介護職場のストレスチェックと労安活動

札幌東勤労者医療福祉協会 畠由架利 人事部長

在宅グループの安全衛生委員会は、2ヵ所の法人安全衛生委員会と29のセンターで月1回開催し、①長時間労働の状況把握、②労災・交通事故発生状況の報告とその改善策の検討、③長期病欠者の報告などを議題としています。

長時間労働の把握では、月20時間以上の超過勤務者を抽出し、超過勤務の業務内容やその改善方向について議論します。

労災・交通事故の発生状況は、労災や交通事故ともに年間30件から50件発生しており、労災は転倒による骨折や打撲、交通事故は追突事故や駐車時の接触事故が多発しました。

この他にも交通違反の発生状況も報告します。長期病欠者の対策は、3ヵ月以上病欠が続いている職員を産業医の面接へつなぎ、職場復帰への目途と復帰前後の支援方法を検討します。この他にも、健康診断実施状況の報告や産業医を交えて年に1度の職場巡視を実施しています。

昨年度実施したストレスチェックは、平均受験率は81.10%となり、そのうち12.78%は高ストレス者と判定されました。実施後の総括では、ストレスチェックは実施したものの、職場分析は着手できず、原因は担当者が膨大な事務作業と精神的な負担が大きいこと挙げられました。

総括をふまえて、来年度実施から、作業の一部の外注化を決めました。これからは、ストレスチェックの受検率アップと、メンタル不調者の予防、職場分析の実施、職場改善につなげていきたいと考えています。

(今年5月20日行われた労働安全衛生学校での報告を事務局がまとめました)

静かな時限爆弾!~アスベストによる健康破壊~

6月12日にNHKクローズアップ現代で『新たなアスベスト被害~調査報告・公営住宅2万戸~』が放映され、大きな反響を呼んでいます。いの健道センター理事長でアスベストの診断、治療に取り組んできた細川誉至雄医師(勤医協札幌病院)のコメントを掲載します。

NHKが6カ月かけて調査したとの事です。全国各地にある公営住宅に暮らしている人たちがアスベストの危険性にさらされていた事が判明、住んでいる人の数は推計では23万人以上にのぼるとの事でした。本来、国や都道府県、自治体が責任をもって調査、分析、被害を止めるための除去対策をとるべきところですが、一向に進まない中、NHKが独自の調査(NHKもすごい組織力ですね)を行って、情報を提供したわけです。

現在もアスベストが使用された建物の約半数は除去されないまま残っています。

アスベストが原因で中皮腫や肺がんで亡くなる人は今や交通事故で亡くなる人より多いと推定されています。アスベストは発がん物質ではありますが、吸い込んですぐ発症するわけではなく発症までに数十年以上かかるため気づかれない事も多く静かな時限爆弾と言われる所以です。

中皮腫で亡くなる人は20年前の3倍以上に増えました。アスベストの約90%は建物の材料として使われ、スレート材や形成板は、一般住宅にも広く使われました。昨年札幌市で小中学校の煙突断熱材破損による給食停止でアスベストがまだ放置されている事が問題になりました。その後「建築物石綿含有建材調査者」により91校を調査し294本に断熱材があり250本の煙突が使用されていた事が明らかになりました。以前の調査では、素人が目視で“ない”と判断し報告したのが原因です。

子供たちが将来アスベストの被害者とならないためにも今できる対策が必要です。増改築を繰り返す建物の石綿調査は専門家による定性と定量分析を行う必要があります。そのためには「調査者」の養成を急ぐと同時に国や、都道府県、自治体は情報を公開し責任をもって対策を講じるべきです。

大学生協の衛生委員会活動

労働安全衛生学校で報告された、大学生協の日ごろの労安活動の概要を掲載します。

大学生協衛生委員会は北大をはじめ、道内各地域の大学生協の単位で開催しています。北大生協は毎月開催し、労働時間調査や職場巡回等を実施しています。労働時間調査は、45時間、80時間、100時間の超過勤務や深夜10時を過ぎた日数を職場・職員別一覧で把握できる仕組みになっています。

他にも労災発生状況や休日出勤に伴う振替休日の取得状況も報告されます。

職場巡回では、調査票を用いて実施し、室温や湿度が適正か、通路は狭くないか、など15項目をチェックします。巡回の中で従業員との聞き取りの中で、故障の箇所を発見する事例もあり、巡回の継続は必要と感じています。

ストレスチェックでは、対象職員に調査用紙を配布し、400人中、約350人分を回収しましたが、厚労省のプログラムでは設問が1問でも未回答があれば判定が出力されず、再度職員に未回答部分を再回答してもらう対応がありました。

高ストレス判定者への通知は、一般的な文章だけではわかりにくいことから、色紙を用いて産業医面談を促すように工夫しました。
その他の取り組みでは、所属長向けのメンタルヘルス研修会の開催や、時給職員向けにインストラクターによる腰痛・肩こり体操講習会の実施、冬季の転倒防止のための注意喚起を行いました。

今後も働く仲間の要望を聞いて、取り組みを強めてゆきたいと思います。

北海道大学生協統一労組 棚田正彦

「腑に落ちた」労安活動の大切さ:2017年労働安全衛生学校開く

今年の学校にはいの健会員の各職場とともに、新聞の案内記事をみた一般の人が15人参加し、関心の高さが示されました。
開校にあたって細川誉至雄理事長は、「日本は『過労死』大国です。労働者は本来、快適な環境で健康に働かなければなりません。講演から学んで、活発に討論しましょう。」と述べました。

午前は「働くものの健康を守る法体系について」弁護士の安彦裕介氏が講演しました。

安彦弁護士は、労働基準法は「労働条件は人たるに値する生活の必要を満たすもの」「長時間労働で労働者の心身の健康を損なうことを防止」しているとし、労働時間は「週40時間、一日8時間」が原則。時間外は労基署に届出義務があり、月45時間が上限となっている。特別の事情で100時間も許され「過労死」の要因になっていると話しました。また、労働安全衛生法は労働者の健康管理規定であり、安全・衛生管理者、衛生推進者など10人以上の職場に配置が必要。

50人以上の職場では産業医、安全・衛生委員会の設置と労災事故防止など審議事項が決められている。違反した場合の罰則規定もあると指摘しました。

近年はメンタルへルス対策、長時間労働対策など事業主による適正な管理を指示しているとし、脳・心疾患、精神疾患による「過労死」対策として過労死等防止対策法が施行されている。労災申請についてはそれぞれ「認定基準」に沿って検討されていると説明しました。また、使用者による安全配慮義務違反や不法行為は、損害賠償請求訴訟が請求できること、

労働関連法令は基本的に労働者の権利を守る為のものであり、不断に活用することが必要と呼びかけました。

続いて、北海道勤医労中央病院支部、大学生協道統一労組、介護事業法人、高教組からストレスチェックの取り組みと職場の労働安全衛生委員会の活動状況の報告を受けました。

午後は二つの講演が行われました。一つは産業医の佐藤修二氏が「ストレスチェックで明らかになった労働者の実態」、もう一つは精神科医師の田村修氏が「最近の政策動向とハラスメントのない職場づくり」です。

討論では各職場の現状と安心して働くことが出来る職場づくりへの課題を出し合いました。

感想文の一部を掲載します。

  • 低料金でこんな濃厚な内容の講義をしていただき感謝します。
  • 「時間外の限度が月45時間」「精神疾患が労災になる」など知りませんでした。
  • 労基法を振り返ることが出来ました。日常的な点検が重要と思いました。
  • 制度が出来て実施されても、対策に活かすことが必要。
  • ディセント・ワークはとても良い考え方だと思います
  • 経営者こそ労基法、労安法を学ばなければと思います。
  • 大きな会社にいても産業医は知りませんでした。
  • 政府から「答申」などが出て解らなかったことがよく解る内容でした。
  • ストレスチェックは労基署と現場の意識の違い、温度差が大きいように思いました。
  • 働く上で知っておかなければならない事が沢山あり、大変勉強になりました。

なぜ、どうして、学校現場の長時間労働:北海道高教組 菱木淳一

<約6割が過労死ライン>

文部科学省は、全国の抽出小中学校の教員10,678人を対象に実施した教員勤務実態調査(2016年)の集計結果(速報値)を公表しました。結果から、過労死ラインとされている月80時間以上の時間外勤務をしている教員は中学校で57・7%、小学校で33・5%もいることがわかりました。

<次々と仕事が、部活が>

当然ですが、教員は、子どものいる時間帯は授業を行います。中学校や高校では、授業のない時間、いわゆる「空き時間」がありますが、実際は、生徒指導や事務処理に追われ、時間はあっという間に過ぎていきます。子どもがいない放課後は会議や打合せが入ることが多く、中学校や高校はその合間をぬって部活の指導もあります。部活が終わる頃には、すでに時間外勤務の時間帯。それからようやく次の日の授業準備を始めます。時には、保護者対応や家庭訪問、不登校や家庭支援のための関係機関との打ち合わせなど、仕事は次から次へと押し寄せてきます。

このような働き方が、ほぼ毎日続くのです。さらに、中学校・高校では、土日も部活動の指導があります。実際の学校現場では、このような教員は特別に「忙しい人」ではありません。

<助け合えない・・・・>

問題は、時間外勤務の長さだけではありません。次から次へと打ち出される国や自治体の教育政策。それに対応するための仕事が大半を占め、「とりあえず今こなさなければならないこと」に追われています。さらに、人事評価の導入により、周囲の視線を気にしながらの仕事のしかたに拍車がかかり、職員同士で助け合うどころではありません。

本来、教育は、目の前の子どもと向き合いながら、教職員の主体的・協同的な創意工夫によって積み上げていくものです。

教職員の労働条件は、子どもたちにとっての学習権の保障につながる重要な問題です。

<残業手当は4%で固定>

また、教員の時間外勤務についての法令上の位置付けが、民間の労働者や一般の地方公務員と違うことも長時間過密労働の一因です。教育職員の時間外勤務については「給特法」で「教育職員については、時間外勤務手当及び休日手当は、支給しない」代わりに、月8時間分の勤務に相当する本給の4%を「教職調整額」として支給しています。

教員の多くは、たった8時間分の手当で、一月に数十時間以上の時間外勤務をしているのです。

<実効ある改善策を>

この間、文科省は、業務改善などによる長時間労働の解消をすすめていますが、そうした政策で、本当に解消につながるのでしょうか。「調査」を実施した文科省は、給特法や労働安全衛生法に照らして違法な教員の勤務実態を真摯に受け止めるべきです。

教職員のいのちと健康を守るべき文部行政の責任官庁として、実効ある改善策を早急に実施することを強く求めていきます。

長男(新卒看護師)は日々の業務に苦しみ半年で自死しました

2013年9月、新卒看護師の長男(36歳)をパワハラ自死で亡くされた母親、Mさんから、審査請求が棄却されたことを受けて、手記が寄せられました。いの健道センターは、労災認定をめざして遺族を支援しています。

2013年4月、希望に満ちて釧路の病院に就職した新卒看護師の息子は、勤務して僅か半年後に「努力をしたが、成長しない人間は給料をもらう資格が無い」と遺書を残し、自ら命を絶ってしまいました。

私も看護師をしています。息子は私の姿を見て30歳の時、看護師になりたいと言って、10年間の公務員としての社会経験を経て、看護大学に入りました。予備校の先生方の勧めもあり、男性で卒業時には36歳になるので、専門学校よりも大学を卒業したほうが将来良いだろうと言うことで大学を選択したようです。

私達、親は年を取っていましたので、学費などは社会人時代に大好きな自動車の購入も控えて節約して貯めた貯金と学生支援機構からの奨学金、そして病院の奨学金を受けていました。不足分は少し、親が援助しました。

「人生の中で一番勉強したよ。充実していた。」と待望の看護師免許と保健師免許を取得し、卒業後、奨学金の貸与を受けた病院に就職しました。就職のとき、勤務場所を相談されましたが、年齢が高いこともあり体力のあるうちに苦労したほうがいいと思い、救急部門か手術室の勤務がいいのではないかと助言しました。息子は素直に「体力もあるし、器械の扱いも好きだから」と手術室勤務を希望し、希望がかなったと言って、大変喜んでおりました。

しかし、息子が自死した後に上司の師長より、「適応能力がない、何度教えても些細なミスが数多くある、チューターが指導で悩んでいた。職場でいろいろ言われていた。」などと告げられました。6月にインシデントを起こしたこともあり、一緒に入った同期は新しいことを経験させたが、息子さんは「足止め状態だった」とも言われました。

確かに新しい仕事で公務員時代とは違うのでうまく出来なかったと思いますが、たった3ヶ月で足止めになるような指導や教育があるのでしょうか?

私が育った昔の時代は、厳しく教えられても誰かが優しく見守ってくれていたと思います。しかし、この病院はそのような優しさは無く、また、決定的だったのは、医師から「お前はこの病院のお荷物だな」と言われてすっかり落ち込んでしまったのでは無いかと推測されます。

息子は9月の給料日に手をつけることなく、たった半年で自死してしまいました。

私は主人と一緒に病院に何があったのか、説明してほしいとお願いしましたが、職場の人には合わせてもらえず、病院職員には箝口令が布かれていると聞いています。

私たちは真実が知りたいと、労災申請しましたが不支給となり、現在再審査請求を行っています。

新人看護師は過酷な現場で苦悩を深めています。その新人を長い目で育てる職場環境づくりが大切と思っています。
夢だった看護師を諦めなければなかった息子の思いも含めて、私たち現場の看護師の声を届け、新人教育を改善することが必要と思います。

UHB(北海道文化放送)は、先月末、Mさんの事件について取材し放映しました。放映後、ネットで多くの書き込みがされ、反響が広がっています。新卒看護師の勤務環境改善と育成について関心が広がっています。

会計事務所主任の自死、労災認定!

被災者のYさんは、K会計事務所に26年勤務し、所長からの信頼も厚く事務主任でした。しかし、8年前に高齢になった所長の後継者(副所長)が管理責任者となってから、Yさんに対する対応が変化してきました。

2009年、事務所の顧客に対して追徴課税が発生した件で、資格を持たないYさんに対して責任を求め、事務所の損害分を給料から「天引き」、ボーナスの減額が告げられました。直後に起こった別の顧客の不正会計問題でも、Yさんに対する叱責や追及が続いたため、Yさんは急速に自信を失い出社できない状況に陥りました。2010年2月には「退職したい」と言い、周りの説得を聞き入れずに退職しました。

この事件を契機にうつ病となり、受診し治療を継続していましたが、病気は回復せず、2013年5月に自死しました。

残された夫の日記には、「プライドはズタズタ」等、苦しかった当時のことを思わせる「書き込み」があり、妻は仕事が原因であることを確信しました。

亡くなって2年が経過しましたが、妻は労災の遺族補償を申請する決意を固めて、弁護士に相談しました。いの健センター、過労死家族の会にも相談し、2016年10月、労災申請しました。労基署の調査では、事実をありのままに伝え、認定を待っていましたが、2017年3月24日労基署から認定の連絡を受けました。

夫が被害を受けてから10年経過し、やっと、無念を晴らすことが出来ました。

うどんチェーン店・店長の民事訴訟「和解」

2016年3月、過重労働で労災認定を受けていたうどん店の店長Aさんは、弁護士と相談して昨年年末に民事訴訟を提訴しましたが、先月和解しました。担当されたブラック企業被害対策弁護団北海道支部の弁護士からの報告を掲載します

大手うどんチェーン店に店長として勤務していた札幌在住のAさんが2016年末に会社を相手に安全配慮義務違反による損害賠償請求を求めて提訴した裁判が、第1回期日前に和解で解決しました。

Aさんが2012年に入社した大手うどんチェーン店では、店長が複数店舗を担当するとされており、Aさんも3店舗の店長を兼任させられました。Aさんは、20年近く飲食業界におり店長経験も豊富なベテランでしたが、流石にこのような勤務形態は初めてで、14日間連続勤務、月110時間超の残業を含む過酷な労働を経て、入社後わずか4ヶ月でうつ病を発症し入院することになりました。

Aさんは、うつ病が小康状態になったあと2015年に労災申請を行いました。会社の非協力的な対応もあり当初は難航しましたが、いの健センターの助けもあり、2016年に無事労災支給決定がなされました。これを踏まえて、会社の安全配慮義務違反を問うために提訴したのが冒頭で述べた裁判です。

Aさんとしては、長時間労働に対する社会的な注目が高まっている情勢でもあり、裁判を通じて会社の社会的責任を問いたい想いもありましたが、未だ療養中であり、裁判を行うことに医師から消極的な意見があったことや、会社側からAさんが納得しうるだけの和解案が提示されたことから、和解に踏み切りました。

諸般の事情により、和解内容や交渉経過について述べることはできませんが、今後、会社が再発防止のための労働安全衛生活動を行うことをAさんは確信しています。

また、この裁判を提起するにあたりワタミ過労自死事件のご遺族が設立した「望基金」からご支援を頂きました。このご支援を頂いたことによりAさんはとても励まされましたし、「望基金」の支援を得た事件であると会社側が認識したことが早期和解に繋がったようにも思います。

和解成立を受け、Aさんは寛解を目指し職場復帰に向けた努力を開始しています。

この事件を担当したブラック企業被害対策弁護団北海道支部としてもご本人にとって良い解決がなされたことで職責を果たすことができたことに感謝するとともに、今後もこのような被害者の救済にあたっていく所存です。

ブラック企業被害対策
弁護団北海道支部
弁護士 中島 哲

UHB(北海道文化放送)が綾さんの事例を放映:大反響でネット上に書き込み3千件超

母親が意見陳述した2月3日、UHB(北海道文化放送)が夕方の番組で約18分間、杉本綾さんの事例を放映しました。その後、その内容がネットに公開され、次々と書き込みが続きました。他のサイトでも「炎上」気味にツィートが寄せられています。

「精神的にキツイ上に、夜勤で体内時計は狂うし、サビ残当たり前だし、いつもヘロヘロ」「私も1年目の時、仕事に行くのが辛くて車の中で過呼吸起こした」「私は自殺未遂を繰り返しました。」「私は寸前で精神科に駆け込みました」「今の看護は患者相手じゃなくて、記録・記録。国の制度でそうなっている」・・・・・。

この事件は「他人ごとではない」「やっと表面化した」と「堰を切った」ような反響です。勇気をもって労災をめざしている母親へのエールもありました。また、介護職から医師まで現場の過酷さを訴え、改善への熱い願いが書き込まれています。

娘(看護師)の自死、母が労災求めて提訴!

札幌市豊平区のKKR札幌医療センターの新人看護師だった杉本綾さん(当時23歳)は4年前、長時間・過重労働などでうつ病を発症し自死しました。しかし、労災が不支給となったため、2016年12月15日、母親は国を相手に労災不支給決定の取り消しを求めて札幌地裁に提訴しました。

看護師の勤務環境変えてほしい

2016年12月15日、午後4時半、原告の母親は弁護団、支援者とともに裁判所前に向かいました。入口には4台のテレビカメラが待ち構えていました。

提訴後に行われた記者会見には報道各社の記者でいっぱいになり、母親は「なぜ娘は自分で命を絶ってしまったのか。タイムカードでは5月に91時間40分の時間外労働に達し、その後も65時間~85時間だった。自宅でも深夜まで自習に追われ睡眠時間は2~3時間だった。」「急性期病院で、加重な労働環境の元、必死に頑張った娘がうつ病になったのは業務以外に考えられない。労災が認められ、医療に働く職員の待遇が変わってほしい。」と訴えました。

杉本綾さん裁判、訴状の要点

KKR札幌医療センターで4年前に看護師が過労死した事件で、弁護団が明らかにした「訴状」の要点は次の通りです。

  1. 労基署は杉本綾さんの過酷な労働実態を正当に評価せず、「不支給」と判断しました。訴状では、平成24年4月から8ヶ月間の労働実態を事実に沿ってありのままに緻密に記述し、裁判所に正しく判断してもらえるようにしました。
  2. 綾さんの精神疾患の発病時期を7月末であることを主張しました。これまでは、7月末から11月末と幅を持たせていましたが、審査請求、再審査請求を通じて、新しい証拠が入手でき、7月末にすでに発病していたと判断したからです。これによって、綾さんの時間外労働時間が特に過酷だった5月~7月の期間がカウントされることとなります。7月は初夜勤やインシデントなどの出来事も集中しており、この時期の綾さんの心身の負担はとりわけ凄まじかったと指摘しました。

尚、弁護団によると、年明けの2月から3月頃に第1回口頭弁論期日が行われると思われるとし、第1回の口頭弁論期日では、法廷で原告本人が意見陳述を行い、裁判官に、直接思いを伝える予定との事です。

「支援する会」では、多くの皆さんの傍聴支援を呼びかけています。

吃音への理解や配慮があれば弟は看護師として働き続けられた:言友会の吃音啓発フォーラムで、自死した弟の気持ちを姉が代弁

11月19日午後、札幌市内で北海道言友会主催の「吃音啓発フォーラム」が行われました。2016年4月に施行された「障害者差別解消法」にもられた「合理的配慮」を考えあう事がテーマでした。この中で、3年前、看護師となった吃音のある弟が仕事上で苦しみ自死した悲痛な体験を姉のTさんが報告し、吃音があっても生き、働き続けることが出来るようにと訴えました。

仕事で悩み・・・看護師に

弟は、3才から難発の吃音をもっていましたが、学生時代は、友人も多く明るく元気で、吃音が大きな壁になることはありませんでした。しかし、希望の警察官採用試験で、面接という壁に何度もふさがれました。近所のおもちゃ屋さんの販売員では、自分の吃音を理解してくれる上司や同僚がいて、働きやすかったようです。

30歳になって、「体の不自由な人の助けになりたい」と思い、吃音症状を理解してくれる病院でなら、人の役に立つ仕事に就けると考え、看護師の道に進みました。吃音を理解してくれる病院を探していましたが、看護学校の講師だった札幌市内の循環器系の急性期病院の看護部長に声をかけられ、「万全の体制を整えて待っています」と誘われ、就職を決めました。本人はもとより、私たち家族は本当に喜びました。

就職しカミングアウト

働いてすぐ、病院から「商品説明」という形の自己紹介を求められました。弟は、・吃音がある。・緊張する場面(人前)で言葉が出にくくなる。・話そうとしているときに急がされると更に言葉が出せなくなる。大声、威圧的、高圧的態度をされると、萎縮してしまう。などと、シートに記載していました。

職場の実態

自死してから、弟の部屋にあったノートには、そのカミングアウトが理解されていない中で苦しんだ状況を示す書き込みがありました。

弟は、重症者の対応で、覚えるのが精一杯なうえ、緊張して何度も吃っていたようです。「繰り返し練習させると吃音が治ると考えていた指導者」は、ナースステーション内のスタッフが行き交う場所で、検査の説明の練習を繰り返しさせていました。
これは、余計に吃りが強くなります。指導者が別の報告手段を考えてくれたり、声をかけてくれれば、少しは違ったのかもしれません。

合理的配慮があれば

上司や指導者たちは、「吃音」についての、知識も配慮もない上に、理解への努力がなかったと思います。

「頭ではわかっているが、普通にできない」ことの苦しみ、辛さは、吃音のある当事者にしかわからない、耐え難いことだと思います。言葉がすぐに伝わらないことだけで、その人の人間性を否定しないでほしいと思います。

しかし弟は、最後まで必死に努力し、自分で選んだ職業を全うしようと思っていました。
人生に「もし」という言葉は無いと言いますが、もし、上司や指導者が、吃音者を理解してくれていて、症状が強く出た時には、心理的な重圧が高くなっているとして、弟に関わってくれていたのなら、このような最悪の結果にならなかったのではと、悔やまれてなりません。

バス運転手:運転中の脳出血で左半身マヒ労災認定!

バス運転手A氏・男性、55歳は、2015年8月定期バスで札幌市内を運転中に脳出血で倒れ労災申請していた事件で、労災支給が決定しました。

A氏は、左半身マヒ、意識・見当識障害など障害1級となり、入院治療が続いています。勤務拘束時間は月288時間、公休は月4日という過重な勤務状態でした。

妻がいの健センターに相談し弁護士、交通、運輸関係の労組とも連携をとりながら、労災認定をめざしてきました。この事件を契機に、バス運転手の労働条件改善に向けた取り組みをめざしています。

アスベスト労災不支給決定を労災再審査請求で逆転決定!

Mさん(男・64歳)は、アスベスト肺がんで業務外認定となり、審査請求でも不支給決定でしたが、再審査請求で労災認定を勝ち取りとりました。
事件を担当した吉田玲英氏(弁護士)に、決定までの経過とアスベスト労災認定の問題についてお聞きしました。

労災不支給決定が再審査請求で取り消された事案

Mさんは、労基署の推定によれば、昭和56年4月から平成13年5月までの期間中、12年3ヶ月間、とび職や解体工として、複数の建設事業において石綿ばく露作業に従事していた労働者です。Mさんは、平成25年7月、肺がんと診断され、その後、入退院を繰り返しながら療養を続けています。平成26年3月に労災による休業補償の請求を行いましたが、不支給となりました。不支給の理由は、乾燥肺1グラム中の石綿小体の本数が認定基準の5千本に満たない3,501本であるため、石綿ばく露作業によって肺がんが発症したとは認められないとしたものでした。

アスベスト労災認定基準の問題点

Mさんの事案で最大の問題となったのは、胸膜プラークが認められず、しかも乾燥肺1グラム中の石綿小体の本数が5千本に満たなかった点です。

厚生労働省が取りまとめた、『石綿による疾病の認定基準に関する検討会』の報告によると、乾燥肺1グラム中の石綿小体の本数が1千本以上あれば、職業ばく露が疑われるレベルとのことです。そして、Mさんの石綿ばく露作業歴は12年3か月もあったにもかかわらず5千本に満たないから、という理由でMさんの労災申請は却下されました。

Mさんは直ちに審査請求を申し立てましたが、同じ理由で、審査請求も認められませんでした。
これはまさに、石綿による肺がんの労災認定基準の不当性を示すものといえます。5千本以上という要件は平成24年に新たに付け加えられたものですが、それ以前は、石綿ばく露作業歴が10年以上あり、乾燥肺中に石綿小体が存在すれば、石綿小体の本数にかかわらず労災が認定されていました。

平成24年に5千本以上という新たな要件が付け加えられたことにより、労災認定基準が改悪されたのです。Mさんは、平成24年より以前に労災申請をしていれば、労災認定を受けられたにもかかわらず、肺がんを発症した時期が遅かったために労災認定を受けることができませんでした。このような労災認定基準の改悪は、決して許されるべきものではありません。

逆転認定のポイントと今後の課題

再審査請求を申し立てた後で、Mさんが肺がんで手術した際のビデオを入手することができ、医師の診断を受けたところビデオ映像に薄い胸膜プラークが見つかりました。これにより、平成28年6月15日、Mさんに対する労災審査請求の不支給決定が取り消されるという逆転裁決を勝ち取ることができました。

Mさんの場合は、手術中のビデオ映像から胸膜プラークが見つかったことにより逆転裁決となりましたが、平成24年に改悪された労災認定基準の問題は依然として残ったままとなっており、これが今後の課題といえるでしょう。

アスベスト製品の規制をせずに放置しアスベスト被害を拡大させた国は、アスベスト被災者を救済する責任があります。労災が不支給となったとしても、このように労災審査請求や再審査請求で逆転できる場合も少なくありません。不当な対応にもあきらめず、是非ご相談ください!

  1. 弁護士 吉田 玲英(八十島法律事務所)

第22回社会福祉研究交流集会が開催

2016年5月21日と22日に、札幌市内で「これでいいのか福祉の現場~住民の権利と福祉労働の実態」をテーマに第22回社会福祉研究交流集会が開催され全国から介護護・保育・障害職場の労働者152人が参加しました。

小講演では石倉康次(立命館大学教授)が福祉労働は個別性の高い労働。相手が何を必要としているか、どのような方法でかかわるか、答えが決まっていない。見極め、検証し修正も検討し、結果を踏まえ社会福祉制度の修正や新たな制度の提案もおこなう。その意味では福祉労働は研究労働でもあると提起されました。

二日間の交流で現場の労働実態や制度矛盾が報告され、このような労働条件では福祉を守れない、厳しさや問題を共有して理解してもらうことが大事になっていると語られました。
全国の仲間と交流を深め福祉保育労北海道地本の組織強化につながった集会になりました。
(福祉保育労道本部 中川喜征)

熊本震災・アスベスト対策で提言

北海道建設アスベスト原告団・弁護団など13団体は、厚生労働大臣、環境大臣、国土交通大臣、総務大臣に対し「熊本地震にかかるアスベスト被害防止に関する緊急提言・将来にアスベスト被害を出さないために」を、提言しました。
提言要旨

①住民への周知徹底を行うこと。「アスベスト含有建材除去についての注意事項及びアスベストの有害性、危険性を記載したパンフレット」を作成し、すべての被災者、作業者、ボランティアに配布すること。
②(半)倒壊した建物から飛散するアスベスト粉じんへの「ばく露防止対策」として、国自らが、建物の倒壊現場や解体現場で作業する人たちに向けた個人ばく露対策として呼吸用保護具(少なくともRL2又はRS2仕様のマスク)を配布すること。
③国によるアスベスト使用建物及びアスベスト飛散状況の調査の実施。
④「住民、作業者、ボランティア等」アスベストばく露が懸念される人たちの登録制度を導入すること。

戦争廃止、立憲主義の回復を願う 市民のたたかいが 政治の流れを変える!

北海道憲法共同選対本部(本部長 黒沢幸一道労連議長)は、2016年4月24日投開票で行われた衆議院北海道5区補欠選挙について談話を発表しました。

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24日投開票で行われた選挙の結果、戦争法廃止!立憲主義の回復をめざす市民と5野党共闘の統一候補・池田真紀氏を、惜しくも当選させるには至りませんでした。しかし、安倍政権を倒す大きな手がかりをつかむ歴史的な選挙戦をたたかうことができました。
投票結果は、池田真紀氏が123,517票(得票率47.6%)、和田義明氏が135,842票(52.4%)でした。投票率は2014年前回衆院選挙を0.8ポイント下回る、57.67ポイントでした。
今回の選挙は、第一に、安倍政権が昨年9月19日に強行可決させた、安保法制=戦争法成立後、全国初の国政選挙となりました。
第二に、市民の「野党は共闘」の声を背景に、「市民と5野党共闘」が政権与党に立ち向かう日本の歴史で初めての画期的な共闘選挙でした。
第三に、日本が、平和と民主主義をめぐる戦後最大の歴史的岐路に立つもとで、夏の参議院選挙や来る衆議院選挙に大きな影響をあたえる前哨戦としてたたかわれました。
北海道憲法共同選対は、北海道憲法共同センターに結集する団体と有志で構成し、池田真紀氏の当選に向けて全力でたたかってきました。事務局を担った道労連は、3月4日池田真紀氏と戦争法廃止、立憲主義回復をめざすことを協定し、選挙戦に臨んできました。
また、安保関連法=戦争法に反対する「市民の会」や「ママの会」、若者のグループ「ユニキタ」など、新しい市民レベルの政治参加が選挙戦の主導的役割を発揮し、「市民が政治を変える」新しいスタイルの選挙を提起し、池田候補は投票した無党派層の7割の票を獲得しました。
市民団体、政党、労働組合、諸団体が有機的につながる画期的な選挙戦となり、「北海道モデル」として、今後のたたかいに希望とファイト湧く経験を全国に示すことができました。
こうした闘いが、自衛隊を抱える町を中心に強い組織票を背景に終始一貫、国民の願いにまともに向き合わず、「弔いと野合批判」に徹し共闘の分断を図る相手陣営を、市民と野党共闘が猛追し、追い詰める結果をつくりだしました。
全国・全道からの多くの支援に感謝申し上げます。 北海道憲法共同選対は、この経験を力に、戦争法廃止、立憲主義の回復をめざし、直ちに活動を開始する決意です。(全文)

法令違反多発!低賃金、過重労働の温床? 外国人技能実習生制度

外国人実習生の多くが最低賃金水準の賃金、実習計画の職種とは異なる仕事で酷使、賃金未払いなど違法な働かせ方や人権侵害が問題になっています。
実習可能期間の3年から5年への延長や対象職種の拡大など外国人技能実習法案が、衆院法務委員会で審議入りしました。
現行制度では、全国の労働基準監督署などの2014年度の監督指導で実習実施機関の76%で法令違反が発覚しました。主な違反は、違法な時間外労働25.8%、安全措置が講じられない機械使用など23.5%、賃金不払残業など割増賃金関係17.8%、賃金の不払いなど賃金関係12.4%の順でした。
外国人技能実習制度は、「国際貢献」「技能移転」などを名目に、発展途上国の労働者、学生などが最長3年働きながら日本の技術を学ぶもので、中国、ベトナム、フィリピンなどから約19万人を受け入れていますが、実態は低賃金・単純労働力の供給手段として利用されています。

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