2019年労働安全衛生学校

三つの講演と報告、議論で充実した学びでした

第一講義

パワハラ問題~
            職場の対応を考える
                                                   講師:畠 由架利 氏 (産業カウンセラー)

職場におけるハラスメントはパワーハラスメントからセクハラ、マタハラ、モラハラなど多くが存在している。ハラスメント行為は、働く人の個人としての尊厳を不当に傷つける、社会的に許されない行為。しかし加害者は「指導したつもり、傷つけるつもりはなかった」と異口同音に自分は悪くないと釈明。しかしハラスメントを受けたために仕事への意欲が低下し、メンタル不調や病気につながり、さらには生きる希望を失い自殺することにもつながりかねない。行為者(加害者)にならないためには感情をコントロールする能力やコミュニケーション能力を身に付ける必要があり、被害者、行為者にならないためにチェックリストでの自己点検と合わせて、過重な業務を軽減し、労働環境を改善するなど働きやすい職場づくりが大切であることなどを指摘しました。
職場での対応では相談者のプライバシーを確保できる相談窓口の設置(職場内・労組・外部機関など)最終的な事実認定は公正中立な委員会の設置と慎重な審議が必要となる。
一旦事案が起きると多大な労力を要する。相談があれば「職場改善への第一歩」として働きやすい職場づくりにつなげる努力が必要と強調しました。

感想文から

★とても分かり易く、自分の経験や立場の違いを思いうかべて話を聞いた。“防止のためにアンガーマネージメント”について深く学びたいと思った。
★ハラスメントは増えている。1度ハラスメントが起きると解決に時間がかかり、被害者、行為者、会社に不利益を被ることなど分かり易い講義でした。職場で相手を尊重しながらコミュニケーションをとって行きたい。
★講義とても聞きやすくかった。職場でのハラスメントは無いと思っているが、自分が無意識でそういう行為をしていないかという思いに至った。ハラスメントの学習をきちんとしていないので、学習の必要性を感じた。

第二講義

労安活動の基本と
               小規模事業所の活動
                                               講師:村上 剛志 氏  (社会医学研究所・理事)

村上氏は、労働安全衛生法(労安法)の歴史は昭和47年に労働基準法から分離し体系化され、法制化で労災による死者が6千人から1千人に激減したと紹介。労働者の安全と健康の確保と快適な職場環境の形成促進するために労安法があり、事業者には労災防止の最低基準の遵守だけではなく、労働者の安全と健康を確保する責務があると強調しました。
小規模事業所の労安活動は、従業員50人未満の事業所に安全衛生委員会の設置義務はないが、労働者の意見を聞くための委員会や懇談を設けるべきと労安法で定められているとし、文科省は安全衛生委員会の設置義務のない学校も設置義務のある学校に準じた体制の充実に努めるべきとの通知や、ある教育委員会では衛生委員会を原則月1回以上の開催を求める通知を発出して安全衛生活動の活性化を促していると紹介しました。また、現場では長時間労働防止のために校内を消灯する「ライトダウン」、教員からの要求で男女別の休憩室を設置させた例が報告されました。
最後に村上氏は「労働者の安全と健康とは一人一人が生きていく人間として活動する基本条件であり、それを守るためには安全衛生委員会の機能の充実を期待する」と呼びかけました。

感想文から

★労働安全衛生法について学べた。具体的に院所担当者に聞かせたかった。
★本当の姿が理解できた。残業時間の管理ばかりに時間を使っていて職場環境の問題など議事に上がったことがない。
★50人以下の職場で安全衛生委員会も組合の中で初めて知ったのですが、必要性を強く感じた。
★安全衛生活動が多彩にあることを知った。要求を掴むことで活動計画が作れることも分かった
★労基法は意識しているが、労安法は健診だけで、理解していないことが分かった。働きやすい職場環境を整えるうえでとても重要だと改めて感じた。

 

第三講義

どうする「働き方改革」 への対応
                                                講師:木村 健一 氏(北海道国公・副議長)

働き方改革関連法の施行から、私たち労働者が職場の中で権利をどのように活用し生かせるものとするのかを、楽しく・明るく・分かりやすいお話しで進められました。長時間労働に歯止めをかける36協定について、締結に際しては労働者から時間制限について意見ができることや上限時間のカウントの仕方を説明しました。
有給休暇については、参加者の皆さんが一番興味を示し、有給休暇の使用については労働者がルールを知って声を上げること、有休を取りたいと言えば済むことですが、そのためには職場の体制を変えることが求められているなど、権利を行使するためには職場の意識改革と行動がカギであることを強調しました。

その後、教育職場の実態と改善に向けての取り組みについて、北海道高教組の菱木淳一さんから、医療現場の取り組みについて全医労札幌病院支部の小松原與加さんから報告がありました。

質疑・討論ではフロアーからの発言が相次ぎ、今こそ労働組合の力と学習が求められていると感じる機会となり多くの学びを得ることができました。

感想文から

★楽しく明るく分かりやすい。是非、職場に来て頂き、セクション長も含めてみんなに聞かせたい。
★年休取得・時間外ともに労働者の権利を主張でき、なお、業務が回る組織づくり、社会づくりが一部だけでなく、社会全体の動きに繋がっていくことを強く望む。
★36協定の締結の仕方、内容がよく分かった。
★労基法違反について使用者も理解してもらいたい事があるので、相互理解しながら法を守らせる事も重要と感じた。

 

 

請負型の働き手、全国170万人

 「広い労働者概念」に基づく権利保障を

厚生労働省の「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」は企業から報酬を得る請負型の働き手が約170万人いるとの試算を示しました。これは自営業者約538万人に対する調査結果です。
請負型で最近増えているのが、飲食宅配サービスの配達パートナーやウェブデザイナーといったインターネットを通じて仕事を請け負う働き手です。労働者のように働いていますが、企業の健康保険や厚生年金には加入できず、労働法上の保護はありません。
調査では、働き方の実態もまとめ、取引先企業とのトラブルで最も多かったのが「報酬の支払いが遅れた」(18・7%)、「仕事の内容・範囲についてもめた」(17・4%)、「報酬が一方的に減額された」(13・3%)、「報酬が全く支払われなかった」(7・5%)でした。

独立自営業者を続けるうえでの問題点について、「収入が不安定、低い」(45・5%)が最も多く、「仕事を失った時の失業保険のようなものがない」(40・3%)「「仕事が原因でケガや病気をした時の労災保険のようなものがない」(27・7%)と答えています。

2016年1月、厚労省は「働き方の未来2035」を発表し「2035年の企業はミッションや目的が明確なプロジェクトの塊となり、多くの人はプロジェクトの期間内はその企業に所属するが、プロジェクトが終了するとともに別の企業に所属する・・・・・人は事業内容の変化に合わせて柔軟に企業の内外を移動する形になっていく」と未来を描きました。その後、「会社員は消える」「自分の仕事は自分で守る」などの「フリーランスの勧め」が広がりましたが、先陣を切ったアメリカでは請け負い就労者が減少し、イギリス・フランス・ドイツでも労働者と同等の保護政策がとられています。
厚労省の「検討会」ではこうした実態と世界の流れをくみ取った対策を講ずることが求められています。

        いの健ニュース 2019.6.1号から転載

「産業医の新たな役割」を考える

 働き方改革関連法案

  医師不足と産業医

「働き方改革関連法」が今年の4月から施行された。同法は労働基準法や労働安全衛生法など関連法8法を一括し、細部の検討なしに決めたため今後様々な問題の発生が予想される。高度プロフェッショナル制度も現時点でまだ全国での利用者は1名のみとの事である。医師の長時間労働も5年先送りされ、地域医療を支える病院や研修医については上限を年1860時間に設定など異常な長時間労働を容認する内容で検討されている。日本の届け出医師数は約31万人で、人口10万当たり世界55位(WHO統計)と先進国では最も少ない。医師不足の中での今回の改正安衛法は産業医の中立性や権限強化を目的としている。詳細は省くが第13条第5項では産業医の「勧告権」も追加された。なぜいま産業医の勧告権なのか?

  衛生委員会での産業医の役割

安衛法18条では、事業者には常時50人以上の労働者を使用する職場に衛生に関し調査審議して事業者に意見を述べるための衛生委員会設置が義務付けられている。また委員会は月1回以上開催し、委員会構成メンバーとして産業医1名を選任(嘱託)する。1000人以上の職場では専属産業医が必要である。
産業医は月一回の職場巡視を行い、衛生委員会に出席し(義務ではない)「事業場において労働者の健康管理等について専門的な立場から指導・助言を行う医師」であり、あくまで相談に乗る立場である。そもそも労働者の安全や健康は事業主の責任で守られるべきであり、それを監督助言指導するのは労働基準監督官であり産業医ではない。
しかし長時間労働、高ストレス者の面接指導により産業医が就業上の処置(就業制限や要休業)が必要と判断し意見を述べても事業主が適切な対応をとらない事案から過労死に繋がる問題も指摘されていた。

産業医数はおよそ10万人(日本医師会登録)と多いが、専属は約1500人と少なく大半が嘱託(本業は別)である。急に産業医に権限強化と言われても違和感があるのが現状である。しかも「勧告」は「特別な手段であること」となっており定義もあいまいである。5月末に名古屋で行われた産業衛生学会でも「勧告」の解釈にも様々な意見があった。労働者の健康を守る観点で見ると、改正を契機に事業者に確実に安衛法を遵守させていく事が重要ではないか、と感じている。

                                                                                 勤医協札幌病院 医師・産業医 細川 誉至雄

「働き方改革」による働き方

 「雇用によらない働き方」で、労働者の権利を侵害するな!

 4月12日に厚生労働省は、「個人請負」など、雇用に類似した働き方をする人が170万人に上っているとの調査結果を公表しました。

自ら求めて個人請け負いの仕事を行っている人もいるでしょうが、これとは別に2017年から私たち、ローカルユニオン「結」に寄せられる相談の中に使用者から個人請負になるように迫られるケースが出てきました。
①求人募集に応募したが、個人事業主扱いでトラック運送業務をさせられている。車両    はリースでガソリン代も自分持ち、健康保険もない。日当11,000円で、会社できめたコースで、時間が長く仕事がきついので辞めたい。
②美装会社でパートの清掃労働者として働いていたが、業務を縮小するから辞めるか個人請負になるか選択を迫られ、同僚の3人は致し方なく個人請負になった。
③建設会社に35年も勤務している60代の営業職だが、売上が下がっているとの理由で退職か個人請負になるかの選択を迫られ、うつ病となり休職している。
④ドーコンの下請け会社で、開発工事による環境破壊などの調査業務をしている男性は、社長から生産性が悪いと退職か個人事業者になるかを迫られている。など

2016年までほとんど無かった個人請負への転換を迫られるケースが増えています。使用者は、アベノミクスによる聖域の無い規制緩和によって激烈な生き残り競争を強いられています。従業員を個人請負に転換させ、労働コスト削減を図ろうとする使用者が増えているのは、そのような背景からきているのではないでしょうか。
安倍政権が進める「働き方改革」は、雇用によらない多様な働き方を増やす方向を打ち出しています。労働基準法、最低賃金法、労災保険の適用がなく、企業の健康保険、厚生年金への加入が出来ない個人請負は、社会的セーフティネットから外れるだけで無く、厚生労働省の発表のように多くの場合、低賃金を強いられています。雇用によらない働き方は、不当な合理化のためですから、これが増えると雇用契約による労働者の労働条件も低下させ、職場環境を悪化させると警鐘をならす必要あります。

吉根 清三氏 札幌ローカルユニオン「結」労働相談員

最低賃金、全国一律引き上げで地域の再生・活性化を!

 4月11日16時から、衆議院議員会館で、自民党最低賃金一元化推進連盟の「ヒアリング②」が開催され、黒澤幸一全労連事務局次長が「全労連全国一律最低賃金要求について」説明しました。説明の要旨を掲載しました。

最低賃金一元化推進議連のみなさんが、接近の仕方が私たちと違っても一番高い東京水準を掲げて最低賃金の全国一律制を実現させようと取り組まれていることに注目し期待しています。
全労連は、結成から30年、行動綱領で三つの要求、大幅賃上げと労働時間短縮と並んで、全国一律最賃制度の実現を求めてきました。この間 35万筆余の請願署名を集め、地方議会での意見書採択をすすめ、このようなTシャツでデモンストレーションをしたりと取組みを進めています。日本の賃金は世界水準からも劣後 地方や職場から寄せられる声は切実です。「最低賃金 786円では低すぎ。健康で文化的な生活を送ることは到底無理」「最賃は、今すぐ千円以上に」「 地域経済を支える中小企業を守る仕組みを追及して」など声が寄せられています。
①あまりに低すぎ、それだけで生活するのは難しい。
②地域間格差があり、差別的状況にある。
③中小企業支援策が貧弱で、国際比較でも極めて低い水準にあることです。
地域別格差では高い東京の時給と低い鹿児島では 224円もの格差があり、毎年拡がっています。日本の中小企業支援は、87億円の実績にとどまり、フランスの2兆円規模の対策と比して極めて貧弱です。最賃上げて、生活を底上げし、地域を元気にできるように、最賃を決めるベクトルを変える政治決断が必要です。

ある県の知事は「同じ全国チェーンのコンビニの賃金が異なっていることに、強い違和感を覚える。全国一律にすべき、これによって企業がつぶれる事はない」と述べています。全国知事会からも、地域経済の好循環の拡大に向けて国に要請が上がっています。地域別最賃が人口流失を招き、地域経済を疲弊させています。 「最賃が低い地域は賃金が低い」これが実態です。最賃と賃金の相関は極めて高く、 最賃を上げない限り、賃金は底上げされません。 厚労省の資料でも15歳から29歳の若者たちが都市部に流れているとデータが示しています。地方の人の流出が地域経済を疲弊させていることは明らかです。数年かかっても日本の最賃を全国一律制にしていくことが、「格差と貧困の是正」と「地域経済の再生・活性化」のために必要不可欠です。又、産業・業種別の特定最賃はしっかりと残す必要があります。

最賃が上げられることと失業率に相関性はありません。イギリスなど世界の事例を見ても明らかです。日弁連の経営者協会などへの聞き取り調査でも、「最賃上がったことで、会社がつぶれている状況にはない」(青森、鳥取)と報告されています。むしろ 最賃引上げで経済波及効果が期待できます。 大きな地域間格差とあまりに低い最賃を是正するには中小企業支援が必要です。社会保険の企業負担減免など世界の好事例を参考に、実効性のある中小企業支援策をセットで行うことを求めたいと思います。
最賃の抜本引上げと全国一律化によって国民の所得が増えて国内生産が誘発され、地域経済の活性化や 地域循環型の経済が元気になっていきます。

最後に、まとめとして三点、要請したいと思います。
一つは、「格差と貧困の是正」と「地域経済の活性化」のために一日も早く全国一律最   賃制度を実現させるためにご尽力いただきたい。
二つ目は、若者も女性も非正規雇用も、すべての労働者の生活を守るため、最低賃金の抜本的に引き上げにご尽力いただきたい。
三つ目に、そのために実効性のある中小企業支援策を具体的につくっていただきい。このことを お願いして終わります。

出入国管理法改定

外国人労働者の受け入れ拡大

 人権侵害まん延・拡大の危険

                                                   小野寺 信勝 弁護士(北海道合同法律事務所)

  北海道に8,500人の「技能実習生」

入管法改正では、「特定技能」という新たな在留資格を創設し、非熟練労働者の受け入れを目指しています。
日本政府は入管法改正の理由は「深刻な人手不足に対応するため」と説明しています。日本政府は一貫して非熟練労働者の受け入れを認めてきませんでした。その代わりに、外国人労働者を「技能実習」という本来、労働を目的としない在留資格によって大量に受け入れてきました。全国では28万人超の技能実習生が在留していますが、北海道は主に水産加工と農業分野で約8,500人もの実習生を受け入れています。このようないわゆるサイドドアによる受け入れの増加は、同時に、技能実習生への深刻な人権侵害も生み出しました。低賃金・長時間労働、逃亡防止のための強制貯金や旅券の取り上げ、強制帰国、暴力などその被害は深刻です。日弁連は人権侵害の温床である技能実習制度の廃止とそれに代わり非熟練労働者受け入れのための資格創設を求めてきました。
政府はついに非熟練労働者受け入れに舵を切ろうとしています。「特定技能」という在留資格の創設がそれにあたります。

  「特定技能」の問題点

ところが、「特定技能」の創設にはいくつもの問題があります。
まず、特定技能が創設されても技能実習制度は廃止されません。つまり、技能実習生の人権侵害の問題は残されたままとなっています。また、「特定技能」は1号と2号に分けられ、2号は1号からの移行を想定しています。技能実習1号では最長5年間の在留を認められますが、この間は家族帯同が禁止されています。家族が共に暮らせないのは非人道ですし、日本政府も批准する自由人権規約や児童権利条約では家族が共に暮らす権利を保障しているように、人権上も問題があります。さらに、技能実習制度は民・民での受け入れのためブローカーが介在し、多額の保証金や違約金など悪質なケースが多く発生していました。特定技能も同じ枠組で受け入れるため、ブローカーが介在する問題が残ります。

  外国人との共生政策は喫緊の課題

そして、なにより外国人との共生の視点が欠如しています。安倍首相が「移民政策ではない」と喧伝していますが、この発言は外国人を労働力とのみみなし「生活者としての外国人」の側面に目を向けないと宣言したに等しいと考えています。

天笠医師招き、ストレスチェック、職場づくりを学ぶ

2017年8月18日(金)午後6時から札幌市「かでる2・7」で天笠崇さん(東京・代々木病院 精神科医師)による「学習講演会」を開催しました。北海道民医連医療活動委員会といの健北海道センターの共催で、53名が参加しました。

主催者を代表して細川誉至雄氏(いの健道センター理事長)から「働き方問題が社会的な関心事となっており、職場では2回目のストレスチェックのとりくみが本格化しています。今回の学習講演会はこの分野の第一人者である天笠先生をお迎えして開催することができました。みんなで大いに学び合いましょう」と挨拶がありました。

講演で天笠医師は、労働精神科外来とはどのような診療現場なのかを説明、労災医療、労災に関わる訴訟への関与等について、自身が関わった事例を通して話しました

また「第1電通事件」「第2電通事件」の事例を紹介、長時間労働の健康への影響や弊害、企業責任のあり方を日本における労災補償制度の概要と推移とともに説明。また労働者をめぐる状況として、過酷な労働環境、労働条件の実態とメンタルヘルス不調のプロセスを解説し、職場の労働安全衛生活動の重要性を強調しました。

参加者からは、「ストレスチェックの後のサポートの重要さを学ぶことができ、参加して良かった」「50名未満の事業所なのでストレスチェックの実践はこれからだか、小さな職場であっても、労働者の健康管理、とりわけストレスチェックなど精神衛生に関わることの重要さを学ぶことが出来た」「労働組合の課題として労働安全衛生活動をしっかりと位置づけることの重要性を学んだ」などの感想が寄せられました。
最後に、橋本浩德北海道民医連事務局次長が「学んだものを活かそう」と呼びかけ、学習講演会を終了しました。

介護職場のストレスチェックと労安活動

札幌東勤労者医療福祉協会 畠由架利 人事部長

在宅グループの安全衛生委員会は、2ヵ所の法人安全衛生委員会と29のセンターで月1回開催し、①長時間労働の状況把握、②労災・交通事故発生状況の報告とその改善策の検討、③長期病欠者の報告などを議題としています。

長時間労働の把握では、月20時間以上の超過勤務者を抽出し、超過勤務の業務内容やその改善方向について議論します。

労災・交通事故の発生状況は、労災や交通事故ともに年間30件から50件発生しており、労災は転倒による骨折や打撲、交通事故は追突事故や駐車時の接触事故が多発しました。

この他にも交通違反の発生状況も報告します。長期病欠者の対策は、3ヵ月以上病欠が続いている職員を産業医の面接へつなぎ、職場復帰への目途と復帰前後の支援方法を検討します。この他にも、健康診断実施状況の報告や産業医を交えて年に1度の職場巡視を実施しています。

昨年度実施したストレスチェックは、平均受験率は81.10%となり、そのうち12.78%は高ストレス者と判定されました。実施後の総括では、ストレスチェックは実施したものの、職場分析は着手できず、原因は担当者が膨大な事務作業と精神的な負担が大きいこと挙げられました。

総括をふまえて、来年度実施から、作業の一部の外注化を決めました。これからは、ストレスチェックの受検率アップと、メンタル不調者の予防、職場分析の実施、職場改善につなげていきたいと考えています。

(今年5月20日行われた労働安全衛生学校での報告を事務局がまとめました)

大学生協の衛生委員会活動

労働安全衛生学校で報告された、大学生協の日ごろの労安活動の概要を掲載します。

大学生協衛生委員会は北大をはじめ、道内各地域の大学生協の単位で開催しています。北大生協は毎月開催し、労働時間調査や職場巡回等を実施しています。労働時間調査は、45時間、80時間、100時間の超過勤務や深夜10時を過ぎた日数を職場・職員別一覧で把握できる仕組みになっています。

他にも労災発生状況や休日出勤に伴う振替休日の取得状況も報告されます。

職場巡回では、調査票を用いて実施し、室温や湿度が適正か、通路は狭くないか、など15項目をチェックします。巡回の中で従業員との聞き取りの中で、故障の箇所を発見する事例もあり、巡回の継続は必要と感じています。

ストレスチェックでは、対象職員に調査用紙を配布し、400人中、約350人分を回収しましたが、厚労省のプログラムでは設問が1問でも未回答があれば判定が出力されず、再度職員に未回答部分を再回答してもらう対応がありました。

高ストレス判定者への通知は、一般的な文章だけではわかりにくいことから、色紙を用いて産業医面談を促すように工夫しました。
その他の取り組みでは、所属長向けのメンタルヘルス研修会の開催や、時給職員向けにインストラクターによる腰痛・肩こり体操講習会の実施、冬季の転倒防止のための注意喚起を行いました。

今後も働く仲間の要望を聞いて、取り組みを強めてゆきたいと思います。

北海道大学生協統一労組 棚田正彦

「腑に落ちた」労安活動の大切さ:2017年労働安全衛生学校開く

今年の学校にはいの健会員の各職場とともに、新聞の案内記事をみた一般の人が15人参加し、関心の高さが示されました。
開校にあたって細川誉至雄理事長は、「日本は『過労死』大国です。労働者は本来、快適な環境で健康に働かなければなりません。講演から学んで、活発に討論しましょう。」と述べました。

午前は「働くものの健康を守る法体系について」弁護士の安彦裕介氏が講演しました。

安彦弁護士は、労働基準法は「労働条件は人たるに値する生活の必要を満たすもの」「長時間労働で労働者の心身の健康を損なうことを防止」しているとし、労働時間は「週40時間、一日8時間」が原則。時間外は労基署に届出義務があり、月45時間が上限となっている。特別の事情で100時間も許され「過労死」の要因になっていると話しました。また、労働安全衛生法は労働者の健康管理規定であり、安全・衛生管理者、衛生推進者など10人以上の職場に配置が必要。

50人以上の職場では産業医、安全・衛生委員会の設置と労災事故防止など審議事項が決められている。違反した場合の罰則規定もあると指摘しました。

近年はメンタルへルス対策、長時間労働対策など事業主による適正な管理を指示しているとし、脳・心疾患、精神疾患による「過労死」対策として過労死等防止対策法が施行されている。労災申請についてはそれぞれ「認定基準」に沿って検討されていると説明しました。また、使用者による安全配慮義務違反や不法行為は、損害賠償請求訴訟が請求できること、

労働関連法令は基本的に労働者の権利を守る為のものであり、不断に活用することが必要と呼びかけました。

続いて、北海道勤医労中央病院支部、大学生協道統一労組、介護事業法人、高教組からストレスチェックの取り組みと職場の労働安全衛生委員会の活動状況の報告を受けました。

午後は二つの講演が行われました。一つは産業医の佐藤修二氏が「ストレスチェックで明らかになった労働者の実態」、もう一つは精神科医師の田村修氏が「最近の政策動向とハラスメントのない職場づくり」です。

討論では各職場の現状と安心して働くことが出来る職場づくりへの課題を出し合いました。

感想文の一部を掲載します。

  • 低料金でこんな濃厚な内容の講義をしていただき感謝します。
  • 「時間外の限度が月45時間」「精神疾患が労災になる」など知りませんでした。
  • 労基法を振り返ることが出来ました。日常的な点検が重要と思いました。
  • 制度が出来て実施されても、対策に活かすことが必要。
  • ディセント・ワークはとても良い考え方だと思います
  • 経営者こそ労基法、労安法を学ばなければと思います。
  • 大きな会社にいても産業医は知りませんでした。
  • 政府から「答申」などが出て解らなかったことがよく解る内容でした。
  • ストレスチェックは労基署と現場の意識の違い、温度差が大きいように思いました。
  • 働く上で知っておかなければならない事が沢山あり、大変勉強になりました。

なぜ、どうして、学校現場の長時間労働:北海道高教組 菱木淳一

<約6割が過労死ライン>

文部科学省は、全国の抽出小中学校の教員10,678人を対象に実施した教員勤務実態調査(2016年)の集計結果(速報値)を公表しました。結果から、過労死ラインとされている月80時間以上の時間外勤務をしている教員は中学校で57・7%、小学校で33・5%もいることがわかりました。

<次々と仕事が、部活が>

当然ですが、教員は、子どものいる時間帯は授業を行います。中学校や高校では、授業のない時間、いわゆる「空き時間」がありますが、実際は、生徒指導や事務処理に追われ、時間はあっという間に過ぎていきます。子どもがいない放課後は会議や打合せが入ることが多く、中学校や高校はその合間をぬって部活の指導もあります。部活が終わる頃には、すでに時間外勤務の時間帯。それからようやく次の日の授業準備を始めます。時には、保護者対応や家庭訪問、不登校や家庭支援のための関係機関との打ち合わせなど、仕事は次から次へと押し寄せてきます。

このような働き方が、ほぼ毎日続くのです。さらに、中学校・高校では、土日も部活動の指導があります。実際の学校現場では、このような教員は特別に「忙しい人」ではありません。

<助け合えない・・・・>

問題は、時間外勤務の長さだけではありません。次から次へと打ち出される国や自治体の教育政策。それに対応するための仕事が大半を占め、「とりあえず今こなさなければならないこと」に追われています。さらに、人事評価の導入により、周囲の視線を気にしながらの仕事のしかたに拍車がかかり、職員同士で助け合うどころではありません。

本来、教育は、目の前の子どもと向き合いながら、教職員の主体的・協同的な創意工夫によって積み上げていくものです。

教職員の労働条件は、子どもたちにとっての学習権の保障につながる重要な問題です。

<残業手当は4%で固定>

また、教員の時間外勤務についての法令上の位置付けが、民間の労働者や一般の地方公務員と違うことも長時間過密労働の一因です。教育職員の時間外勤務については「給特法」で「教育職員については、時間外勤務手当及び休日手当は、支給しない」代わりに、月8時間分の勤務に相当する本給の4%を「教職調整額」として支給しています。

教員の多くは、たった8時間分の手当で、一月に数十時間以上の時間外勤務をしているのです。

<実効ある改善策を>

この間、文科省は、業務改善などによる長時間労働の解消をすすめていますが、そうした政策で、本当に解消につながるのでしょうか。「調査」を実施した文科省は、給特法や労働安全衛生法に照らして違法な教員の勤務実態を真摯に受け止めるべきです。

教職員のいのちと健康を守るべき文部行政の責任官庁として、実効ある改善策を早急に実施することを強く求めていきます。