2019北海道セミナー

            北海道セミナーで学び、交流し合う

       『一日8時間労働』を当たり前の社会に!

   2019年働く人びとのいのちと健康をまもる北海道セミナーは、10月26日、札幌市内で開催し、記念講演と四つの特別報告、三つの分科会で、講演と報告を受け討論し学びあい交流しました。

 細川 誉至雄実行委員長(いの健道センター理事長)は「台風で、各地で多大な被害を受けた。政府はスピード感ある対応が求められる」「労働者の現状は実質賃金の減少や非正規雇用が増大、過労死・過労自死などの労災申請の件数は増加している。どう打開するか学び合おう」と開会あいさつを行いました。

 伊達正勝実行委員会事務局長が基調報告を行い「36協定の締結強化や有給休暇年5日取得義務化など、前進した一方で、精神疾患の労災請求件数は過去最高を更新、健診の有所見率は半数を超えるなど、労働者の健康が脅かされている。改善に向けて話し合おう」と呼びかけました。

 記念講演は岸 玲子・北海道大学特別招へい教授が「日本学術会議『労働・雇用提言』から8年を経て―働き方改革への社会への底流と変革への期待」をテーマに講演。岸教授は、労働衛生の取り組みの歴史の紹介や、EU諸国に比べ日本は非正規介や、EU諸国に比べ非正規と正規との賃金や待遇の格差が著しく、最も貧困なのは働く母子家庭であることを指摘。日本は1日8時間労働などを謳ったILO条約を批准し、貧困格差を是正すべき」と強調しました。

特別報告は①外国人労働者の実態と「共生」への課題(小野寺 信勝弁護士)
②中小企業・フリーランスの労働と健康実態(大井川 政典札幌北部民商事務局長)
③建 設アスベスト裁判の到達点と課題(長野 順一弁護士)
④介護現場の24時間勤務の実態と課題(鈴木 貴人特養もなみの里施設長)から報告されました。

午後は、「メンタル・パワハラ」「働き方改革」「夜勤・深夜勤務者の健康」の3分科会が行われ、五つの講演と14の事例・活動報告がされ、現場の実態と改善すべき課題について意見交換し交流しました。
閉会のあいさつで長野 順一副実行委員長(弁護士)は、「1日8時間働いて安心して暮らせる社会を当たり前にするためにがんばろう」と呼びかけました。

感想文

★労働者の置かれている状況の大変さを感じた。改善するために何ができるのか考えさせられた。
★問題意識を共有し、学習できる機会は、今まさに求められていると感じた。

記念講演
岸 玲子  先生    (北海道大学 特別招へい教授)

【講演概要:文責は事務局】
 最初に日本の産業衛生や労働安全衛生の歴史を紹介。明治になって西欧に100年遅れの近代化を担ったのは紡績・繊維産業で労働者の主体は女工であった。あまりにも過酷な労働実態で多くが死亡あるいは重病(結核が多発)になり働き手がいなくなる事態が発生、1916年にやっと工場法が施行された。同時期にILOが設立(1919年)され第1号条約(1日8時間労働、週48時間に制限、14歳未満の児童の使用禁止、等)が採択、 しかし日本は除外規定で扱われることを要望。しかも戦後に労働基準法が施行(19年)され労働省が発足したが「36協定」という抜け道を作ったため、日本では一日8時間労働制は実質的には守られず、残業は無制限、週48時間を超える労働も実際は制限がない実態が続く。現在日本で起きている様々な労働問題は100年経過した現在も国際基準であるILO条約において、日本は189ある採択条約のうち48しか批准していない事と関している。

   11年前に日比谷公園「年越し派遣村」ができる事態となり、日本学術会議(内閣府)は労働・雇用に関する課題別委員会が急がれると考え2011年に最上位に「健康な労働と職場環境改善」をあげ、提言を行ったとの事(内容は学術会議HPを参照)。
その後、日本産業衛生学会・政策法制度委員会から2013年度以降も5本の提言をおこなった事を紹介。特に労働安全衛生に関する普遍的な条約である第155号と職業衛生機関に関する161号条約の批准が急がれる、と強調された。さらに健康で働きがいのある労働(ディーセント・ワーク)について触れ、過重労働を防ぐうえで18本ある労働時間や休暇に関するILO条約を1本も批准していない点も問題視した。

  最後に我々はこれから、どのような社会を目指すのか?では、日本の貧困・格差社会の根源は労働・雇用の問題であり、年金の問題であると指摘。特にジェンダーでの視点での改革が必須と述べ、未来に向けわれわれ自身の主体的活動の必要性と岸先生の考えを提案された。最後に「裏切るなら絶対に許さない」スウェーデンの高校生グレタさんのニューヨークでの訴えを紹介しました。

分科会報告
 第1分科会 働き改革を味方につける

14人が参加。安彦裕介弁護士が1時間の講演。長時間労働の是正、同一労働同一賃金など、これまでとの違いを詳しく説明。広く深く学べた。行政が示すガイドラインは使用者に守らせるべきだが、労組としては「守り」ではなく、それを超えて取り組むことが必要と議論された。報告演題は4人からされました。

 第2分会 メンタル・パワハラの予防と補償

25人が参加。島田度弁護士が講演。パワハラに関わる労災申請は増えているが、現行の労災「認定基準」では認定が難しい。労組側がパワハラに取り組み「これはパワハラ」と労働者が声を上げることを期待した。これに対して「声を上げると仕返しに遭い困難」と率直な意見が出された。
演題は4人から報告され、それぞれ身につまされる内容だった。立ち上がって頑張っている当事者の声に共感し、支援したいとの思いを持ちました。

 第3分科会 夜勤勤務者の健康問題

18人が参加。川島 亮平医師が「夜勤と健康への影響」を講演。生体リズムを崩す夜勤は長くやっても馴れることはないと強調。「夜勤の法的規制」を長野 順一弁護士が講演。「医労連の夜勤実態調査結果から」を鈴木 緑道医労連委員長が報告。16時間連続夜勤の増加に関して警鐘を鳴らした。
介護のワンオペ勤務。コンビニオーナーの深夜勤務。運輸労働者の過酷な勤務状況などが報告され、健康被害の根絶への課題について、意見交換しました。