つは沖縄県にも理念型の公契約条例が制定されているんです。榎森さんこの問題をぜひ、ユーチューブで発信してください。
浅野: 労働環境の整備に取り組んでいる企業を応援してもらえるのは嬉しい。

     過労死の原因明らかに

川村: どんな働き方で過労死したのかが明らかにならないのは大きな問題だと思いま       す。
村山: 息子の過労死について、病院は説明を拒否しています。職員には「かん口令」が敷かれているようです。事実を確認するため、困難な中、情報収集しています。
 川村: 過労死防止の取り組みは家族の会の力が大きいです。しかし、本人が亡くなった中、家族が真相を突き詰めるのは大変です。労働時間が管理されていない。ワークルール、当たり前のことが根付いていない。芸能界にもそんな問題がありますね。
榎森: 「契約」あること知らん。事務所も知らんぷり。働く人が声を上げなければ。ところで、驚いたのですが、「かん口令」を敷くなんていうのは労災隠しでは?
 村山: 裁判では遺族が事実を示さなければならない。命を守る病院で新人が命を落とす。他の職員も余裕がない。経営者は業務起因を全否定。支援者と一緒にチラシを配布している。

           ハラスメント対応

川村: 今年5月、職場での優越的な関係上の言動に関するハラスメント禁止法が成立しました。範囲が狭く、例えばフリーランサーが対象外であったり消費者からの深刻なハラスメントも除かれていることや、防止の措置義務が企業に課されたけれども行為の禁止規定が盛り込まれていないなど多くの課題が残っています。しかし一歩前進です。6月にILOで職場から暴力とハラスメントを全面禁止する、罰則付きの内容で条約が採択され、各国に批准を求めました。それを目指しつつ、パワハラ・セクハラ禁止に向けて声を上げてゆきたいですね。
榎森: ハラスメントは業務効率を下げます。管理能力の問題です。動画はまだ作っていないので動画で応援したい。
 浅野: パワハラでは上司評価を厳しくやっています。従業員との個別の面談も定期的に行っています。
 川村: 生産性の観点だけでなく、みんなが気持ちよく働き続けるようにしなければなりません。「あったかファミリー企業」を目指しましょう。
過労死防止のために参加した皆さん一人一人ができることを考えるきっかけになればと思います。
(文責:いの健事務局)