看護ワークショップを開催

  『看護師の感情労働って?』

12月11日、北海道医労連は第3回目の「看護ワークショップ」を開催しました。
今回は「看護師の感情労働って?」をテーマに勤医協中央病院の精神科・リエゾン科の田村修医師が講師を務め、講義の中にグループワークを取り入れながら楽しく学習しました。
講義は「看護師の感情労働とセルフケア」について、感情労働は客室業務員のストレス研究が始まりで、1983年に生まれた言葉。「職務内容の一部として適切な感情状態や感情表現を作り出すための感情管理が求められる、感情が商品になる仕事」と紹介。海外では感情労働の強制は労働者の健康に重大な悪影響を及ぼすと指摘されており、「看護現場の感情労働は医師の指示のもと、裁量がない状態で働き、ストレスがたまりやすく、やりがいとの区別がつかなく、燃え尽きやすい問題がある」と指摘しました。
グループワークでは「患者さんにあなたがいると安心すると言われた時」「洗髪などケアを喜ばれた時、嬉しい」また、「否定されたり、怒鳴られたり、守ってもらえなかった時に辛く感じる」など、やりがいと辛さを共有しあいました。

  感情労働わかって楽になった

 「失敗した時落ち込みすぎない」など感情労働によるストレスのコントロールについて学び、田村医師は「仲間と話し合い、支えあえる健康的ないい苦労ができる職場にしよう」と語りました。参加者からは「感情労働の仕事だという事が分かって楽になった」「みんな同じことで悩んでいるとわかって、嬉しかった」などの感想が寄せられました。
12月13日の北海道新聞にワークショップの模様が掲載されました。
(道医労連メールニュースより)

石綿飛散防止拡大

建物改修、届け出義務化

 厚生労働省は先月、発がん性物質アスベスト(石綿)の飛散を防ぐため、石綿の有無にかかわらず、建物の改修・解体を労働基準監督署に事前に届け出ることを業者に義務付ける方針を決めました。 改修は請負金額100万円以上、解体は合計床面積80平方メートル以上の工事が対象となります。

業者は従来、改修・解体工事前に石綿の使用状況を調査する義務を負っていましたが、危険度の高い建材がなければ届け出は不要でした。しかし、調査が適切に行われず、石綿が飛散した恐れのある事例が多発したため、一定規模以上の工事には事前の届け出を義務付けることにしました。
事前調査は、必要な講習を受けた人などに限定し、制度を担保。事後に労基署が確認、指導できる様に業者には調査結果や作業記録の保存も義務付けます。
請負金額100万円以上の改修工事は18年度、213万件でしたが、改修・解体する建物に石綿が含まれていると労基署に届け出があったのは1万件強にとどまっているとのことです。

教職員組合が緊急シンポジウム

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  『変形労働』は長時間労働を助長

   教員が自分事として声を上げよう

全北海道教職員組合と道高等学校教職員組合連合会は、臨時国会で可決した教員の「1年単位の変形労働時間制」について考えようと、12月14日、札幌市内で「緊急シンポジウム」を開催しました。
給特法改正案の国会審議で参考人として意見陳述した、神奈川過労死を考える家族の会の工藤祥子さんは、「未来を生きる子どもたちを健やかに教え、育むために今できることを考える」と題して講演。中学校教員だった夫を過労死で失った経験から、「亡くなっても教員の代わりはいるが家族にとっては、かけがいのない人を失う。無理に仕事をするより、休む勇気を持ってほしい」と呼びかけ、「教員の働き方に世論が動いており、今がチャンス。当事者の声が国を動かす。自分事として声を上げてほしい」と訴えました。いの健道センター副理事長の長野順一弁護士は「変形労働時間制は残業代を払わせないための制度であり、許されない」と指摘。道市立学校教職員組合の猪俣良夫氏は「私学では労使協定がなければ導入できないが、夏休みにまとめて休める状態ではない」と強調しました。最後に、1年単位の変形労働時間制を学校に導入させないために、職場での学習と対話、管理職や市町村の教育委員会・関係団体への要請、地域での懇談会や集会の開催などが呼びかけられました。

   導入させない取り組みを

国は21年度から制度を運用する予定です。ただし、都道府県の条例制定から個々の学校への導入まで、完全に選択制です。全国の自治体と学校で制度を選択させない運動を広げることが重要です。
「過労死が増える」「教員を続けられなくなる」状態を助長すれば、子どもたちの教育に直結します。教職員とともに市民の力で各地域から教員のまともな働き方を取り戻し、「せんせいふやせ」の取り組みを広げることが重要です。
働き方改革の一つである労働時間の上限規制が今年4月より中小企業も対象となります。これまでは「特別条項」など例外を認めることで実質無制限だった時間外労働が規制され、違反には罰則を設けられたことで、長時間労働に歯止めがかかり労働者の健康管理につながることが期待されます。

杉本綾さん民事裁判第2回期日

杉本綾さん過労死事件の民事裁判は、11月13日札幌地裁で第2回期日が行われました。被告の準備書面では、事実に関する「認否」は無く、次回以降に、原告から釈明を求めることになりました。裁判後に行われた「報告集会」での弁護団からの報告(概要)を掲載します。

         病院は過重な労働についての具体的な「認否」行え!

                        島田 度 弁護士

 この間、被告側は四つの準備書面を提出しました。内容は事実関係への認否をしないで、裁判例は少し引用しているものの、主に被告の主張を述べているものです。
今回の事例は労災が認められず、行政訴訟中に行政側が自ら誤りを認めて「自庁取消」で労災となったものです。被告の準備書面では、取り消された審査請求、再審査請求時の「裁決署」などを取り出して業務起因性はないと主張しているのです。なぜ、今更、「取り消された」ものを根拠にしたのか、非常に不可解です。率直に言って、「本当にこれでいいの?」という内容でした。

原告は、綾さんの勤務状況についてどのように受け止めているのかなどの具体的事実について認否してほしいとの準備書面を出しました。被告の返答が昨日、届きましたが「認否するつもりはない」という書面でした。
法廷でのやり取りで裁判長は「具体的事実は労災の聴取書などの文書・資料があるので分かりますよね」と言っていましたので、これらは事実上、訴訟の前提にするとは思いますが、普通はこの書類にはこう書かれているけれど、その内容についての意見はこうですとして準備書面を作るのが常識です。安全配慮義務違反がないとすれば、それはそれで主張すればいいと思います。プリセプター制度とか、振り返りシートを活用していたとかKKR病院として新人育成についての主張をすればいいと思います。しかし、それをしないのであれば、そもそも、安全配慮義務を争う法人としての姿勢としていかがなものかと思います。


今回の裁判長の訴訟指揮としては「具体的な認否は全部しなくてもいいから、原告から求釈明があればその都度検討します」という事でした。
次回期日(1月15日10時30分)に向けて、原告側の準備書面を出し、被告側に最低限の求釈明を求める主張を予定しています。
次回も口頭でのやり取りが予想されます。傍聴支援は弁護団としても大いに力になります。次回もまたご支援をよろしくお願いいたします。

過労死防止シンポジウム

 

長時間労働を無くして「過労死」を根絶しょう

11月18日(月)午後、札幌市内で「過労死等防止対策推進シンポジウム」が開催され、経営者、会社員、公務員、学生など180人が参加しました。基調講演、体験報告、取組事例報告とパネルディスカッションが行われ学びの多いシンポジウムとなりました。

開会あいさつは北海道労働局労働基準部長の久富康生氏が行い、北海道と札幌弁護士会から来賓あいさつがありました。

 基調講演  榎森 耕助 氏

   『過労死大国日本の異常な働き方について』

タレントで「せやろがいおじさん」名でユーチューブに動画を発信している榎森耕助さんは、冒頭、教員の過酷な勤務実態と変形労働時間制の問題を指摘した動画を放映しました。アップテンポで問題の本質を鋭く喋りまくる内容に場内は圧倒されました。過労死をテーマにお話しするのは初めてという榎森さん。シンポジウムに向けて必死に勉強したとして、①「働きすぎで命を落とす」日本は世界的に見て異常で特殊。② 長時間労働は心身の異常をもたらし大きな弊害になることは多くの学者が指摘している。③ 特に心の疲れを解消するためには、短時間の睡眠では無理であり、酔ったまま働くことになりかねない。④ 人口オーナス期(少子高齢化)にみあった働き方を考え、男女ともに、短時間で、多種の条件を持った人で職場を構成することが大切。などと指摘しました。 家庭や私生活と仕事をバランスよく調整することで、「ライフのインプットがワークに生き、ワークで得た活力がライフをより豊かにするワークライフスナジー(相乗効果)が必要だ」と結びました。

講演後、榎森氏は過労死問題の新作動画をユーチューブに公開しました。講演内容がコンパクトに伝わります。

 過労死遺族の体験報告

◆4年前に20歳代の長男を過労死で失った遺族(母親)は、亡くなる一ヶ月前の時間外労働が200時間だったとし、スポーツマンでリーダーシップもあり全国に多くの友人を持っていた人間でも「過労」でつぶされるとし、長時間労働をなくせば過労死は必ず防げると訴えました。

◆6年前に30歳代の長男をパワハラで亡くした遺族(母親)は、労災不支給決定の取り消し裁判の状況を報告し、支援者に支えられたたかっていると報告しました。

 取り組み事例報告

職場での取り組み事例は、アートシステム株式会社の浅野 剛(常務取締役)が「働き方改革への取組み~業務量の見える化~」をテーマに報告しました。

その後、パネルディスカッションを行いました。概要は次ページに掲載しています。
最後に、過労死等防止対策推進北海道センターの佐々木潤(弁護士)・共同代表が閉会 の挨拶を行いました。

  パネルデスカッション

コーディネーター  川村 雅則氏 海学園大学教授)
パネリスト     榎森 耕助氏 (タレント)
浅野 剛 氏 (会社役員)
村山百合子氏 (過労死を考える家族の会)

                 過労死ゼロの伝え方

 川村: 「防止法」ができて5年経過するが、社会への伝え方が大事。我々はどこまで        それができているか。「せやろがいおじさん」として社会問題などをユーチューブで積極的に発信、しかも、人を傷つけない笑いを追求している榎森さんを今回講師にお願いしたのはそのような思い。
榎森: 最初は地元の沖縄問題などの時事ネタを発信していた。どうすれば見てもらえるかを考え、とげとげしい事を言うと伝わると思った。できるだけ提案型の発信を考えている。
川村: このシンポは企業側からの発表者の確保に苦労していた。浅野さんの会社は働き方改革に取り組んでいる。有休取得が増えたのはなぜ?
浅野: 念のため言えば、うちは過労死を出した企業ではありません。「働き方改革」でアンケートしました。有休取る人少なかったので、取得を勧め増えました。

          公共の仕事で労働環境の整備を進める

 川村: 自治体からの受注が多いようですがIT関係の仕事は納期との関係で大変では?
浅野: そのあたりの調整は結構大変です。
 川村: 公共工事で息子さんを亡くされた方の報告が先ほどありました。国や自治体の     仕事を受注する事業者で労働者が困窮してはならない。私たちが制定を目指す「公契約条例」は、国や自治体の発注する仕事で賃金や職場環境をまともにすることを目指すものです。
榎森: 企業だけでなく自治体の役割も大事ですね。働く職員が充実している事業者を応援するようにしなければと思います。利益だけで考えない。社員をハッピーにしようという会社に応えて欲しい。
川村:字つは沖縄県にも理念型の公契約条例が制定されているんです。榎森さんこの問題をぜひ、ユーチューブで発信してください。
浅野: 労働環境の整備に取り組んでいる企業を応援してもらえるのは嬉しい。

     過労死の原因明らかに

川村: どんな働き方で過労死したのかが明らかにならないのは大きな問題だと思いま       す。
村山: 息子の過労死について、病院は説明を拒否しています。職員には「かん口令」が敷かれているようです。事実を確認するため、困難な中、情報収集しています。
 川村: 過労死防止の取り組みは家族の会の力が大きいです。しかし、本人が亡くなった中、家族が真相を突き詰めるのは大変です。労働時間が管理されていない。ワークルール、当たり前のことが根付いていない。芸能界にもそんな問題がありますね。
榎森: 「契約」あること知らん。事務所も知らんぷり。働く人が声を上げなければ。ところで、驚いたのですが、「かん口令」を敷くなんていうのは労災隠しでは?
 村山: 裁判では遺族が事実を示さなければならない。命を守る病院で新人が命を落とす。他の職員も余裕がない。経営者は業務起因を全否定。支援者と一緒にチラシを配布している。

           ハラスメント対応

川村: 今年5月、職場での優越的な関係上の言動に関するハラスメント禁止法が成立しました。範囲が狭く、例えばフリーランサーが対象外であったり消費者からの深刻なハラスメントも除かれていることや、防止の措置義務が企業に課されたけれども行為の禁止規定が盛り込まれていないなど多くの課題が残っています。しかし一歩前進です。6月にILOで職場から暴力とハラスメントを全面禁止する、罰則付きの内容で条約が採択され、各国に批准を求めました。それを目指しつつ、パワハラ・セクハラ禁止に向けて声を上げてゆきたいですね。
榎森: ハラスメントは業務効率を下げます。管理能力の問題です。動画はまだ作っていないので動画で応援したい。
 浅野: パワハラでは上司評価を厳しくやっています。従業員との個別の面談も定期的に行っています。
 川村: 生産性の観点だけでなく、みんなが気持ちよく働き続けるようにしなければなりません。「あったかファミリー企業」を目指しましょう。
過労死防止のために参加した皆さん一人一人ができることを考えるきっかけになればと思います。
(文責:いの健事務局)

 

2019年なくせじん肺全国キャラバン

 国にアスベスト被害根絶と基金創設を求めて全国で取り組まれた「第30回なくせじん肺全国キャラバン」(9・30~10・24)の終結集会が10月23日、東京都内で開かれ、24日は、厚労省と交渉。アスベストアナライザー(現場で非破壊で即時アスベスト分析が可能な計測器)を全国的に普及するよう強く要請しました。

 北海道の出発集会

 10月3日、札幌で行われた「北海道キャラバン」の出発集会では、三つの訴訟報告がありました。トンネルじん肺根絶訴訟弁護団の川村俊紀団長は「第6陣訴訟は来年4月の和解成立をめざしています。これまで23年にわたる裁判で2千5百人の解決をみた。国の責任を認めた5つの判決をもとに合意書を結ぶなどの成果をあげてきました。裁判によらない解決のために『基金』創設を求めている」と報告しました。
建設アスベスト訴訟弁護団の長野順一事務局長は「全国的には4つの高裁判決で、国、メーカーの責任を認めさせてきた。11月には九州でも高裁判決が出された。来年には最高裁の判断が示されまる。札幌の訴訟でも国とメーカーの責任を認めさせ、裁判によらない救済基金の実現をめざす」と強調しました。
石炭じん肺訴訟弁護団の増谷康博事務局長は「第5陣まで1千8百人が国と和解した。残る原告についても来年6月までに解決できる見通しだ。企業側の不当な主張を許さないたたかいを強めなければならない」と訴えました。

 労働局・労基署・自治体などに要請

 3日午後から、道庁への要請行動を行い、トンネル工事での8時間労働制、アスベストアナライザーの導入を求めました。17日の道労働局等への要請では、北海道労働局が保有しているアスベストアナライザーについて、「札幌近隣を中心に100ケ所で検査を実施し、かなりの確率でアスベストが検出された」との報告がされました。各監督署に配置するよう本庁に要望することを求めました。
10月9日と10日に道内11の労働基準監督署、同時に初めて各自治体に「アスベスト被害の救済制度の広報と中皮腫で亡くなった市民の遺族への資料の直接送付」などを求めました。「建交労道本闘争本部ニュース」より転載

   アスベストアナライザーの配置を

携帯用のアスベスト分析装置で、現場で対象物を破壊せずに器械を当てるだけで、約10秒で6種類のアスベスト鉱物の有無の結果を出します。1台720万円以上ですが、各地域に配置することで被害対策、除去対策が進みます。道内では北海道労働局と札幌市に配置済みです。建交労北海道本部は各労基署、道内の主要な自治体への配置を求めています。

2019北海道セミナー

            北海道セミナーで学び、交流し合う

       『一日8時間労働』を当たり前の社会に!

   2019年働く人びとのいのちと健康をまもる北海道セミナーは、10月26日、札幌市内で開催し、記念講演と四つの特別報告、三つの分科会で、講演と報告を受け討論し学びあい交流しました。

 細川 誉至雄実行委員長(いの健道センター理事長)は「台風で、各地で多大な被害を受けた。政府はスピード感ある対応が求められる」「労働者の現状は実質賃金の減少や非正規雇用が増大、過労死・過労自死などの労災申請の件数は増加している。どう打開するか学び合おう」と開会あいさつを行いました。

 伊達正勝実行委員会事務局長が基調報告を行い「36協定の締結強化や有給休暇年5日取得義務化など、前進した一方で、精神疾患の労災請求件数は過去最高を更新、健診の有所見率は半数を超えるなど、労働者の健康が脅かされている。改善に向けて話し合おう」と呼びかけました。

 記念講演は岸 玲子・北海道大学特別招へい教授が「日本学術会議『労働・雇用提言』から8年を経て―働き方改革への社会への底流と変革への期待」をテーマに講演。岸教授は、労働衛生の取り組みの歴史の紹介や、EU諸国に比べ日本は非正規介や、EU諸国に比べ非正規と正規との賃金や待遇の格差が著しく、最も貧困なのは働く母子家庭であることを指摘。日本は1日8時間労働などを謳ったILO条約を批准し、貧困格差を是正すべき」と強調しました。

特別報告は①外国人労働者の実態と「共生」への課題(小野寺 信勝弁護士)
②中小企業・フリーランスの労働と健康実態(大井川 政典札幌北部民商事務局長)
③建 設アスベスト裁判の到達点と課題(長野 順一弁護士)
④介護現場の24時間勤務の実態と課題(鈴木 貴人特養もなみの里施設長)から報告されました。

午後は、「メンタル・パワハラ」「働き方改革」「夜勤・深夜勤務者の健康」の3分科会が行われ、五つの講演と14の事例・活動報告がされ、現場の実態と改善すべき課題について意見交換し交流しました。
閉会のあいさつで長野 順一副実行委員長(弁護士)は、「1日8時間働いて安心して暮らせる社会を当たり前にするためにがんばろう」と呼びかけました。

感想文

★労働者の置かれている状況の大変さを感じた。改善するために何ができるのか考えさせられた。
★問題意識を共有し、学習できる機会は、今まさに求められていると感じた。

記念講演
岸 玲子  先生    (北海道大学 特別招へい教授)

【講演概要:文責は事務局】
 最初に日本の産業衛生や労働安全衛生の歴史を紹介。明治になって西欧に100年遅れの近代化を担ったのは紡績・繊維産業で労働者の主体は女工であった。あまりにも過酷な労働実態で多くが死亡あるいは重病(結核が多発)になり働き手がいなくなる事態が発生、1916年にやっと工場法が施行された。同時期にILOが設立(1919年)され第1号条約(1日8時間労働、週48時間に制限、14歳未満の児童の使用禁止、等)が採択、 しかし日本は除外規定で扱われることを要望。しかも戦後に労働基準法が施行(19年)され労働省が発足したが「36協定」という抜け道を作ったため、日本では一日8時間労働制は実質的には守られず、残業は無制限、週48時間を超える労働も実際は制限がない実態が続く。現在日本で起きている様々な労働問題は100年経過した現在も国際基準であるILO条約において、日本は189ある採択条約のうち48しか批准していない事と関している。

   11年前に日比谷公園「年越し派遣村」ができる事態となり、日本学術会議(内閣府)は労働・雇用に関する課題別委員会が急がれると考え2011年に最上位に「健康な労働と職場環境改善」をあげ、提言を行ったとの事(内容は学術会議HPを参照)。
その後、日本産業衛生学会・政策法制度委員会から2013年度以降も5本の提言をおこなった事を紹介。特に労働安全衛生に関する普遍的な条約である第155号と職業衛生機関に関する161号条約の批准が急がれる、と強調された。さらに健康で働きがいのある労働(ディーセント・ワーク)について触れ、過重労働を防ぐうえで18本ある労働時間や休暇に関するILO条約を1本も批准していない点も問題視した。

  最後に我々はこれから、どのような社会を目指すのか?では、日本の貧困・格差社会の根源は労働・雇用の問題であり、年金の問題であると指摘。特にジェンダーでの視点での改革が必須と述べ、未来に向けわれわれ自身の主体的活動の必要性と岸先生の考えを提案された。最後に「裏切るなら絶対に許さない」スウェーデンの高校生グレタさんのニューヨークでの訴えを紹介しました。

分科会報告
 第1分科会 働き改革を味方につける

14人が参加。安彦裕介弁護士が1時間の講演。長時間労働の是正、同一労働同一賃金など、これまでとの違いを詳しく説明。広く深く学べた。行政が示すガイドラインは使用者に守らせるべきだが、労組としては「守り」ではなく、それを超えて取り組むことが必要と議論された。報告演題は4人からされました。

 第2分会 メンタル・パワハラの予防と補償

25人が参加。島田度弁護士が講演。パワハラに関わる労災申請は増えているが、現行の労災「認定基準」では認定が難しい。労組側がパワハラに取り組み「これはパワハラ」と労働者が声を上げることを期待した。これに対して「声を上げると仕返しに遭い困難」と率直な意見が出された。
演題は4人から報告され、それぞれ身につまされる内容だった。立ち上がって頑張っている当事者の声に共感し、支援したいとの思いを持ちました。

 第3分科会 夜勤勤務者の健康問題

18人が参加。川島 亮平医師が「夜勤と健康への影響」を講演。生体リズムを崩す夜勤は長くやっても馴れることはないと強調。「夜勤の法的規制」を長野 順一弁護士が講演。「医労連の夜勤実態調査結果から」を鈴木 緑道医労連委員長が報告。16時間連続夜勤の増加に関して警鐘を鳴らした。
介護のワンオペ勤務。コンビニオーナーの深夜勤務。運輸労働者の過酷な勤務状況などが報告され、健康被害の根絶への課題について、意見交換しました。

新人看護師パワハラ自死労災不支給取消裁判

 息子の過労死、労災認めて!

                      村山さんの訴えに支援の輪が広がる

   2013年4月に釧路赤十字病院に新卒採用となった、村山譲さん(当時36歳)が、同年9月にパワハラ等で自死した事件は、遺族が申請した労災が2017年11月に棄却されました。遺族は2018年4月に釧路地裁に「労災不支給処分取り消し訴訟」を提訴し、これまで6回の口頭弁論を終えています。
   2016年7月、釧路を中心に「支援する会」が発足し、遺族、弁護団とともに粘り強く活動を続けています。裁判になってから取り組んだ裁判官宛の「公正な判決を求める署名」は、先月2万1千筆を超えました。第5回期日で代理人弁護士が裁判官に署名用紙を届けたところ、署名用紙の束に裁判官が驚く一幕もありました。
   遺族は支援の呼びかけ活動に全国・全道を駆け回り、先月は北海道母親大会で、母親が地元・室蘭の支援者とともに壇上から訴え、多くの署名が寄せられました。

   事件は過重労働とともに、パワハラが原因であり、その「証言」を集めることが課題です。譲さんは手術室の勤務でしたが、内部の事はなかなか明らかになりません。「支援する会」では病院職員向けにチラシを配布して協力を呼び掛けています。8月27日には釧路市内で「原告、代理人、支援者の集い」を開催し、参加した30人から、事件への思いを語ってもらい、情報収集を呼びかけました。翌朝はご両親が支援者とともに病院前で訴えとチラシ配布を行い、反響を呼んでいます。

 

急性大動脈解離で死去されたAさんの労災支給決定

    2014年9月に過労死されたAさんの労災請求が認められました。事案の概要と支給決定に至った経過について、担当した安彦裕介弁護士からの報告を掲載します。

        札幌たいよう法律事務所   弁護士 安彦 裕介

    本年7月、札幌東労働基準監督署長は、札幌市内の清掃・美装会社で働いていたAさんの急性大動脈解離のための死亡が業務上の事由によるものと認め、遺族補償給付の支給決定を行いました(代理人弁護士は、当職及び畑地雅之弁護士)。

    Aさんは、平成26年9月の明け方に、勤務先の倉庫で倒れているところを発見され、市内の病院に救急搬送されましたが、急性大動脈解離により死去されました。
Aさんは、死去直前1か月間の作業報告書の記載から、長時間の時間外労働に従事していたことが疑われました。しかし、Aさんのご遺族が当職らのもとに相談に来られた時点で、Aさんの死去から3年以上が経過しており、死去直前1か月より前の労働時間がわかる資料は、廃棄されてしまっていました。
    この点、脳・心臓疾患の労災認定基準では、長期間の過重業務について、「発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できる」とされています。そのため、死去直前1か月間の労働時間のみしか確認できない場合は、1か月当たり80時間ではなく、1か月当たり100時間程度の時間外労働が認められなければ、労災の認定は否定される方向に向かってしまいます。
     Aさんの時間外労働時間は、死去直前1か月間の作業報告書の記載から計算する限りでは、月100時間までには達していませんでした。しかし、この作業報告書には、当日の作業現場における労働時間しか記載されていませんでした。当然ながら、Aさんは会社から作業現場に赴き、作業終了後には会社に戻っていたのですから、往復の移動時間があるはずです。また、会社から作業現場に向かう前、あるいは作業現場から会社に到着した後も、事前の準備作業や、事後の片付け作業を行っていたはずでした。

    これらのことから、会社と各作業現場との間の距離、及び往復の移動に要する交通時間を算出し、作業現場における労働時間に加算したところ、Aさんの労働時間は、当職らの計算において月100時間を超えていました。また、休憩時間の長さに関して、当職らの考えと会社の主張が違っていたこと等から、事前の準備作業や事後の片付け作業に要する時間についても加算すべきことを合わせて主張しました。
これらの結果、札幌東労働基準監督署長は、Aさんの移動時間や事前・事後の作業時間を含めて、発症前1か月間に100時間を超える時間外労働が認められるとして、遺族補償給付を支給する決定を行いました。
証拠の散逸や廃棄によって事実の立証ができなかった場合には、ご遺族に無念や悔しさの感情がより強く残ってしまうことになりかねません。本件では、残っている限りの証拠において請求を認めてもらうことができ、安堵できる結果となりました。

労災に関する二つの発言

8月24日開催した、いの健センター第7回通常理事会での発言を紹介します。

 2018年度の労災認定は176件

 俵 正好さん(建交労北海道本部)

   建交労では冬場を中心に、健康や退職金制度などの関する「相談会」を行っています。
今年の冬は8地域31会場で行いました。チラシを新聞折込に入れたりしていますのでお金はかかります。いろんな相談があります。今年の函館会場にはトンネルの現場で働いてきた労働者が、体調不良になり退職し、会社に健康保険の手当支給をお願いしたが駄目で、相談に来ました。組合と一緒に労災申請することとし準備しています。
この取り組みは各自治体にも協力を呼び掛けています。「建交労」と言っても知らない人もいるため、自治体の「広報」に掲載してもらっています。また、地域の医療機関から会場をお借りするなどの対応も進めています。
この1年間の労災認定件数は176件でした。内訳は振動障害99件、じん肺16件、アスベスト1件、騒音による難聴36件、その他1件、遺族補償23件(じん肺22件、アスベスト1件)でした。振動障害は道労働局の統計では100件ですので、逆に言うといかに労災として診断する医師が少ないのかということです。
業務外のケースは7件でしたが、すべて、じん肺の遺族補償のケースでした。高齢のじん肺患者が誤嚥性肺炎で死亡した件で遺族が労災申請したケースでは、労基署が窓口で受け付けないという事例が生じています。こうした動きに対してもきちんと対応しなければと思っています。

 じん肺・アスベストの相談は408件

小川 浩司(勤医協中央病院)

     勤医協中央病院での、じん肺・アスベストへの取り組みについて報告します。
2018年度は相談件数が408件でした。じん肺の労災申請は18件、アスベストは22件でした。認定は14件、不支給は1件で他は審査中です。
このうち、病理解剖の結果、遺族補償を申請したケースが4件ありました。、
学校の先生のアスベスト事例がありました。チョークや昔の印刷機などで石綿の暴露を受けたものと思いますが、「公務災害」申請では学校長が申請者となるため、当時の証明ができないと拒否されています。やむを得なく「石綿救済法」への申請を行っています。こうした労働起因が証明できないアスベストの被災者に対しては、環境再生保全機構による「石綿救済法」の申請を行うことができます。昨年は16件申請し、うち10件が認められています。

杉本 綾さん民事裁判で原告訴え

  医療・働く人をまもる判決を!

   KKR札幌医療センター の新卒看護師・杉本綾さん(当時23歳)の過労死民事裁判が、9月17日札幌地方裁判所で行われました。
意見陳述した母親は「毎日3時間以上の残業と、自宅での持ち帰り残業で2~3時間の睡眠では心や体が病まないはずはない」「新人への過酷な業務内容や教育体制の不備は、他の医療従事者や他業種でも起こっている」「被告は労災認定の事実を認め、二度とこうした事件を起こさない様、業務改善を進めてほしい」「裁判所には、遺書を残して自ら命を絶ってしまった綾の気持ちを分かってもらいたい。今後の医療、働く人の心身を守ることにつながる判決をお願いします」と時折、声を詰まらせて意見陳述しました。

    これに対し、被告側代理人は「長時間労働はない、新人研修は実施していた、(綾さん)がうつ病にり患していた証拠はない」と安全配慮義務違反を全面否定しました。
訴状に対する答弁書でも、ことごとく「否認」を繰り返しています。

  常軌を逸した病院側の主張

「支援する会」の報告集会で原告代理人の島田度弁護士は「労基署の聞き取り調査の中で被告の従業員が話し、署名したものまで否認したのは驚くべきこと。先輩看護師のチェックを受けていた振り返りシートは原告側の開示請求で出してきたものだが、自分たちが保管していた証拠さえ否認するというのは常識ではあり得ない」と被告側の姿勢を批判しました。更に、「このような被告側の対応を許さないためにも、多くの皆さんが傍聴支援に来ていただきたい」と訴えました。

「支援する会」共同代表の細川誉至雄医師は「病院側が綾さんの自死について責任がないという立場をとり続けていることに医療者として大変違和感を覚える。病院の医療安全管理体制、衛生委員会が機能していたのか今後の裁判で明らかにしてほしい」と話しました。 佐藤誠一事務局長は「今日の被告側の主張には驚いた。過重労働で労災が認められた場合、民事裁判を回避するケースが多い。当該の労働組合とも相談して、被告側の不当性を訴える行動に取り組みたい」と述べ、「問題の背景には深刻な看護師不足と看護労働の過重性がある。この裁判は国民の医療をまもる、まともな医療・看護体制を実現するたたかい。勝利めざしてがんばりましょう」と呼びかけました。
   次回期日は、11月13日(水)11時からです。
支援する会では傍聴支援を呼び掛けています。

KKR札幌医療センターを民事提訴

杉本 綾さん過労死事件

 謝罪と現場の改善、償いを

新卒看護師・杉本彩さんが2018年10月労災認定されたことを受けて、2019年7月29日、遺族と弁護団はKKR札幌医療センターを運営する国家公務員共済組合連合会に対して、病院の安全配慮義務違反によって 綾さんが死亡したことへの謝罪と再発防止措置、損害賠償を求めて札幌地裁に提訴しました。
遺族と弁護団は、提訴後、記者会見を行い、提訴に至った経過と訴状の概要を説明しました。
「新卒看護師の過労死裁判を支援する会」は、18時30分から「裁判勝利をめざすつどい」を開催し、勝利判決までたたかうことを決意しあいました。

長野順一弁護団長の報告

2018年10月26日札幌東労働基準監督署は、杉本彩さんの自死について、労災不支給処分を取り消し、支給決定を行いました。訴訟継続中に司法判断ではなく、処分庁自らの判断として不支給処分取り消し(いわゆる自庁取消し)が行われたことは、それだけ綾さんの過酷な勤務状況が明確であったことの証でもありました。
それを受けて、遺族と弁護団は病院に対して、①綾さんが過労自死したことについての責任を認め、謝罪すること。②今後、二度と過労死が起きないよう、適切かつ具体的な措置を講ずること。③今回の被害と病院の責任にふさわしい損害額を遺族に支払うこと。の3点を求める文書を送付し回答を求めました。
このような文書を送付したのは病院に対して、訴訟によらずに、責任を自覚して同じ悲劇を繰り返さないための取り組みを真剣に進めてほしいという、母親の強い思いがあったからであり、病院が自主的にそれに応ずることへの期待もあったからです。
しかし、病院側から届いた回答は「綾さんに長時間・過重労働は無く、病院側には安全配慮義務違反の責任はないと考えている」「この点については今後訴訟において主張・立証する予定である」というもので、話し合いによる解決の余地すら否定するものでした。  そのため、私たちは、法廷の場で病院の責任を明らかにするため、今回の民事訴訟を提訴しました。
病院側は、民事上の責任(安全配慮義務違反)はもとより、労基署が認定した「長時間、過重労働」や「業務との因果関係」さえも争ってくることが予想されます。
しかし、私たちには、すでに行政訴訟の中で獲得した大きな成果があります。また、支援してくださる皆さんや世論の大きな支えがります。それらを武器に、訴訟を勝ち抜きたいと決意しています。皆さまのご支援を引き続きお願いいたします。

「KKRを提訴するにあたって」 綾さんの母親

     医療現場が良くなってほしい

昨年10月にこれまでたたかってきた結果の一つとして、綾の労災は自庁取消しという形で認定となりました。
しかし、綾が自分の存在を一番認めてほしかったのは、勤務先であった、KKR札幌医療センターであることは間違いないと思って居ります。そして、二度と綾のような思いをする方が出ないように、私のような死ぬまで苦しい思いをする親や家族を作らないためにと、KKR札幌医療センターに二度、通知文を提出いたしました。 民亊訴訟という形でたたかう事が最良だと思っていない事、綾の事件を教訓に今後の業務改善をお願いしたい旨の内容でした。しかし、「是正勧告」を受け、職員の過労死が労災認定され、メディアにも流れたにも関わらず、いっさい責任については認めず、民事訴訟でのたたかいの意思を示されました。
それは私にとって、とてもつらい返答でした。綾はKKR札幌医療センターに内定をもらった当時、とても喜んでいました。自分の入職する職場に誇りを持っていました。だからこそ、頑張ったのです。その気持ちが否定され、今も働いている職員の方々に向けても業務改善の意思がないことを公言されたような虚しい気持ちで落ち込みました。
それでも、応援してくださる方々や、これからの医療の現場が良い方向に変わっていくためにも、民事訴訟の場で訴えていきたいと思って居ります。
また、どのくらいの期間になるかはわかりませんが、これからも見守っていただけたらと思います。何卒、よろしくお願いいたします。

2019年労働安全衛生学校

三つの講演と報告、議論で充実した学びでした

第一講義

パワハラ問題~
            職場の対応を考える
                                                   講師:畠 由架利 氏 (産業カウンセラー)

職場におけるハラスメントはパワーハラスメントからセクハラ、マタハラ、モラハラなど多くが存在している。ハラスメント行為は、働く人の個人としての尊厳を不当に傷つける、社会的に許されない行為。しかし加害者は「指導したつもり、傷つけるつもりはなかった」と異口同音に自分は悪くないと釈明。しかしハラスメントを受けたために仕事への意欲が低下し、メンタル不調や病気につながり、さらには生きる希望を失い自殺することにもつながりかねない。行為者(加害者)にならないためには感情をコントロールする能力やコミュニケーション能力を身に付ける必要があり、被害者、行為者にならないためにチェックリストでの自己点検と合わせて、過重な業務を軽減し、労働環境を改善するなど働きやすい職場づくりが大切であることなどを指摘しました。
職場での対応では相談者のプライバシーを確保できる相談窓口の設置(職場内・労組・外部機関など)最終的な事実認定は公正中立な委員会の設置と慎重な審議が必要となる。
一旦事案が起きると多大な労力を要する。相談があれば「職場改善への第一歩」として働きやすい職場づくりにつなげる努力が必要と強調しました。

感想文から

★とても分かり易く、自分の経験や立場の違いを思いうかべて話を聞いた。“防止のためにアンガーマネージメント”について深く学びたいと思った。
★ハラスメントは増えている。1度ハラスメントが起きると解決に時間がかかり、被害者、行為者、会社に不利益を被ることなど分かり易い講義でした。職場で相手を尊重しながらコミュニケーションをとって行きたい。
★講義とても聞きやすくかった。職場でのハラスメントは無いと思っているが、自分が無意識でそういう行為をしていないかという思いに至った。ハラスメントの学習をきちんとしていないので、学習の必要性を感じた。

第二講義

労安活動の基本と
               小規模事業所の活動
                                               講師:村上 剛志 氏  (社会医学研究所・理事)

村上氏は、労働安全衛生法(労安法)の歴史は昭和47年に労働基準法から分離し体系化され、法制化で労災による死者が6千人から1千人に激減したと紹介。労働者の安全と健康の確保と快適な職場環境の形成促進するために労安法があり、事業者には労災防止の最低基準の遵守だけではなく、労働者の安全と健康を確保する責務があると強調しました。
小規模事業所の労安活動は、従業員50人未満の事業所に安全衛生委員会の設置義務はないが、労働者の意見を聞くための委員会や懇談を設けるべきと労安法で定められているとし、文科省は安全衛生委員会の設置義務のない学校も設置義務のある学校に準じた体制の充実に努めるべきとの通知や、ある教育委員会では衛生委員会を原則月1回以上の開催を求める通知を発出して安全衛生活動の活性化を促していると紹介しました。また、現場では長時間労働防止のために校内を消灯する「ライトダウン」、教員からの要求で男女別の休憩室を設置させた例が報告されました。
最後に村上氏は「労働者の安全と健康とは一人一人が生きていく人間として活動する基本条件であり、それを守るためには安全衛生委員会の機能の充実を期待する」と呼びかけました。

感想文から

★労働安全衛生法について学べた。具体的に院所担当者に聞かせたかった。
★本当の姿が理解できた。残業時間の管理ばかりに時間を使っていて職場環境の問題など議事に上がったことがない。
★50人以下の職場で安全衛生委員会も組合の中で初めて知ったのですが、必要性を強く感じた。
★安全衛生活動が多彩にあることを知った。要求を掴むことで活動計画が作れることも分かった
★労基法は意識しているが、労安法は健診だけで、理解していないことが分かった。働きやすい職場環境を整えるうえでとても重要だと改めて感じた。

 

第三講義

どうする「働き方改革」 への対応
                                                講師:木村 健一 氏(北海道国公・副議長)

働き方改革関連法の施行から、私たち労働者が職場の中で権利をどのように活用し生かせるものとするのかを、楽しく・明るく・分かりやすいお話しで進められました。長時間労働に歯止めをかける36協定について、締結に際しては労働者から時間制限について意見ができることや上限時間のカウントの仕方を説明しました。
有給休暇については、参加者の皆さんが一番興味を示し、有給休暇の使用については労働者がルールを知って声を上げること、有休を取りたいと言えば済むことですが、そのためには職場の体制を変えることが求められているなど、権利を行使するためには職場の意識改革と行動がカギであることを強調しました。

その後、教育職場の実態と改善に向けての取り組みについて、北海道高教組の菱木淳一さんから、医療現場の取り組みについて全医労札幌病院支部の小松原與加さんから報告がありました。

質疑・討論ではフロアーからの発言が相次ぎ、今こそ労働組合の力と学習が求められていると感じる機会となり多くの学びを得ることができました。

感想文から

★楽しく明るく分かりやすい。是非、職場に来て頂き、セクション長も含めてみんなに聞かせたい。
★年休取得・時間外ともに労働者の権利を主張でき、なお、業務が回る組織づくり、社会づくりが一部だけでなく、社会全体の動きに繋がっていくことを強く望む。
★36協定の締結の仕方、内容がよく分かった。
★労基法違反について使用者も理解してもらいたい事があるので、相互理解しながら法を守らせる事も重要と感じた。

 

 

新人看護師パワハラ自死事件

医師の『パワハラ発言』の再調査を求める

釧路日赤病院に勤務していた、新人看護師 村山譲さん(男・当時36歳)が2013年9月に自死した事件は、現在「労災不支給決定取り消し裁判」が釧路地裁で行われています。6月11日に第5回期日でした。
この間、被告(国)は村山さんが精神障害を発病したことに関して業務起因性はないと主張。注射のインシデント事故、手術台のロック外しミスは「重大な事故」とは言えない、次のステップ(器械出し)に進めなかったことも「本人も納得していた」とし、医師・看護師のパワハラの事実もないとしています。

これに対して、原告は①譲さんのノートを提出し困難な業務内容に応えるための努力状況を示し、②譲さんの業務上のミスは患者の命に係わる危険性がある「強」の負荷であり、③次のステップに進めなかったことは、自己評価が低くなっていた譲さんにとって大きな影響があったことは事実と指摘しました。④これらを背景に職場での人間関係が悪化していることは明らかで、医師の発言、「お前はオペ室のお荷物だ」は被災者の自尊心を著しく低下させたと指摘しました。そのうえで、医師の発言に関して釈明することを求めました。
裁判長は被告(国)に対して、次回期日までに医師のいわゆるパワハラ発言の再調査を行い報告することを求めました。次回期日は10月7日(月)14時30分からです。

裁判後、「支援する会」主催の報告集会が行われました。尾林芳匡・白神優理子弁護士から裁判の概要報告と合わせて「この間の支援する会の活動、公正判決を求める署名などで、局面を切り開いてきている」と参加者を激励しました。尚、この日は4,700筆の署名を提出し、合計1万8千筆を超えました。

3年間でアスベスト労災41件

  勤医協中央病院のとりくみ

勤医協中央病院は、石綿健康管理手帳健診の受託医療機関です。「石綿手帳」所持者は職場でアスベスト暴露し呼吸器疾患にり患した人に交付され、年2回の検診を受けることができます。勤医協中央病院では2018年は延べ280人が受検しました。

アスベスト関連疾患(肺がん、中脾腫、胸膜肥厚・良性胸水)の患者は2016年4月~2019年3月までの3年間で、60人でした。このうち47人が労災申請し、認定が41人、現在申請中2人、不支給決定が4件でした。

Aさん(60歳代・男)は定年まで43年間、サッシ工として働き、16年9月に他医院で異常陰影を確認され、17年8月当院で胸腔鏡下肺部分切除術施行し、手術検体より石綿小体測定を実施し47,389本/g(乾燥肺)を検出。原発性肺がんの労災認定基準である「胸膜プラークに石綿粉塵暴露歴10年以上」それに加え石綿小体測定5,000本/g乾燥肺をクリアしていることを確認し11月、労災申請を行い、18年3月認定となりました。

業務上の要件を満たさなかった場合、環境省による「石綿救済法」の基準を満たせば医療費や療養手当てが支給されます。当院では3年間で6件が該当となりました。労災と合わせて47件が補償を受けています。
わが国では1960年~90年代までアスベストが使用されていました。30年~40年を経過して症状が現れると言われており、呼吸器疾患の場合、アスベストを疑い、精査することが必要です。

勤医協中央病院・医事課  小川 浩司

請負型の働き手、全国170万人

 「広い労働者概念」に基づく権利保障を

厚生労働省の「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」は企業から報酬を得る請負型の働き手が約170万人いるとの試算を示しました。これは自営業者約538万人に対する調査結果です。
請負型で最近増えているのが、飲食宅配サービスの配達パートナーやウェブデザイナーといったインターネットを通じて仕事を請け負う働き手です。労働者のように働いていますが、企業の健康保険や厚生年金には加入できず、労働法上の保護はありません。
調査では、働き方の実態もまとめ、取引先企業とのトラブルで最も多かったのが「報酬の支払いが遅れた」(18・7%)、「仕事の内容・範囲についてもめた」(17・4%)、「報酬が一方的に減額された」(13・3%)、「報酬が全く支払われなかった」(7・5%)でした。

独立自営業者を続けるうえでの問題点について、「収入が不安定、低い」(45・5%)が最も多く、「仕事を失った時の失業保険のようなものがない」(40・3%)「「仕事が原因でケガや病気をした時の労災保険のようなものがない」(27・7%)と答えています。

2016年1月、厚労省は「働き方の未来2035」を発表し「2035年の企業はミッションや目的が明確なプロジェクトの塊となり、多くの人はプロジェクトの期間内はその企業に所属するが、プロジェクトが終了するとともに別の企業に所属する・・・・・人は事業内容の変化に合わせて柔軟に企業の内外を移動する形になっていく」と未来を描きました。その後、「会社員は消える」「自分の仕事は自分で守る」などの「フリーランスの勧め」が広がりましたが、先陣を切ったアメリカでは請け負い就労者が減少し、イギリス・フランス・ドイツでも労働者と同等の保護政策がとられています。
厚労省の「検討会」ではこうした実態と世界の流れをくみ取った対策を講ずることが求められています。

        いの健ニュース 2019.6.1号から転載

「産業医の新たな役割」を考える

 働き方改革関連法案

  医師不足と産業医

「働き方改革関連法」が今年の4月から施行された。同法は労働基準法や労働安全衛生法など関連法8法を一括し、細部の検討なしに決めたため今後様々な問題の発生が予想される。高度プロフェッショナル制度も現時点でまだ全国での利用者は1名のみとの事である。医師の長時間労働も5年先送りされ、地域医療を支える病院や研修医については上限を年1860時間に設定など異常な長時間労働を容認する内容で検討されている。日本の届け出医師数は約31万人で、人口10万当たり世界55位(WHO統計)と先進国では最も少ない。医師不足の中での今回の改正安衛法は産業医の中立性や権限強化を目的としている。詳細は省くが第13条第5項では産業医の「勧告権」も追加された。なぜいま産業医の勧告権なのか?

  衛生委員会での産業医の役割

安衛法18条では、事業者には常時50人以上の労働者を使用する職場に衛生に関し調査審議して事業者に意見を述べるための衛生委員会設置が義務付けられている。また委員会は月1回以上開催し、委員会構成メンバーとして産業医1名を選任(嘱託)する。1000人以上の職場では専属産業医が必要である。
産業医は月一回の職場巡視を行い、衛生委員会に出席し(義務ではない)「事業場において労働者の健康管理等について専門的な立場から指導・助言を行う医師」であり、あくまで相談に乗る立場である。そもそも労働者の安全や健康は事業主の責任で守られるべきであり、それを監督助言指導するのは労働基準監督官であり産業医ではない。
しかし長時間労働、高ストレス者の面接指導により産業医が就業上の処置(就業制限や要休業)が必要と判断し意見を述べても事業主が適切な対応をとらない事案から過労死に繋がる問題も指摘されていた。

産業医数はおよそ10万人(日本医師会登録)と多いが、専属は約1500人と少なく大半が嘱託(本業は別)である。急に産業医に権限強化と言われても違和感があるのが現状である。しかも「勧告」は「特別な手段であること」となっており定義もあいまいである。5月末に名古屋で行われた産業衛生学会でも「勧告」の解釈にも様々な意見があった。労働者の健康を守る観点で見ると、改正を契機に事業者に確実に安衛法を遵守させていく事が重要ではないか、と感じている。

                                                                                 勤医協札幌病院 医師・産業医 細川 誉至雄

「働き方改革」による働き方

 「雇用によらない働き方」で、労働者の権利を侵害するな!

 4月12日に厚生労働省は、「個人請負」など、雇用に類似した働き方をする人が170万人に上っているとの調査結果を公表しました。

自ら求めて個人請け負いの仕事を行っている人もいるでしょうが、これとは別に2017年から私たち、ローカルユニオン「結」に寄せられる相談の中に使用者から個人請負になるように迫られるケースが出てきました。
①求人募集に応募したが、個人事業主扱いでトラック運送業務をさせられている。車両    はリースでガソリン代も自分持ち、健康保険もない。日当11,000円で、会社できめたコースで、時間が長く仕事がきついので辞めたい。
②美装会社でパートの清掃労働者として働いていたが、業務を縮小するから辞めるか個人請負になるか選択を迫られ、同僚の3人は致し方なく個人請負になった。
③建設会社に35年も勤務している60代の営業職だが、売上が下がっているとの理由で退職か個人請負になるかの選択を迫られ、うつ病となり休職している。
④ドーコンの下請け会社で、開発工事による環境破壊などの調査業務をしている男性は、社長から生産性が悪いと退職か個人事業者になるかを迫られている。など

2016年までほとんど無かった個人請負への転換を迫られるケースが増えています。使用者は、アベノミクスによる聖域の無い規制緩和によって激烈な生き残り競争を強いられています。従業員を個人請負に転換させ、労働コスト削減を図ろうとする使用者が増えているのは、そのような背景からきているのではないでしょうか。
安倍政権が進める「働き方改革」は、雇用によらない多様な働き方を増やす方向を打ち出しています。労働基準法、最低賃金法、労災保険の適用がなく、企業の健康保険、厚生年金への加入が出来ない個人請負は、社会的セーフティネットから外れるだけで無く、厚生労働省の発表のように多くの場合、低賃金を強いられています。雇用によらない働き方は、不当な合理化のためですから、これが増えると雇用契約による労働者の労働条件も低下させ、職場環境を悪化させると警鐘をならす必要あります。

吉根 清三氏 札幌ローカルユニオン「結」労働相談員

最低賃金、全国一律引き上げで地域の再生・活性化を!

 4月11日16時から、衆議院議員会館で、自民党最低賃金一元化推進連盟の「ヒアリング②」が開催され、黒澤幸一全労連事務局次長が「全労連全国一律最低賃金要求について」説明しました。説明の要旨を掲載しました。

最低賃金一元化推進議連のみなさんが、接近の仕方が私たちと違っても一番高い東京水準を掲げて最低賃金の全国一律制を実現させようと取り組まれていることに注目し期待しています。
全労連は、結成から30年、行動綱領で三つの要求、大幅賃上げと労働時間短縮と並んで、全国一律最賃制度の実現を求めてきました。この間 35万筆余の請願署名を集め、地方議会での意見書採択をすすめ、このようなTシャツでデモンストレーションをしたりと取組みを進めています。日本の賃金は世界水準からも劣後 地方や職場から寄せられる声は切実です。「最低賃金 786円では低すぎ。健康で文化的な生活を送ることは到底無理」「最賃は、今すぐ千円以上に」「 地域経済を支える中小企業を守る仕組みを追及して」など声が寄せられています。
①あまりに低すぎ、それだけで生活するのは難しい。
②地域間格差があり、差別的状況にある。
③中小企業支援策が貧弱で、国際比較でも極めて低い水準にあることです。
地域別格差では高い東京の時給と低い鹿児島では 224円もの格差があり、毎年拡がっています。日本の中小企業支援は、87億円の実績にとどまり、フランスの2兆円規模の対策と比して極めて貧弱です。最賃上げて、生活を底上げし、地域を元気にできるように、最賃を決めるベクトルを変える政治決断が必要です。

ある県の知事は「同じ全国チェーンのコンビニの賃金が異なっていることに、強い違和感を覚える。全国一律にすべき、これによって企業がつぶれる事はない」と述べています。全国知事会からも、地域経済の好循環の拡大に向けて国に要請が上がっています。地域別最賃が人口流失を招き、地域経済を疲弊させています。 「最賃が低い地域は賃金が低い」これが実態です。最賃と賃金の相関は極めて高く、 最賃を上げない限り、賃金は底上げされません。 厚労省の資料でも15歳から29歳の若者たちが都市部に流れているとデータが示しています。地方の人の流出が地域経済を疲弊させていることは明らかです。数年かかっても日本の最賃を全国一律制にしていくことが、「格差と貧困の是正」と「地域経済の再生・活性化」のために必要不可欠です。又、産業・業種別の特定最賃はしっかりと残す必要があります。

最賃が上げられることと失業率に相関性はありません。イギリスなど世界の事例を見ても明らかです。日弁連の経営者協会などへの聞き取り調査でも、「最賃上がったことで、会社がつぶれている状況にはない」(青森、鳥取)と報告されています。むしろ 最賃引上げで経済波及効果が期待できます。 大きな地域間格差とあまりに低い最賃を是正するには中小企業支援が必要です。社会保険の企業負担減免など世界の好事例を参考に、実効性のある中小企業支援策をセットで行うことを求めたいと思います。
最賃の抜本引上げと全国一律化によって国民の所得が増えて国内生産が誘発され、地域経済の活性化や 地域循環型の経済が元気になっていきます。

最後に、まとめとして三点、要請したいと思います。
一つは、「格差と貧困の是正」と「地域経済の活性化」のために一日も早く全国一律最   賃制度を実現させるためにご尽力いただきたい。
二つ目は、若者も女性も非正規雇用も、すべての労働者の生活を守るため、最低賃金の抜本的に引き上げにご尽力いただきたい。
三つ目に、そのために実効性のある中小企業支援策を具体的につくっていただきい。このことを お願いして終わります。

流暢性障害(吃音)のある新人看護師の裁判の状況

                                                                                     弁護士 安彦 裕介

流暢性障害(吃音)を負っていた新人看護師の男性が、就職してから僅か約4か月後に自死された事件について、現在、札幌地方裁判所において、労働基準監督署長による遺族補償給付等を支給しない処分の取消を求める裁判を行っています。
この新人看護師の男性は、病院への就職から約3か月後に適応障害を発病され、その約1か月後に自死されました。ご遺族は、男性の発病及び自死について、病院における業務に原因があるとして労災請求を行いましたが、労働基準監督署長はこれを認めず、その後の労働者災害補償保険審査官に対する審査請求、及び労働保険審査会に対する再審査請求においても同じ結論が維持されたため、一昨年の11月に、裁判所への提訴に踏み切ったものです。
男性は、患者に対して吃りのない説明を行うため、事前に指導看護師らに説明の練習を行っていたのですが、重度の流暢性障害(吃音)を有していたことからこれをうまく果たせず、繰り返しの練習を余儀なくされていました。また、この病院の就業規則には、採用後3か月間の試用期間の定めが置かれていましたが、試用期間経過後、同期の新人看護師が本採用される中で、男性は一人だけ試用期間を延長されていました。
これらのことから、裁判では、①重度の流暢性障害(吃音)を有する男性に繰り返しの説明練習を強いることは、障害者への「嫌がらせ、いじめ」に当たるのではないか、②このような状況下で試用期間を延長されたことは、「達成困難なノルマ(業務目標)」を課した上での「重いペナルティ」に当たるのではないか、等のことが問題となっています。
被告(国)は、これらの争点について、男性への説明練習は強制的なものではなかった、あるいは男性に課されていた業務目標は達成困難なものではなかった等と主張して、全面的に争ってきています。
現在は、原告と被告との間で、書面によってお互いの主張を闘わせている段階であり、今後、関係者への尋問や判決へと続く予定です。皆様方のご支援の程、よろしくお願い申し上げます。