天笠医師招き、ストレスチェック、職場づくりを学ぶ

2017年8月18日(金)午後6時から札幌市「かでる2・7」で天笠崇さん(東京・代々木病院 精神科医師)による「学習講演会」を開催しました。北海道民医連医療活動委員会といの健北海道センターの共催で、53名が参加しました。

主催者を代表して細川誉至雄氏(いの健道センター理事長)から「働き方問題が社会的な関心事となっており、職場では2回目のストレスチェックのとりくみが本格化しています。今回の学習講演会はこの分野の第一人者である天笠先生をお迎えして開催することができました。みんなで大いに学び合いましょう」と挨拶がありました。

講演で天笠医師は、労働精神科外来とはどのような診療現場なのかを説明、労災医療、労災に関わる訴訟への関与等について、自身が関わった事例を通して話しました

また「第1電通事件」「第2電通事件」の事例を紹介、長時間労働の健康への影響や弊害、企業責任のあり方を日本における労災補償制度の概要と推移とともに説明。また労働者をめぐる状況として、過酷な労働環境、労働条件の実態とメンタルヘルス不調のプロセスを解説し、職場の労働安全衛生活動の重要性を強調しました。

参加者からは、「ストレスチェックの後のサポートの重要さを学ぶことができ、参加して良かった」「50名未満の事業所なのでストレスチェックの実践はこれからだか、小さな職場であっても、労働者の健康管理、とりわけストレスチェックなど精神衛生に関わることの重要さを学ぶことが出来た」「労働組合の課題として労働安全衛生活動をしっかりと位置づけることの重要性を学んだ」などの感想が寄せられました。
最後に、橋本浩德北海道民医連事務局次長が「学んだものを活かそう」と呼びかけ、学習講演会を終了しました。

介護職場のストレスチェックと労安活動

札幌東勤労者医療福祉協会 畠由架利 人事部長

在宅グループの安全衛生委員会は、2ヵ所の法人安全衛生委員会と29のセンターで月1回開催し、①長時間労働の状況把握、②労災・交通事故発生状況の報告とその改善策の検討、③長期病欠者の報告などを議題としています。

長時間労働の把握では、月20時間以上の超過勤務者を抽出し、超過勤務の業務内容やその改善方向について議論します。

労災・交通事故の発生状況は、労災や交通事故ともに年間30件から50件発生しており、労災は転倒による骨折や打撲、交通事故は追突事故や駐車時の接触事故が多発しました。

この他にも交通違反の発生状況も報告します。長期病欠者の対策は、3ヵ月以上病欠が続いている職員を産業医の面接へつなぎ、職場復帰への目途と復帰前後の支援方法を検討します。この他にも、健康診断実施状況の報告や産業医を交えて年に1度の職場巡視を実施しています。

昨年度実施したストレスチェックは、平均受験率は81.10%となり、そのうち12.78%は高ストレス者と判定されました。実施後の総括では、ストレスチェックは実施したものの、職場分析は着手できず、原因は担当者が膨大な事務作業と精神的な負担が大きいこと挙げられました。

総括をふまえて、来年度実施から、作業の一部の外注化を決めました。これからは、ストレスチェックの受検率アップと、メンタル不調者の予防、職場分析の実施、職場改善につなげていきたいと考えています。

(今年5月20日行われた労働安全衛生学校での報告を事務局がまとめました)

大学生協の衛生委員会活動

労働安全衛生学校で報告された、大学生協の日ごろの労安活動の概要を掲載します。

大学生協衛生委員会は北大をはじめ、道内各地域の大学生協の単位で開催しています。北大生協は毎月開催し、労働時間調査や職場巡回等を実施しています。労働時間調査は、45時間、80時間、100時間の超過勤務や深夜10時を過ぎた日数を職場・職員別一覧で把握できる仕組みになっています。

他にも労災発生状況や休日出勤に伴う振替休日の取得状況も報告されます。

職場巡回では、調査票を用いて実施し、室温や湿度が適正か、通路は狭くないか、など15項目をチェックします。巡回の中で従業員との聞き取りの中で、故障の箇所を発見する事例もあり、巡回の継続は必要と感じています。

ストレスチェックでは、対象職員に調査用紙を配布し、400人中、約350人分を回収しましたが、厚労省のプログラムでは設問が1問でも未回答があれば判定が出力されず、再度職員に未回答部分を再回答してもらう対応がありました。

高ストレス判定者への通知は、一般的な文章だけではわかりにくいことから、色紙を用いて産業医面談を促すように工夫しました。
その他の取り組みでは、所属長向けのメンタルヘルス研修会の開催や、時給職員向けにインストラクターによる腰痛・肩こり体操講習会の実施、冬季の転倒防止のための注意喚起を行いました。

今後も働く仲間の要望を聞いて、取り組みを強めてゆきたいと思います。

北海道大学生協統一労組 棚田正彦

「腑に落ちた」労安活動の大切さ:2017年労働安全衛生学校開く

今年の学校にはいの健会員の各職場とともに、新聞の案内記事をみた一般の人が15人参加し、関心の高さが示されました。
開校にあたって細川誉至雄理事長は、「日本は『過労死』大国です。労働者は本来、快適な環境で健康に働かなければなりません。講演から学んで、活発に討論しましょう。」と述べました。

午前は「働くものの健康を守る法体系について」弁護士の安彦裕介氏が講演しました。

安彦弁護士は、労働基準法は「労働条件は人たるに値する生活の必要を満たすもの」「長時間労働で労働者の心身の健康を損なうことを防止」しているとし、労働時間は「週40時間、一日8時間」が原則。時間外は労基署に届出義務があり、月45時間が上限となっている。特別の事情で100時間も許され「過労死」の要因になっていると話しました。また、労働安全衛生法は労働者の健康管理規定であり、安全・衛生管理者、衛生推進者など10人以上の職場に配置が必要。

50人以上の職場では産業医、安全・衛生委員会の設置と労災事故防止など審議事項が決められている。違反した場合の罰則規定もあると指摘しました。

近年はメンタルへルス対策、長時間労働対策など事業主による適正な管理を指示しているとし、脳・心疾患、精神疾患による「過労死」対策として過労死等防止対策法が施行されている。労災申請についてはそれぞれ「認定基準」に沿って検討されていると説明しました。また、使用者による安全配慮義務違反や不法行為は、損害賠償請求訴訟が請求できること、

労働関連法令は基本的に労働者の権利を守る為のものであり、不断に活用することが必要と呼びかけました。

続いて、北海道勤医労中央病院支部、大学生協道統一労組、介護事業法人、高教組からストレスチェックの取り組みと職場の労働安全衛生委員会の活動状況の報告を受けました。

午後は二つの講演が行われました。一つは産業医の佐藤修二氏が「ストレスチェックで明らかになった労働者の実態」、もう一つは精神科医師の田村修氏が「最近の政策動向とハラスメントのない職場づくり」です。

討論では各職場の現状と安心して働くことが出来る職場づくりへの課題を出し合いました。

感想文の一部を掲載します。

  • 低料金でこんな濃厚な内容の講義をしていただき感謝します。
  • 「時間外の限度が月45時間」「精神疾患が労災になる」など知りませんでした。
  • 労基法を振り返ることが出来ました。日常的な点検が重要と思いました。
  • 制度が出来て実施されても、対策に活かすことが必要。
  • ディセント・ワークはとても良い考え方だと思います
  • 経営者こそ労基法、労安法を学ばなければと思います。
  • 大きな会社にいても産業医は知りませんでした。
  • 政府から「答申」などが出て解らなかったことがよく解る内容でした。
  • ストレスチェックは労基署と現場の意識の違い、温度差が大きいように思いました。
  • 働く上で知っておかなければならない事が沢山あり、大変勉強になりました。

なぜ、どうして、学校現場の長時間労働:北海道高教組 菱木淳一

<約6割が過労死ライン>

文部科学省は、全国の抽出小中学校の教員10,678人を対象に実施した教員勤務実態調査(2016年)の集計結果(速報値)を公表しました。結果から、過労死ラインとされている月80時間以上の時間外勤務をしている教員は中学校で57・7%、小学校で33・5%もいることがわかりました。

<次々と仕事が、部活が>

当然ですが、教員は、子どものいる時間帯は授業を行います。中学校や高校では、授業のない時間、いわゆる「空き時間」がありますが、実際は、生徒指導や事務処理に追われ、時間はあっという間に過ぎていきます。子どもがいない放課後は会議や打合せが入ることが多く、中学校や高校はその合間をぬって部活の指導もあります。部活が終わる頃には、すでに時間外勤務の時間帯。それからようやく次の日の授業準備を始めます。時には、保護者対応や家庭訪問、不登校や家庭支援のための関係機関との打ち合わせなど、仕事は次から次へと押し寄せてきます。

このような働き方が、ほぼ毎日続くのです。さらに、中学校・高校では、土日も部活動の指導があります。実際の学校現場では、このような教員は特別に「忙しい人」ではありません。

<助け合えない・・・・>

問題は、時間外勤務の長さだけではありません。次から次へと打ち出される国や自治体の教育政策。それに対応するための仕事が大半を占め、「とりあえず今こなさなければならないこと」に追われています。さらに、人事評価の導入により、周囲の視線を気にしながらの仕事のしかたに拍車がかかり、職員同士で助け合うどころではありません。

本来、教育は、目の前の子どもと向き合いながら、教職員の主体的・協同的な創意工夫によって積み上げていくものです。

教職員の労働条件は、子どもたちにとっての学習権の保障につながる重要な問題です。

<残業手当は4%で固定>

また、教員の時間外勤務についての法令上の位置付けが、民間の労働者や一般の地方公務員と違うことも長時間過密労働の一因です。教育職員の時間外勤務については「給特法」で「教育職員については、時間外勤務手当及び休日手当は、支給しない」代わりに、月8時間分の勤務に相当する本給の4%を「教職調整額」として支給しています。

教員の多くは、たった8時間分の手当で、一月に数十時間以上の時間外勤務をしているのです。

<実効ある改善策を>

この間、文科省は、業務改善などによる長時間労働の解消をすすめていますが、そうした政策で、本当に解消につながるのでしょうか。「調査」を実施した文科省は、給特法や労働安全衛生法に照らして違法な教員の勤務実態を真摯に受け止めるべきです。

教職員のいのちと健康を守るべき文部行政の責任官庁として、実効ある改善策を早急に実施することを強く求めていきます。

2016年労働安全衛生学校開催

2016年労働安全衛生学校開催
= パワハラ・メンタル不全をなくそう! =
= 職場復帰・就労支援を進めよう! =

2016年5月21日(土)札幌市内で「働くもののメンタルヘルス、パワハラを考える」をテーマに、2016年労働安全衛生学校が開催され、介護、農業関係、医療、建設交運労働者やリワーク関係、相談員、研究者、被災者など74人が参加しました。

福地保馬学校長(いの健道センター理事長)は、開会あいさつで「労働者の精神疾患の労災請求件数は1980年台には数件だったのが、最近は1,000件を超えています。いの健全国センターが発刊した「ハンドブック」を活かして、是非職場での取り組みを、広げる一助にしていただきたい」と参加者に呼びかけました。

午前の講演は、「健康で働き続けられる職場づくりのために」のテーマで、松浦健伸氏(石川民医連城北病院精神科部長)による「ハンドブック働くもののメンタルヘルス」(いの健全国センター編)の内容を、講演しました。質疑では、「相談を受ける者と相談する者との間の関係」については、「相談は相手の理解もあってすすめたほうが良い、場所や時間、費用などお互いに共有することが大事」。発達障害を疑う職員への対応の質問には、「職場での出来事・問題を共有すること」「親や家族との話し合いの提案や心療内科などへの受診」をすすめるなどし、「障害」を理解しあいながら、問題を共有して働く仲間として取り組んではと回答しました。

午後の講義は島田度氏(弁護士)による「パワハラをめぐる動向と防止に向けて」の講演と「恵和会病院のセクハラ、パワハラ、マタハラ連続事件で、民事訴訟で勝利した報告」を齋藤耕氏(弁護士)が行いました。塚本委員長(恵和会労働組合)は「院主のワンマン組織運営の中、被害者とともに人権を守るために立ち上がり、労組のたたかいの経過」を報告、農協労連の久村書記長は「職場でパワハラ相談が増えている、労組に相談があり団体交渉を行い、パワハラが無くなったことなど」を報告しました。職場で問題を可視化して取り組むことの重要性を訴えました。

午後の第2講義は、上野武治氏(北海道医療大学教授)から「うつ病からの職場復帰と就労支援の動向」の講演が行われました。「うつ病の病気と就労が困難になる理由、休職者の復職支援、離職者の就労支援」「①ハローワーク、②北海道障害者職業センター、③国と道が関わっている障害者就業・生活支援センター、④病院のリワーク、⑤民間団体によるメンタルへルスリワーク事業」などについ解説しました。
◆職場での健康づくりではなく、「健康な職場づくり」の視点が重要であるとの、ハンドブックの指摘が印象に残りました。◆組合の組合員(労働者)を守る大切な組織なので自分も関わっていきたい。◆「症状の軽減・消失は労働力の回復を意味しない」という指摘、「職場への信頼があるかどうかが大事」という指摘について、大変参考になりました。◆道新で案内を見て、直接会場へ来て参加しました。

「センセイの過労死」語るつどい

2016年4月24日(日)夜、札幌学生ユニオンが呼び掛けた、「センセイの過労死」ー教員の仕事はなぜ大変?公務災害から見るその特徴と現実―の学習会が開かれました。

主催した学生から、「センセイになった先輩が日に日にやつれていくのをみて、『このまま死んじゃうんじゃないか』と不安になった。そういえば、今まで出会った私のセンセイも、こんな働き方してた・・・・?ワークルール教育といっても、こんな働き方しているセンセイが、どう教えるんだろう?」と学習会を思いついた経過が話されました。

問題提起は、過労死した高校A教諭の公務災害を支援した経験を持つ、北海道公立学校スクールカウンセラーの宮井真由さん。

A教諭は、18年間、三つの道立高校で勤務しました宮井さんは、この間の教育現場の変化と業務の過重化を振り返りながら、A教諭がメンタル不全化とともに呼吸器、循環器の異変が進んだことを指摘しました。しかし、公務災害は「亡くなる直前の1ヶ月間は過重な職務ではなかった」など不当な理由で不支給決定され不服申し立ても棄却されたことで、行政の認定基準の「壁」=制度の問題を問いかけました。

また、教育現場の過重さは、現場の実情を無視した文部科学省の政治主導の「改革」、学校を「経営体」とみなす運営方法にあると報告しました。

参加した教員、学生、労働組合役員、父兄などから活発な質問、意見が相次ぎ、時間を超過する学習会となりました。